コンテンツマーケティングのメリットとデメリット


コンテンツマーケティングという言葉が一般化して久しいですが、その定義や成功のルールは数年前とは劇的に変化しました。かつては「記事を量産して検索流入を増やす(コンテンツSEO)」だけで通用した時代もありましたが、現在はAIによる情報の氾濫やGoogleの評価基準(E-E-A-T)の厳格化により、単なる「記事公開」だけでは成果が出にくくなっています。

今回は、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットについてお伝えします。コンテンツマーケティングとはコンテンツ配信によって行うWebマーケティングの方法となりますが、やはりメリットやデメリット、注意点があります。2025年最新の状況を踏まえた「コンテンツマーケティングのメリットとデメリット」を徹底解説します。

ホームページ上で行うコンテンツマーケティングにはメリットとデメリットがあります。コンテンツマーケティングの最大の特徴はコンテンツ配信が中長期的に一種の資産としてストックされていく点にあります。リスティング広告やSNS広告などのWeb広告は出稿を止めればWeb集客効果も止まりますが、ユーザーの検索ニーズを満たす良質な記事や解説動画は、Googleの検索アルゴリズムによって上位表示され続ける可能性があります。コンテンツマーケティングは「コンテンツSEO」としての側面もあり時間とともに流入効果が高まるドメインパワーの強化にもつながります。

画像コンテンツによるマーケティングや動画マーケティングもコンテンツマーケティングの分野に属しますが、ここではホームページにオウンドメディア機能を設置して行うコンテンツマーケティングについてのメリットとデメリットについてお伝えします。

数年前まで主流だった「資産化」という概念を再定義し、「なぜ今、従来のやり方では通用しなくなったのか?」という変遷を交えながら、現代のウェブ集客において知っておくべきメリット・デメリット、そして2025年以降に勝つための注意点をお伝えします。

「そもそもコンテンツマーケティングとは?」という基礎については、「コンテンツマーケティング」を参照してください。ここでは、ホームページにオウンドメディア機能を備え、戦略的に成果を出すための「実践的なプラスアルファ」を凝縮して掲載します。

最初に過去のコンテンツマーケティングの概念からの大きな変化について概観していきましょう。そしてその後、それでも、現代で通じるコンテンツマーケティングのメリットとデメリットについて考えていきます。

なぜ過去のコンテンツマーケティングの常識は通用しなくなったのか?(GoogleコアアップデートとAIの登場)

なぜ過去のコンテンツマーケティングの常識は通用しなくなったのか?(GoogleコアアップデートとAIの登場)

本題のメリット・デメリットに入る前に、まず共有すべき重要な事実があります。それは、「数年前のSEO常識は、現在はむしろリスクになる」ということです。

かつてのコンテンツマーケティング(2015年〜2019年頃)では、「キーワードを含めて、競合よりも文字数を多く書く」ことがSEOの正攻法とされていました。しかし、2020年代に入り、Googleの度重なるコアアップデートと、ChatGPTに代表される生成AIの爆発的な普及により、そのルールは根底から覆されました。

AIによって「平均的な品質のテキスト」が無限に生成できるようになった現在、検索エンジンは「ただ情報が網羅されているだけの記事」の評価を相対的に下げ、「人間による独自の洞察や体験が含まれているか」を厳しく審査するようになっています。

なぜ、過去の投稿の順位が下がったり、インデックスから除外されたりするのか。その理由は、以下の4つの変化に集約されます。

  1. 「長文=高品質」の時代の終わりと、検索意図の重視
  2. Helpful Content System(HCS)による評価基準の厳格化
  3. 読者体験(UX)の最大化が必須に
  4. E-E-A-Tの明示なしに上位表示は不可能

「長文=高品質」の時代の終わりと、検索意図の重視

かつては「長文SEO」という言葉があり、1万字を超える記事が上位を独占したこともありました。しかし現在、Googleは文字数よりも「読者の疑問にどれだけ適切に、網羅的に、迅速に答えられているか」を最重要視しています。

現代のユーザーは「答え」を急いでいます。検索意図(ユーザーが知りたいこと)に対して、不必要な情報を詰め込んで無理に引き伸ばした長文記事は、「ユーザビリティが低い」と判断されます。 現在は、たとえ短い文章であっても、ユーザーの悩みをズバリ解決するコンテンツこそが「高品質」と定義されています。

Helpful Content System(HCS)による評価基準の厳格化

Googleが導入した「Helpful Content System(ヘルプフルコンテンツシステム)」は、「検索エンジンのために書かれたコンテンツ」を排除し、「人のために書かれた有用なコンテンツ」を評価するためのシステムです。

