第一章 第十話|霧深き夜に見た繊月   updated !


「そうか。それなら、俺にもできそうだ」

俺は、一平の提案にわずかな希望を見出し、ようやく光が見えたような気がした。だが、すぐに新たな疑問が頭をもたげる。

「なあ、一平。俺が今契約してるサブスクのホームページ業者なんだが、ページを一枚追加するだけでも結構な金を取られるんだ。たしか、一枚追加で5万円とか言われた気がする。普通のWeb制作会社より4倍も5倍も高く設定してあるんじゃないか?」

俺の問いに、一平は苦笑いを浮かべた。

「ああ、よくある話だ。サブスクのホームページは、初期費用は安いが、後から追加費用で回収するビジネスモデルが多い。ページ追加や機能追加で高額な料金を請求されることは珍しくないんだ。だから、今の業者にLP制作を依頼するのは賢明じゃない」

その言葉に、俺はまたしても頭を抱えたくなる。どこまでも足元を見られているようで、腹立たしさすら覚える。

「じゃあ、その30万円をどう振り分ければいいんだ?」

俺が尋ねると、一平は即座に答えた。

「俺が推奨するのは、LP制作に20万円、そして広告運用に10万円の予算配分だ。LPは、お前の工務店の顔となる重要なページだ。ここにはしっかり投資すべきだ」

「LP制作に20万円か……。もう少し安く抑えられないのか? その分、広告に回せれば、もっと客を呼べるんじゃないか?」

俺は、少しでも広告費を増やしたい一心で、そう言った。一平は、俺の考えを見透かしたように、静かに首を振った。

「気持ちは分かるが、それはやめておいた方がいい。LP制作費を安上がりにすれば、その分広告予算は増えるかもしれない。だが、安かろう悪かろう、だ。集客のことがあまり分かっていない業者に発注すれば、いくら広告費をかけても効果は薄い。LPは、お客さんが最初に目にする場所だ。ここで惹きつけられなければ、次のアクションにはつながらない。質の低いLPでは、せっかくの広告費も無駄になるだけだ」

一平の言葉に、俺は納得せざるを得なかった。確かに、見た目だけ良くても、内容が伴わなければ意味がない。

「そうか……。分かった。じゃあ、一平。そのLP制作、お前に頼めないか? お前なら、俺の工務店の強みも理解してくれてるし、きっと良いものを作ってくれるはずだ」

俺は、藁にもすがる思いで一平に制作を依頼した。これで、ようやく本格的に前に進める。そう思った。だが、一平の返事は、俺の予想とは全く違っていた。

「悪いが、健太。俺は、LPの制作は引き受けられない」

俺は、耳を疑った。

「な、なんでだよ? お前、俺を助けてくれるんじゃなかったのか?」

俺が詰め寄ると、一平は真剣な眼差しで俺を見つめた。

「もちろん、助けるつもりだ。だが、俺がお前のLPを作ってしまっては、お前自身の考える力が弱くなる。お前は、お前の工務店の『顔』だと言っただろ? その『顔』を、他人に作らせてどうする? お前が自分で考えて、自分で作り上げるからこそ、本物の力がつくんだ。それに、俺はWeb制作会社の社長だ。お前が20万円で頼めるような仕事はしていない」

一平の言葉は、俺の心にグサリと刺さった。確かに、一平の言う通りだ。甘えてばかりいては、いつまで経っても自分の力で道を切り開くことはできない。

「だが、どうすれば……」

俺が途方に暮れていると、一平は少しだけ優しい声で言った。

「心配するな。俺は、お前がLP制作を依頼する業者選びから、完成までのディレクション、そして広告運用のサポートまでする。俺は、お前の『軍師』になる。だから、お前は、お前自身の足で歩き出せ。でも業者選びといっても探し方を手引するだけで決めるのはお前だ」

一平の言葉に、俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。突き放されたようでいて、しかし、その奥には確かな信頼と激励がある。

「100万の見積もりが来るくらいいろいろ考えたんだろ?それを絞って一枚に集約するんだ。内容には触れないが、LP制作をする相手に伝える、LPの全体的な設計の骨組みやポイントは伝えるよ」

俺は、一平の顔をまっすぐ見て、深く頷いた。

「分かった、一平。やってやる。俺の力で、この工務店を立て直してみせる」

こうして、俺と一平の、Web集客を巡る新たな戦いが幕を開けた。

第一章 第十一話|霧深き夜に見た繊月

第一章 第九話|霧深き夜に見た繊月

霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)

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