第一章 第十三話|霧深き夜に見た繊月   updated !


「健太、LPの内容、見せてくれ」

オンライン会議が始まり、一平はさっそく俺が作成したLPの構成案と、自分で撮った写真データを確認し始めた。俺は、緊張しながらも、自分が考え抜いた内容を説明した。

「このトップページで、まず俺たちの強みを大きく打ち出して、その下に、具体的なサービス内容を載せて……。で、ここには、このバリアフリー改修の写真を使いたいと思ってて……」

俺が熱心に説明するのを、一平は黙って聞いていた。時折、画面をスクロールさせたり、写真を拡大したりしながら、じっくりと目を通している。数分間の沈黙の後、一平はゆっくりと口を開いた。

「うん、健太。よく考えたな。内容も写真も、お前らしさがよく出てる。特に、この写真がいい。現場の空気感が伝わってくるし、何よりお前が真剣に仕事に向き合ってる姿勢がよく分かる」

一平の言葉に、俺はホッと胸を撫で下ろした。素人なりに頑張って考えたものが、プロである一平に認められたことが、素直に嬉しかった。

「全体的な設計としては、このLP一枚で、お客さんが知りたい情報を網羅できるようにする。お前が言語化したUSPを、視覚的に、そして言葉で、どう効果的に伝えるかだな。問い合わせまでの導線を分かりやすくして、お客さんが迷わず行動に移せるようにする」

一平は、俺の構成案をベースに、さらに具体的なLPの設計について説明してくれた。

「それで、業者選びは、どうするんだ?」

一平の問いに、俺は少しばかりの決意を込めて答えた。

「それが、実はもう決めたんだ」

一平は、少し驚いたような顔をした。

「ほう。どこの業者だ?」

「一番最初にWeb検索で問い合わせしたところに決めたんだ。実は、あの後もう一度、見直してみてな。ポートフォリオは派手じゃなかったが、見積もりも俺たちの予算内に収まってたし、会社概要を見て、事業年数が結構長かったんだ。10年以上やってるみたいで、最低限の信頼は置けるかな、と思って」

俺は、自分が下した決断を、一平に伝えた。決して胸を張れるような理由ではなかったが、今の俺には、これが精一杯の決断だった。

一平は、俺の言葉を聞いて、ニヤリと笑った。

「お、いいねぇ、健太。そりゃいい判断だ」

俺は、一平の意外な反応に目を見開いた。てっきり、もっと細かく理由を問いただされるかと思っていたからだ。

「正直なところ、バックに俺がついていれば、どこに制作を依頼してもさほど変わりない。大事なのは、お前が自分で決断して、そのLPをどう育てていくかだ。その一歩が踏み出せたなら、あとは俺がしっかりサポートしてやるから、心配するな」

一平の言葉は、俺の肩の荷を、ふわりと軽くしてくれた。そうだ、一平は俺の軍師だ。俺は、俺ができることを精一杯やればいい。あとは、一平が道筋を示してくれる。俺は、一平の言葉を信じて、再び前を向くことができた。

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