これにより、以下のような旧来の手法は効果を失っただけでなく、サイト全体の評価を下げるリスク要因となりました。

  • 専門性のないライターによる「まとめ記事」の量産
  • 検索順位を上げるためだけの作為的なキーワードの詰め込み
  • 低品質な外部サイトからの不自然な被リンク

かつては「被リンクの数」が正義でしたが、現在はリンクの質が問われます。関連性の低いサイトからのリンクや、コンテンツの中身が薄いページは、インデックス除外や順位下落の直接的な原因となり得ます。

読者体験(UX)の最大化が必須に

どれだけ良いことが書いてあっても、読みにくい記事は評価されません。 読者が欲しい答えに最速でたどり着けるよう、目次や図解、要約を最適化することが求められます。「読む」ストレスを減らし、「見る」だけで理解できる工夫(モバイルフレンドリーや表示速度の改善含む)がないページは、ユーザーの離脱を招き、結果として検索順位も低下します。

E-E-A-Tの明示なしに上位表示は不可能

AIによって「平均的な品質のテキスト」が無限に生成できるようになった現在、検索エンジンは**「誰が、どのような経験に基づいて書いているか(E-E-A-T)」**を厳しく審査しています。

特に「誰が言っているか」が重要です。記事の執筆者情報を明記し、自社の経験(Experience)に基づいた事例や、専門家としての権威性(Authoritativeness)を担保すること。これがない記事は、AIが生成した量産記事と同等とみなされ、検索結果の彼方へと追いやられてしまいます。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングが台頭して数年の流れはひとまず企業のホームページ活用において、公式サイトのトップページのみをブラックハットSEOで検索順位上昇させる方法から脱却しましょう、という旨が強かったのではないでしょうか。

Webマーケティングの一環としてコンテンツマーケティングを導入することのメリットは、トップページの特定キーワードによる検索順位向上のみに特化した被リンク依存のSEOや、ランニングコストがかかる直接的な広告運用(リスティング広告やアドネットワーク広告、ソーシャル広告など)などと異なったホームページやウェブサービスの活用方法による幅広いユーザーとのマッチングです。

また、特定のLP(ランディングページ)に誘導するだけでなく複数の接点を自然に設けられる点もメリットです。たとえば、「導入前の比較検討層」に向けては「〇〇の選び方」記事、「検討中の層」には「導入事例」や「FAQ型コンテンツ」、「導入後の支援層」には「使い方ガイド」や「応用事例紹介」といった多層的な情報設計が可能になります。

このコンテンツマーケティングの代表的な方法とメリットは、オウンドメディア運営を行ったり、ユーザーの検索ニーズにマッチした様々コンテンツページからの検索エンジン経由、ソーシャル経由のアクセスが獲得できる点、そしてコンテンツの内容によってアクセスユーザーのニーズの顕在化やアクション喚起を行いやすくなる点です。

かつて2010年代後半、コンテンツマーケティングの導入は「ペナルティリスクのある被リンク依存(ブラックハットSEO)からの脱却」という文脈で語られることが多くありました。しかし、AIが普及し情報が爆発的に増えた2025年現在、その目的は「信頼性の確立(E-E-A-T)」と「広告費の高騰対策」へとシフトしています。

現代において、オウンドメディア機能を実装しコンテンツマーケティングに取り組むメリットは、単なるアクセスアップだけではありません。ここからは、現在のWeb環境における具体的なメリットを解説します。

コンテンツページによるホームページの全体的なアクセス向上

コンテンツページによるホームページ全体のアクセス向上

コンテンツマーケティングを導入することにより、高品質コンテンツの配信によって個々のページが独立してホームページアクセスに貢献してくれる他、コンテンツSEOによってホームページ自体の価値の向上にも貢献します。

それぞれのコンテンツページが細かな検索キーワードでアクセスを確保してくれる他、ソーシャルネットワークでのシェア拡散などによる、検索エンジン以外からのアクセス確保にもプラスに働きます。また、コンテンツSEO効果によって、トップページを含めたメインのSEOキーワードでの検索順位向上も見込むことができます。

「消費される広告」から「蓄積される資産」へ

リスティング広告やSNS広告は、出稿を止めれば集客も瞬時にストップします。対してコンテンツマーケティングは、公開した記事や動画がWeb上に残り続け、24時間365日、顧客を集め続ける「資産(ストック)」となります。

