第二章 あかねいろのまごころ 第十二話|霧深き夜に見た繊月


一平は、大輝との話が一区切りついたところで、真紀の弁当店のことを切り出した。

「ところで大輝、今日、帰りにちょっと寄っていってほしい場所があるんだ」

「ほう? どこですか?」

「駅前にある『まごころ弁当』って店だ。俺の友人の奥さんの友人なんだが、今、ちょっと経営で困っていてな。俺も少しアドバイスしてるんだ」

一平は、真紀がフレンチレストランで修行した夫を持つこと、そして今は普通の弁当店として経営が厳しくなっていることなど、核心に触れない程度に背景を簡潔に伝えた。

「そこでだ。お前には、お客さんとして店を覗いていってほしい。そして、何か自然な会話の中で、『ポップアップストアとかやらないんですか?』って、それとなく聞いてみてほしいんだ」

大輝は、一平の意図をすぐに察したようだった。彼の専門は動画とSNS。ポップアップストアは、SNSでの告知と組み合わせることで、大きな集客効果を生み出す可能性を秘めている。

「なるほど、SNSと連動させて、期間限定で特別な弁当を出すとか、そういう方向性ですね?」

「ああ。彼女の夫はフレンチの腕があるんだが、それを活かしきれていない。店舗だけで集客するのは厳しい状況だから、SNSの力と期間限定のイベントを組み合わせることで、新しいお客さんにアプローチできるんじゃないかと考えている」

一平は、具体的な戦略の意図を伝えた。これは、健太が真紀に提案した「ちょっと良いフレンチ弁当」のアイデアを、大輝の専門知識でさらに具体化するための布石だった。

「承知しました。店員さんとお客さんの距離感を保ちつつ、自然な感じでそれとなく聞いてみますよ」

大輝はニヤリと笑った。彼のプロとしての嗅覚が、新たな面白そうな案件の予感を捉えたようだった。二人はベンチから立ち上がり、それぞれの目的地へと歩き出した。一平の頭の中では、真紀の弁当店の再生に向けた次なる戦略が、少しずつ形になり始めていた。

第二章 あかねいろのまごころ 第十一話

第二章 あかねいろのまごころ(第二章の目次)

霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

「第二章 あかねいろのまごころ 第十二話|霧深き夜に見た繊月」のカテゴリ 霧深き夜に見た繊月


ホームページ制作・カスタマイズ、Webマーケティング・SEOなどのお問い合わせ・ご依頼