数日後、真紀は再び健太の工務店の事務所を訪れた。前回よりもその表情は明るかったが、依然として課題は山積しているようだった。
「健太さん、お忙しいところすみません。実は、浩二さんも前向きになってくれて、フレンチ弁当やママ友たちと相談して出てきた子供向け、アレルギー対応の弁当、それからポップアップストアも検討することになったんです!」
真紀は興奮気味に報告した。浩二の協力が得られたことが、彼女にとってどれほど大きな一歩であったか、健太にも痛いほど伝わってきた。
「それは素晴らしい! 浩二さんも前向きになってくれて良かったですね」
健太も心から喜びを分かち合った。
「はい!それで、まずは一日だけのイベントから出店してみようかと。でも、問題は、それをどうやってWeb集客に繋げていけばいいのか、その深い部分がまだ全然見えてこなくて……。例えば、Instagramでどんな投稿をしたらいいのか、どんな動画を撮ったらいいのかとか、具体的にどうすればいいのかが分からなくて」
真紀の言葉に、健太は少し考え込んだ。彼はこれまで一平から学んだことを真紀に伝えてきたが、具体的なSNS動画の企画や、ポップアップストアとWeb集客を連携させる詳細な戦略となると、彼の専門外だった。
「うーん、そうですね……。確かに、その辺は僕も美咲に任せきりなので、正直、具体的なアドバイスは難しいかもしれません」
健太は正直にそう答え、その場でスマートフォンを取り出した。
「ですが、詳しいことは、やはり専門家である一平に聞くのが一番だと思います。今、ちょっと電話してみますね」
健太は一平に電話をかけた。スピーカーフォンにした受話器から、一平の明るい声が聞こえてくる。健太は真紀の現状と、彼女が抱えている悩みを簡潔に説明した。
「なるほど、ポップアップストアですか。それは面白そうですね。真紀さんの出店初日に、僕もその祭りに出向きます。そこでお会いして少しお話をしましょう」
一平の言葉に、真紀は期待の眼差しを向けた。
「ありがとうございます! ぜひ、よろしくお願いいたします!」
真紀は深々と頭を下げた。これで、漠然としていた未来が、ようやく具体的な形を帯び始める。浩二の技術、真紀の行動力、そして健太と一平の専門知識。それぞれの力が結びつき、「まごころ弁当」の新たな挑戦が、今まさに始まろうとしていた。