ただし、「書いて終わり」ではないのが現代の特徴です。 かつては「放置していても集客し続ける」と言われましたが、現在は情報の鮮度が落ちれば評価も下がります。しかし、定期的なリライト(メンテナンス)を行うことで、その資産価値を維持・向上させることが可能です。これにより、中長期的には広告費(CAC:顧客獲得コスト)を大幅に圧縮し、利益率の高い集客構造を作ることができます。

「E-E-A-T」の強化による指名検索の増加

誰でもAIでそれらしい文章が書けるようになった今、検索エンジンもユーザーも「誰が言っているか(専門性と信頼性)」を最重視しています。

  • 専門性(Expertise): プロならではの深い知見
  • 経験(Experience): 現場での実体験や事例
  • 権威性(Authoritativeness): 業界内でのポジション
  • 信頼性(Trustworthiness): 運営元の透明性

良質なコンテンツを発信し続けることは、これら「E-E-A-T」を高めることに直結します。「この分野なら〇〇社」というブランド認知が広まれば、SEOの変動に左右されにくい**「指名検索(社名やサービス名での検索)」**が増加し、経営が安定します。

こうしたコンテンツページの活躍により幅広いユーザー層と出会うチャンスを作り出すことができます。現代のユーザーは広告に対して極めて敏感であり、明らかに売り込み色の強いバナーや広告LPは「見る前に閉じられる」傾向があります(これをバナー・ブラインドネス(banner blindness)と呼ぶこともあります)。

コンテンツマーケティングは、検索やSNS上で自発的に接触する「プル型マーケティング」であるため情報に対する心理的な受容度が高くなりやすいという特徴があります。

また、良質なコンテンツは信頼構築においても有効です。

専門的な内容や業界情報、顧客事例などをしっかりと解説することで、ユーザーの中に「この会社は信頼できそう」という信頼感が生まれていきます。これはナーチャリング(顧客育成)の起点としても重要な位置づけとなります。

コンテンツマーケティングは、Webマーケティング効果としての即効性はありませんが、中長期的に考えた場合には定期的なメンテナンスにより安定したアクセス数やマーケティング効果を発揮するため、予算組の上で行うリスティング広告などの広告費といったランニングコストを削減できるといったメリットがあります。広告費や営業リソースに依存せずとも見込み顧客を獲得できるようになるため、CAC(顧客獲得コスト)の圧縮やLTV(顧客生涯価値)の最大化といった長期的な視点でも優位に働く施策といえるでしょう。

トップページ依存からの脱却(トピッククラスター効果)

トップページ以外からの幅広いユーザーアクセス

トップページからのアクセス確保のみの集客方法から、コンテンツマーケティング導入に切り替えることで、今までは一般的であった業種名と地名でのみ行っていたSEOから脱却することができるため、被リンク依存から抜け出すことができます。

「とりあえず問い合わせ獲得のためにはトップページの検索順位を上げなくてはならない。だから被リンクが必要なんだ」

そんなことから脱却することができます。

コンテンツページからの幅広いアクセスを獲得することで、トップページへの集客、限定的なSEOキーワードでの集客といった近視眼的なアクセス獲得から文字通り広い視野でアクセスを獲得することができます。

かつては「トップページの順位を上げること」がSEOの全てでしたが、現在はサイト全体でテーマの網羅性を高める「トピッククラスター」の考え方が主流です。

「〇〇とは」「〇〇 選び方」「〇〇 失敗事例」といった、ユーザーの様々な悩み(検索意図)に対応するコンテンツページを配置することで、トップページだけでは拾いきれない幅広い層(ロングテールキーワード)からの流入を獲得できます。 これにより、特定のキーワードの順位が落ちても、サイト全体としての集客力が維持される「リスク分散」が可能になります。

潜在ニーズの「発掘」と「育成(ナーチャリング)」

広告の多くは「今すぐ欲しい人(顕在層)」をターゲットにしますが、競合が多くクリック単価も高騰しがちです。コンテンツマーケティングは、まだ購入を検討していない**「潜在層」**とも接点を持てるのが強みです。

Before: 「ホームページ制作会社 京都」で検索する人(今すぐ客)だけを狙う

After: 「集客できない 理由」「Webサイト リニューアル 時期」などで検索する人(お悩み客)と出会う

例えば、「売上が上がらない」と悩むユーザーに対し、コンテンツを通じて「実はWebサイトの改善が必要だ」と気付かせることができれば、新しい市場(ニーズ)を自ら作り出すことができます。 また、質の高い情報は「売り込み」ではなく「有益なアドバイス」として受け取られるため、「信頼できるアドバイザー」としてのポジションを確立した状態で商談に進むことができ、成約率(CVR)の向上にも寄与します。

