最近、AIによる動画生成や音楽作成、そしてテキストコンテンツの自動生成が大きな話題を集めています。私自身も子どもと一緒にAIの絵本作成機能(Storybookなど)を使って遊ぶことがあり、子どものアイデアが瞬間的に形になる面白さは実感しています。
ただ、SEOやWebマーケティングの最前線に長年携わる中で見えてくる現実は、こうした生成AIのコンテンツは「その場の楽しみ」としては優秀でも、何度も読み返したり聞き返したりする価値を持ちにくいということです。さらに近年は、SNSのフィードで提示されたものをただ眺め、合わなければスワイプするという受動的な情報消費が主流になりつつあります。
今回は、AIが量産するコンテンツの波と受動的な流れの中で、私たちが本当に大切にすべき情報の深度と、事業を展開する上でのアプローチについて考えていきます。
プラットフォームを襲う量産型コンテンツの混乱と受動的な消費
今後、AIによって大量に作られたフェイク動画や中身の薄い量産型コンテンツは、ユーザーから自然とスルーされるようになっていきます。しかし、それらが完全に淘汰されるまでには少し時間がかかりそうです。
検索エンジンやSNSが迎える過渡期の危うさ
検索エンジンやYouTube、各種SNSプラットフォームの解析精度が、AIの圧倒的な生成スピードに追いつくまでにはタイムラグが発生します。その間は、膨大な量のAIコンテンツがタイムラインや検索結果を埋め尽くし、ユーザーが本当に求めている情報にたどり着けないという、かなりの混乱が生まれると予想しています。
自社のホームページ(ウェブサイト)で事業を展開する上でも、このノイズの海に巻き込まれず、本当に価値のある情報をどのように届けるかを見直す時期に来ています。さらに、現在のSNSでよく見られる「フィードで自動的に提示されて、自分の好みに合わなければスワイプして飛ばす」という受動的な消費の流れは、自分の趣味嗜好の枠から抜け出せず、予想外の出会いや新しい視点を得る機会を失ってしまうため、あまり良い傾向だとは思えません。
迷ったら検索エンジンか動画検索か、というところが主流にはなりますが、何かを知ろうとして自ら検索行動を起こすことは少なくとも能動的であり、まだ良い傾向だと言えます。
動画プラットフォームにおけるAIコンテンツの波と警戒感
テキストや画像だけでなく、動画の領域でもAIによるコンテンツ生成は急激に進み、プラットフォーム側も対応に追われています。
YouTubeの動向とSora 2の影響
少し前の投稿で、YouTubeでのAIコンテンツに対する収益化停止の動きや、Sora 2のような高品質な動画生成AIについて触れました。プラットフォーム側も量産されるAI動画への警戒を強めており、こうした技術と規制のいたちごっこによる混乱は今後も続くと考えています。関連する話題については、以下の記事でも詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
激増するYouTube収益化停止の実態 Sora2等のAI動画と今後のコンテンツマーケティングの行方
タイパ重視の陰で失われる「予想外の出会い」
テキストコンテンツに目を向けると、AIがまとめた文章を読むよりも、古本屋さんや図書館へ足を運び、ある程度著名な作家の小説を手に取ったほうが、何倍も何百倍も情報の深度があります。
好みに合わないこともひとつの成功体験
それにもかかわらずAIが重宝される背景には、自分の好みに合う本を探す「面倒くささ」があるのかもしれません。自分の趣味に直結するものだけを効率よく摂取したいという心理です。
しかし、手に取った小説が仮に自分の好みに合わなかったとしても、そこからまったく新しい視点や考え方が入ってくるのであれば、それは立派な成功体験と言えます。効率や手軽さだけを求めてAIに頼り切るのではなく、少し手間をかけても深度のある創作物に触れる時間を大切にしたいものです。
情報収集の「余白」と提供者側のスタンス
個人レベルでは、動画やネット上のテキストコンテンツだけでなく、もっと幅広い形式で情報を収集する「余白」を持つことが重要です。
芯を通しつつ、幅広いアプローチを探る
図書館や古本屋で書籍を探すこともそうですし、誰かとの偶然の出会いや、直接相談をするといった行動にこそ、何百倍もの深度が隠れています。そして、情報を提供する企業側も、この実情をどう捉えるかが問われます。現代の受動的な流れが今後も続くのか、一時的なものなのかはわかりませんが、そうした領域がある程度広がっている以上、広告活動などが必要な事業形態であれば、全く無視するわけにもいかないのが実情です。
大切なのは、自社のホームページ(ウェブサイト)という確固たる芯を通しながらも、世の中の受動的な流れも理解し、幅広いアプローチでユーザーとの接点を持っておくことかもしれません。
余談:AI絵本作成「Storybook」の家庭での楽しみ方

最後に少し余談ですが、冒頭でも触れたGeminiのAI絵本作成機能「Storybook」について紹介します。
これは簡単な指示を入力するだけで、AIが文章と挿絵を自動生成してオリジナルの絵本を作ってくれるサービスです。
子どもたちとおもちゃを主人公にしたオリジナル冒険譚
私の家庭では、子どもたちと一緒に独自のストーリーを作って楽しんでいます。
例えば、レミン&ソランやメルちゃんシリーズのお人形たちを主人公に設定し、彼女たちがどこでどのような冒険をするかを話し合って決めています。「潜水艦に乗って深海にいるUMA(未確認生物)を探しに行く」といった突拍子もない設定を作ることもあります。
さらに、絵本の対象年齢を指定したり、ギャグテイストや少しのホラー要素を加えたりと、AIならではの柔軟な設定を活かして遊んでいます。
何度でも読み返すような深いコンテンツにはなりにくいかもしれませんが、子どもたちの自由な発想をその場で形にして楽しむツールとしては、非常に面白い存在です。







