第一章 第十一話|霧深き夜に見た繊月   updated !


「じゃあ、健太。一週間後にまたオンラインで話そう。それまでに、LPで何を伝えるか、具体的に考えておいてくれ。業者選びについても、いくつか調べておくといい」

一平はそう言って、オンライン会議を締めくくった。俺は、一平の言葉を胸に、さっそくLPの内容を考え始めた。素人なりに、これまで一平から教わったUSPの重要性や、ターゲット顧客のニーズを意識しながら、紙に書き出していく。

「小さな困り事も迅速解決!電球交換からバリアフリーまで、地域密着の工務店にお任せください!」

このキャッチコピーを軸に、どんな写真を使い、どんな言葉で伝えるか。夜遅くまで、事務所の明かりをつけて考え込んだ。

普段から趣味で使っている一眼レフカメラを引っ張り出して、自分の手で撮影した現場の写真や、親父の代から使っている年季の入った道具の写真なども用意した。

プロのカメラマンには敵わないだろうが、俺の「真面目さ」や「親近感」は伝わるはずだ。

LPの内容を考える一方で、業者選びも始めた。

一平は「自分で考えろ」と言ったが、さすがに制作まで自分でやるわけにはいかない。まずは、インターネットで「LP制作」「格安」といったキーワードで検索してみる。相見積もりサイトやクラウドソーシングのサイトがいくつかヒットした。

いくつかのサイトを覗いてみたが、どれもこれもピンとこない。テンプレートを使ったような画一的なデザインばかりで、俺の工務店の「らしさ」が表現できるとは思えなかった。それに、料金体系も複雑で、結局予算オーバーになりそうな気がしてならない。かといって、安すぎる業者に頼んで、質の悪いものができあがっても困る。

途方に暮れていた時、ふと妻の顔が浮かんだ。

「そういえば、うちの奥さんの友達が、Web関係の仕事してるって言ってたな……」

俺はすぐに妻に相談した。妻の友人は、Webデザイナーとしてフリーランスで働いているらしく、すぐにその友人の知人を紹介してくれた。

その知人は、ポートフォリオを見せてくれた。どれもこれも洗練されたデザインで、プロの仕事だと一目でわかる。だが、俺には正直、何が良くて何が悪いのか、判断基準が分からなかった。かっこいいとは思うが、それが本当に客を呼べるLPなのかどうか。

「ちょっと、考えさせてください」

結局、その場では返事を保留にしてしまった。俺は、改めてWeb集客の難しさを痛感していた。いくら頭で理解しても、実践となると、分からないことだらけだ。一平は俺に「自分で考えろ」と言ったが、このままでは、前に進めない。

一週間後のオンライン会議が、俺にとっては最後の綱のように思えた。

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霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)

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