ユーザーニーズの顕在化やアクション喚起

ユーザーニーズの顕在化・アクション喚起

また、コンテンツマーケティング導入のメリットは、ホームページへの集客だけに留まりません。

SEOなどに集中すると、どうしてもWebマーケティングのコンバージョン、エンゲージメントの母数となるホームページのアクセス数ばかりに気を取られてしまいますが、元となるアクセスと同等にホームページで伝えるべきメッセージなどは大切です。

サービス概要や会社概要と言った、ある種味気ない客観的なデータだけでなく、ユーザーへとメッセージを伝える「コンテンツ」を見てもらうことで、Webマーケティングの訴求力が向上します。質の高いコンテンツはSEO経由の流入増加だけでなくCVR(コンバージョン率)の改善にも貢献します。単にアクセス数が多いだけでなく、「理解が深まったから問い合わせしてみよう」「事例が自分に近かったから安心できた」といったエンゲージメント指標(スクロール率、直帰率、滞在時間など)の向上が、結果として問い合わせ・購入・資料請求といった成果へとつながっていきます。

幅広いユーザー層にニーズ喚起を行う

コンテンツマーケティングで幅広いユーザー層にニーズ喚起を行う

トップページへの集客に固執すると、「既に問い合わせニーズのあるユーザー」ばかりを対象としてしまいますが(即効性が欲しい場合はそういった方向けのランディングページ+リスティング運用のほうがいいでしょう)、コンテンツマーケティングにおいてはもう少し幅広いユーザーを対象とします。

お店でも既に買うものを決めてからやってくるお客さんと「何かいいものがあれば買おう」と思っているお客さん、そして「ここ何の店?」と興味本位で入ってくるお客さんまで様々です。

この中で、「何かいいものがあれば買おう」、「ここ何の店?自分と関係あるの?」といったようにまだまだニーズが顕在化していない方へのニーズ喚起には、コンテンツマーケティングは適しています

ニーズのある人とマッチングするだけでなく、ニーズを作り出す

コンテンツマーケティングでニーズを作り出す

純粋なサービス案内ページへとアクセスしているユーザーには、既にWebマーケティングコンバージョンの前提となる「特定のニーズ」が存在していますが、ホームページにアクセスしているユーザーの中には、自分自身でも気づいていないニーズを持っているユーザーが存在します。

例えば、何とかホームページの集客効果を高めたいというニーズだけを持っているユーザーが、漠然と「ホームページの作り変え」のニーズだけを持っているとします。

この時点では、全面リニューアルを前提とした「新規ホームページ制作」に対応する会社のみを探している状態であることが予測されますが、こうしたユーザーが「SEO」や「コンテンツマーケティング」、「リスティング運用」、「リライトによるコンテンツの品質向上」等によって、既存ホームページでも改良や他のWebマーケティング手段によって、「集客効果を高められる」ということに気づいたとします。

この時点から、ユーザーのニーズは、「全面リニューアルとしての新規ホームページ制作」から、「既存ホームページの改良」へとシフトします。どの方法を選ぶかはまだ確定していませんが、隠れたニーズが顕在化し、選択肢が増えたことになります。

コンテンツによるニーズの顕在化によってマーケティングのきっかけを作る

コンテンツによるニーズの顕在化によってマーケティングのきっかけを作る

コンテンツマーケティングのメリットとして、「アクセス数」といった、ただコンバージョンの母数を増やすために純粋なプロモーション回数を増やす方法だけにとどまらず、こうしたニーズの顕在化によって、マーケティングのきっかけを作ることに貢献します。

またこうしたニーズの顕在化の他に、コンテンツ内容によって、お問い合わせといったコンバージョンへの誘導、アクション喚起を行うことも可能です。

「どういうふうに問い合わせればわからない」とアクションにブレーキがかかっているユーザーに、問い合わせ例や導入事例を掲示するということも可能になります。

ソーシャルメディア(SNS)との連携・相乗効果

コンテンツマーケティングはソーシャルと連携しやすい

例えば、トップページと会社案内、製品案内など、合計で5ページくらいの企業公式ホームページだった場合、Facebookページでどのページをシェアするかイメージしてください。

