真紀の提案に、浩二は俯いたまま、絞り出すように言った。 「俺の腕なんて、もう三流だよ。それに、商いのことなんて嫁さんに任せっきりの、五流にも満たない素人だ。そんなフレンチ弁当、誰も求めちゃいないさ。それが現実だよ、真紀」 その自虐的な言葉に、真紀の胸に熱いものがこみ上げてきた。 脳裏に、飲食店を営んでいた頃の光景が鮮明に蘇る。 あの頃は、毎日のように新しいメ 第二章 あかねいろのまごころ 第十話|霧深き夜に見た繊月霧深き夜に見た繊月 on 2025年12月9日 by ホームページ制作 京都のWeb制作会社 株式会社ファンフェアファンファーレ