2021年4月、Googleは検索アルゴリズムにおいて製品レビューの品質を評価するアルゴリズムとしてプロダクトレビューアップデートProduct Reviews Update)が実施されました。この変更は単なる製品概要や他サイトのレビュー転載ではなく、実際に製品を使用し具体的な観察を交えたレビューを重視するという明確な指針を示したものでありその後のSEOに大きな影響を与えました。
当初、プロダクトレビューアップデートは英語の製品レビューのみを対象としたものとしてリリースされました。この意図は、ユーザーがより有益で信頼できるレビューに迅速にアクセスできるようにすることにありました。その後も改良が重ねられ、2021年12月、2022年3月、7月と続き、2023年2月には最新の第六弾「February 2023 Product Reviews Update」として展開されました。Googleはこれらの更新を通じて、レビューの内容が単なる製品紹介を超え、独自分析や実体験、性能比較といった情報の深さを伴うものかどうかを評価の軸に据えました。
「Product Reviews Update」から「Reviews Update」
2023年4月からのアップデートにおいて、対象が製品レビューに留まらず、サービス、観光地、メディアの評価など、あらゆるレビュー全般に拡張され「Product Reviews Update」は「Reviews Update」と改称されました。現在ではレビューコンテンツの品質を継続的に判定する仕組みとなっています。Google自身も今後は重大な変更がない限りこの種のアップデートを告知しない方針を示しており、CRC(継続的な改善プロセス)へと移行したと評価されています。
このレビューアルゴリズムの根幹には、機械学習モデルによるページ単位の評価があります。レビューの深さ、専門性、独自性といった定性的要素が自動判定されこれらに基づいて検索順位に反映されます。
従来は「製品レビュー」と明確に判断されるページのみが対象とされていましたが、今では意見提供や分析、推薦目的のコンテンツがレビューとして評価対象に含まれ、適用範囲が大きく広がっています。
プロダクトレビューアップデートの影響
プロダクトレビューアップデートは、アップデートのたびにレビュー主体の多くのサイトが順位やトラフィックの大変動を経験してきました。特にアフィリエイトを主軸に据えて薄いテンプレートレビューを量産していたサイトでは訪問数が劇的に減少したようです。orbes Advisory においては前年同月比で83%の減少、CNN UnderscoredやWSJのBuy Sideにおいても25%以上の落ち込みがありました。こうした変動は、優れたレビューが相対的に浮上する結果であり、低品質なレビューが「ペナルティ」を受けるのではなく、評価されるコンテンツに置き換わってしまう構図です。
「サイト評判の悪用(site reputation abuse)」に関するポリシーを強化
さらに2025年には、Googleが「サイト評判の悪用(site reputation abuse)」に関するポリシーを強化し、フリーランスなど第三者によって生成されたレビュー記事を探し出し、検索結果から除外する措置も見られました。その影響で多くのメディア各社が外部ライターとの契約を解消し、社内制作体制に移行するケースが相次いでいます。
SEOやコンテンツ制作において重視すべきポイント
こうした背景を踏まえ、SEOやコンテンツ制作において重視すべきポイントとしては、①実際に製品やサービスを手に取り、自身の視点で深く分析・評価すること(写真や動画、ユーザーとしての主観的所感を具体的に提示する)、②数値データによる性能比較、競合との違いを示し、どのようなニーズにその商品が応えるのかを明示する、③レビュー記事では複数の購入導線を提供し、ユーザーの選択肢を広げる構造を維持することで信頼性を確保する、④情報が古くなり次第、常に更新・改善を繰り返すというような点になります。
サイト運営者がこの更新システムに対応するためには、ユーザー本意の情報を提供し続ける姿勢が重要になります。