「会社の公式サイトです」というトップページのシェアや「製品案内ページです」というシェアを連投した場合、Facebook側からスパム扱いされてしまうでしょう。

その中で、オウンドメディアの設置、コンテンツマーケティング導入によって「新製品ページ」やそのユーザーレビューページをコンテンツ配信する仕組みなどがあれば、新規配信ページを抵抗なくソーシャルで紹介することができます。

トップページや会社概要ばかりをSNSでシェアしても、フォロワーには響きません。しかし、「業界の最新動向」や「役立つノウハウ」、「お客様の成功事例」といったコンテンツであれば、SNSでも自然にシェアされやすくなります。

特に現在は、検索エンジン(SEO)だけでなく、SNS(発見)や動画プラットフォームからの流入経路を確保する「マルチチャネル化」が重要です。一つのコンテンツをブログ、SNS、動画、メルマガと多方面に展開(ワンソース・マルチユース)することで、制作コストを抑えつつ接点を最大化できます。

コンテンツマーケティングのポイントとメリットのまとめ

コンテンツマーケティングのポイントとメリットのまとめ

ここまで見てきたコンテンツマーケティングのメリットをまとめると、次のようになります。

  1. コンテンツページによるホームページの全体的なアクセス向上ホームページ全体でアクセスを確保できるためトップページの順位上昇への固執が無くなる
  2. 資産性の維持: 広告費に依存せず、メンテナンスによって長期的に集客する仕組みが作れる。
  3. 信頼の獲得: AI時代に不可欠な「E-E-A-T」を高め、選ばれる理由を作れる。
  4. 入り口の多様化: トップページ以外からの流入を増やし、SEOリスクを分散できる。幅広いユーザー層と出会うことができる。
  5. 固定的なページ以外で、ユーザーのニーズ喚起やアクション喚起を行うことができる
  6. ニーズが顕在化していないユーザーの新しいニーズを作り出すことができる。
  7. 顧客の育成: 「今すぐ客」だけでなく「これから客」を囲い込み、LTV(顧客生涯価値)を高められる。
  8. ソーシャル活用がしやすくなる。

コンテンツマーケティングのデメリット

コンテンツマーケティングのデメリット

メリットの多いコンテンツマーケティングですが、当然ながらデメリットや導入のハードルも存在します。特に、生成AIが普及し、誰でも簡単に「それらしい記事」を作れるようになった2025年現在、その難易度は以前とは異なる質のものに変化しています。

「とりあえずブログを書けば集客できる」という時代は終わりました。ここでは、現代の企業が直面する具体的なデメリットと、あらかじめ覚悟しておくべきコストについて解説します。

コンテンツマーケティング導入にかかるオウンドメディア構築などの初期費用に加え、継続的にコンテンツ配信を行うためのコストコンテンツ制作・配信といった運営にかかる労力やコストがその代表例です。最も多くの企業が感じる課題として「コンテンツマーケティングを始めたばかりの時期はアクセスがなかなか増えない」というものがあります。コンテンツの効果は即時的ではなく遅効性があります。

ホームページドメインパワーの育成やインデックスの安定化を待つ必要があるため施策開始から3〜6カ月程度は明確な成果が出にくい傾向にあります。この「時間差」が予算策定や社内説得の障壁になることも多く、いかに初期の段階で中間指標(たとえば検索順位やセッション数、問い合わせフォームの閲覧数など)をKPIとして設定できるかがポイントになります。

また、プランニングのないコンテンツマーケティングを行うと、ホームページ全体のSEOの面でメインとなるキーワードが薄れてしまったり、コンテンツ制作の労力の割に効果が感じられないといったケースに見舞われることもあります。アクセス確保に集中するあまり、冒険的に制作されたコンテンツなど、配信コンテンツ内容によっては、企業のブランディングにマイナスに働く可能性があります。このようなコンテンツ量産による品質低下のリスクがあります。

さらに、メリットの裏返しにはなりますが、コンテンツマーケティングは、レバレッジを狙った中長期的なWebマーケティング方法になりますので、リスティング広告の運用と比較した場合に、Webマーケティング効果自体はかなり遅れて出るという遅効性の特徴を持っています。

コンテンツマーケティング導入コスト

コンテンツマーケティング導入コスト

まずコンテンツマーケティングは導入にあたり、常時コンテンツ配信可能なWordPressなどのCMSベースのホームページが必要になります。

コンテンツマーケティングには当然にコンテンツを配信する仕組みが必要になるため、公式ホームページを利用して行う場合は、その全体か一部にオウンドメディア機能を設置する必要が生じます。

こうした導入コストは一般的なホームページ制作より高額で、またサーバーのスペックなどにも配慮が必要になるでしょう。

コンテンツの追加が容易に行えるのであれば、WordPressに限らず、静的HTMLサイトでコンテンツ配信を行うことも可能ですが、ページ追加や修正にタイムラグと「制作会社に依頼する」といった手間がある場合は、本格的なコンテンツマーケティングを行う上ではロスが多く、逆に運営にコストがかかるケースがあります。

即効性はなく、「忍耐」が必要

これは以前から変わりませんが、コンテンツマーケティングは「今日やって明日成果が出る」施策ではありません。リスティング広告が「狩猟(出稿した瞬間からアクセス発生)」だとすれば、コンテンツマーケティングは「農耕(種をまき、育てて収穫する)」です。

特に新規ドメインや運用歴の浅いサイトの場合、Googleに認知され、信頼(ドメインパワー)を獲得するまでに半年〜1年かかることも珍しくありません。「来月の売上が足りない」という状況での打開策としては不向きであり、長期的な経営視点が求められます。

SEOへの配慮にコストがかかる

コンテンツマーケティング SEOへの配慮にコストがかかる

コンテンツマーケティングにおいて、同じようにコンテンツ配信を行うのであれば、基本的なSEO(検索エンジン最適化)を含めて、それぞれのページやホームページ全体の検索順位を向上させるに越したことはありません

逆に考えれば、こうした「SEOにある程度コストが必要である」という前提でコンテンツマーケティングを導入しないと、コンテンツ配信が空振りになる恐れもあるため、マーケティング効果のロスが大きくなります。

SEOを除外して運営してしまうと、せっかくのコンテンツ配信が「あまり検索エンジンに評価されない」ということになり、集客効果が落ちてしまいます。

旧来からのブラックハットSEOによるリンク依存のSEOは必要がありませんが、しっかりとしたホワイトハットSEOの原則を押さえたSEOが必要です。

WordPressなどの利用であれば、基本的なSEOをテーマ作成時などに組み込めるため、ある程度の手間の省略ができるようになり、結果としてSEOコストの削減ができる場合があります。

「作って終わり」ではない(メンテナンス・コストの増大)

これが現代において最も見落とされがちなデメリットです。 かつては「一度書けば資産になる」と言われましたが、現在は情報の変化が激しく、Googleも情報の「鮮度(Freshness)」を厳しく評価します。

放置された古い記事は、検索順位が下がるだけでなく、最悪の場合「価値のないページ」とみなされ、インデックスから除外されるリスクさえあります。 「資産」として維持するためには、定期的なリライト(情報の更新、リンクの点検)というランニングコストが必ず発生します。これは、建物における修繕費のようなものです。

コンテンツ制作・配信など運営コスト

コンテンツ制作・配信など運営コスト

効果的なコンテンツマーケティングのためには、ある程度しっかりとコンテンツが配置されるまでの間、継続したコンテンツ配信が必要になります。コンテンツの質を維持しつつ継続的に発信していくためには社内外にわたる運用体制の構築が必要です。Web担当者が趣味をテーマとしたブログを書くだけ仕組みでは長続きせず途中で更新が止まってしまうケースもよくあります。

もちろん各コンテンツを有効に機能させるためには、ページ単位、そしてホームページ全体のSEOの必要性も出てきます。

また、こうしたコンテンツ配信のためには、コンテンツプランニング、新規コンテンツの制作、そして配信作業といった手間が必要になります。

固定的なホームページの場合は、必要箇所のみの修正更新のみなのでメンテナンスにそれほど手間がかかりません。しかし、こうしたコンテンツ制作や配信、そしてさらに有効的なコンテンツマーケティングのためには既に配信したコンテンツの修正・更新が必要になり、その分だけ運営コストがかかる点がデメリットの一つです。

こうしたことから、コンテンツマーケティング導入よるサイト運営にかかる労力とそれに伴う運営コストを考えた場合、通常のホームページと比較した場合に大幅な作業量の増加、もしくは高額なコンテンツマーケティング予算が必要になります。

「AIコンテンツ」との差別化コスト

生成AIの登場により、ネット上には似通った情報が溢れかえっています。 単に「用語を解説するだけ」や「ネットの情報をまとめただけ」のコンテンツは、AIが瞬時に生成できるため、検索エンジンからの評価が得にくくなっています。

検索上位を獲得するためには、AIには真似できない「一次情報(独自のデータ、取材、体験談、お客様の声)」や「独自の考察」を盛り込む必要があります。これらを作成するには、以前よりも高度な企画力と編集リソース(人手と時間)が必要になります。

コンテンツプランニングの必要性

コンテンツマーケティング コンテンツプランニングの必要性

コンテンツマーケティングは、その言葉通りコンテンツを活かしたWebマーケティング手法ですが、どのようなコンテンツでも「Web集客」にプラスに働くというわけではありません

しっかりしたコンテンツプランニング、配信コンテンツの方向性を決めてからコンテンツを配信しなかった場合、Webマーケティングの対象とは異なったユーザーばかりのアクセスが増えるだけになり、結果として「ホームページのアクセス数は伸びてもお問い合わせは来ない」といった、目に見えない失敗のリスクを内在しています。

コンテンツマーケティングはコンテンツ制作にコストがかかるため、そうした費用対効果を考えた場合にはWebマーケティングとして失敗になってしまう可能性があります。最悪のケースとして、メインとなるホームページの特定キーワードの順位下落の原因にもなるリスクを持っています。

業種や顧客層だけでなく地域性や企業規模も検討に

コンテンツマーケティングの効果は、業種や顧客層だけでなく、地域性や企業規模といった背景条件によっても大きく変動します。特に中小企業や地方の事業者にとっては予算やリソースが限られているため、効果的なテーマの絞り込みが必要になります。都市部に比べて競合が少ない地方ではローカルSEO(MEO)とコンテンツマーケティングの連携によって、着実な集客が可能です。

Googleビジネスプロフィールの最適化を前提としながら、地域名を含む検索キーワードを意識した記事を発信することで、地元ユーザーの検索行動に合わせたアクセス獲得を狙うことができます。また、地域イベントへの参加報告、地元企業とのコラボレーション実績、商工会・地元新聞での紹介履歴などをコンテンツに盛り込むことで、地域密着型企業としての信頼感も育まれます。こうした「地元らしさ」は、都市部の企業では表現できない魅力であり、検索エンジンにおけるユニーク性の指標にもなります。

企業のブランドへの影響

コンテンツマーケティングの企業のブランドへの影響

配信コンテンツの内容によっては、企業ブランドにマイナスイメージがつく可能性があります。

基本的にコンテンツマーケティングは、ホームページへの集客とコンバージョン数向上の両側面からのWebマーケティング手法ですが、ホームページへのアクセス数向上に集中するあまり、内容としては低俗なコンテンツを配信すると、その分だけアクセスは集まっても企業ブランディングにマイナスに働く可能性があります。

目的を失ったホームページ運営となるリスク

企業ホームページ内でコンテンツマーケティングを行うことのデメリットとして、運営者の心理状況的な側面にはなりますが、コンバージョンの設定やデータ計測、そして改善点の洗い出しなどにおいて、企業ホームページでありながら、発想がメディアサイト的になるという点が挙げられます。本来は企業のマーケティングに合わせたテーマの選定から執筆、校正、公開後の分析・リライトといったコンテンツ制作の全ての運営の流れを整備する必要があります。また、定期的なキーワードリサーチや競合分析を行いながらPDCAを回していくことが継続的な効果につながります。

コンテンツマーケティングやコンテンツSEOに関する情報、そして全般的なSEOに関する情報の中には、ブロガーやブログサービス運営者の目線で、広告収入を目的としたメディア配信を軸として考えられている情報がたくさんあります。

そうした情報の影響で、企業のホームページでありながら、発想がメディアサイト的になり、企業ホームページが持つべき目的が脇にそれ、目的を失ったホームページ運営となるリスクがあります。

Webマーケティング効果の遅効性

Webマーケティング効果の遅効性

コンテンツマーケティング導入のメリットの裏返しにはなりますが、コンテンツマーケティング導入後すぐにWebマーケティング効果が表れるといった即効性はありません

コンテンツマーケティングはマーケティング効果としてのレバレッジ(テコの原理のような爆発性)の可能性を持っていますが、必ずしも予算に正比例するものではなく、どちらかというと初期段階ではすぐに効果を感じられることは稀です。

Webマーケティング手法のひとつであるリスティング広告の場合は、運用したその日から効果を期待することができますが、コンテンツの配信によるマーケティングは、検索順位の安定や関連記事による相乗効果などの側面があるため、導入初期段階では効果を感じられないことがよくあります。

コンテンツマーケティングは中長期的なWebマーケティング手法になりますので、短期的な効果を前提とせずに中長期のWebマーケティング戦略・コンテンツ企画を元に導入していく必要があります。

正しい効果測定と改善の難しさ

コンテンツマーケティングの効果は、「記事を読んだ直後に購入」という単純な動きだけではありません。 「記事を読んで知った」→「数ヶ月後に社名で検索した」→「問い合わせた」というように、成果に至るまでの経路が複雑です。

そのため、「どの記事が売上に貢献したか」が見えづらく、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定できないと、「手間ばかりかかって効果がない」と誤解し、途中で挫折してしまう企業が後を絶ちません。Google Analytics 4(GA4)などの解析ツールを使いこなし、ユーザーの行動を正しく分析するスキルが求められます。

コンテンツマーケティングのデメリットのまとめ

コンテンツマーケティング デメリットのまとめ

ここまで見てきたコンテンツマーケティングのデメリットをまとめると、次のようになります。

  1. コンテンツマーケティング導入コストは、一般的なホームページ制作よりもかなり高額になる
  2. オウンドメディア構築にかかるコストだけでなくサーバースペックにも配慮する必要がある
  3. コンテンツを活かすためにSEOが必要になる。
  4. 継続的なコンテンツ配信にあたり制作運営コストがかかる
  5. 何を配信していくのか?といったコンテンツプランニングが必要
  6. 企業ブランドへの影響も考慮する必要がある
  7. Webマーケティング効果はいきなり現れないため中長期的な視点が必要になる

メリットとデメリットの総括 それでもやる価値はあるか?

デメリットを見ると「大変そうだ」と感じるかもしれません。しかし、これらは裏を返せば**「参入障壁」**でもあります。

多くの企業が「面倒だから」「即効性がないから」と脱落していく中で、これらを乗り越えて「本物の信頼資産(E-E-A-T)」を築いた企業だけが、広告費競争から抜け出し、安定した集客基盤を独占することができます。

2025年のコンテンツマーケティングは、「量」の勝負から「質と鮮度」の勝負へと完全に移行しました。楽な道ではありませんが、正しい戦略で取り組めば、そのリターンは計り知れません。

こうしたコンテンツマーケティングのデメリット面を加味した上で、ある程度運営に本腰を入れないと予算が空振りになるリスクがあります。

ただししっかりとしたプランニングと基本SEOなどの含めたオウンドメディア機能の土台、安定したコンテンツ配信に予算組ができる場合は、企業のWebマーケティングをより高みへと誘うでしょう。

AI時代のコンテンツマーケティング

ここまで、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットについて、2025年現在の最新事情を交えてお伝えしました。

かつては「記事を増やせば勝てる」時代でしたが、AIの台頭と検索エンジンの進化により、現在は「質の高い情報を出し続け、過去の情報も最新に保ち続ける(リノベーション)」という、より高度な運用力が求められています。

「手間の多さ」をコストと見るか、投資と見るか

デメリットとして挙げた「即効性のなさ」や「メンテナンスの手間」は、裏を返せば「簡単には崩れない参入障壁」でもあります。 広告費を払い続けて「一時的な集客」を買い続けるか、手間をかけて自社に「信頼される集客装置」を築き上げるか。経営判断として後者を選ぶ企業にとって、コンテンツマーケティングは今なお、最強のWebマーケティング手法の一つです。

成功のために必要な3つの視点

これからコンテンツマーケティングを始める、あるいは再構築する企業は、以下の3点を忘れないでください。

  • E-E-A-T(信頼性)の担保: AIには書けない、自社の経験と実績を言葉にする。
  • 過去記事のメンテナンス: 新しい記事を書くのと同じくらい、過去の記事を「今の情報」に書き換えることにリソースを割く。
  • ユーザーファースト: アルゴリズムの裏をかくのではなく、目の前のユーザーの悩みを解決することに集中する。

コンテンツマーケティングは、正しく行えば、御社の「見えざる資産」となり、営業マンの代わりに24時間365日、顧客との信頼関係を築いてくれます。

「何から手をつければいいかわからない」「過去の記事が古くなって順位が下がってきた」とお悩みの方は、ぜひ一度、Web制作とWebマーケティングの専門家である私たちにご相談ください。御社の現状に合わせた、最適なコンテンツ戦略をご提案いたします。

弊社でもコンテンツマーケティングを含めた企業のWebマーケティングのお手伝いをしております。ご興味を持たれた方は下記ページもご参照ください。

コンテンツマーケティング Webマーケティング

コンテンツマーケティング

(初回投稿日 2017年3月9日 大規模更新2025年12月18日)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

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