「ランディングページ(LP)」とは、ホームページ(ウェブサイト)にやってくるユーザーが最初にアクセスするページです。一般にランディングページは、LPと略されます。
今回は「ランディングページがどのページかによって変わる導線」と題しまして、最初に閲覧される「ランディングページ」についてお伝えしていきます。LP(ランディングページ)とは、「最初に閲覧されるページ」を意味します(字義的には「着地ページ」という意味があります。なお、landing(ランディング)とは、着地や着陸を意味します)。
ランディングページには、広告用ランディングページ、SEMを意識したコンテンツページなどがあり、そしてトップページもランディングページとなりうることがよくあります。
- 広告用ランディングページ
- SEMランディングページ
- トップページ(ホームページ)
狭義のランディングページは、ホームページの様々なページの中でユーザーが最初に訪れるページを意味しますが、リスティング広告などでよく使用される広告用ランディングページ(直接的なコンバージョンを狙う縦長の広告っぽいページです)のことを「ランディングページ」と呼ぶ方もいます。なお、こうしたランディングページは「LP」と略されることがあります。
単に「ランディングページ(LP)」と表現される時は、直接的なWebマーケティングのコンバージョンを狙ったリスティング広告で利用される広告用ランディングページのことを指すことが多いでしょう。
以前、「トップページとコンテンツページ サイトの種類による重要度」でお伝えしたとおり、コーポレートサイトとメディアサイト、ECサイト(ネットショップ)では、トップページとコンテンツページの重要度が異なり、ECサイトなどでは、ユーザーがいきなりトップページにやってくることはほとんどありません。
また前々回、「ネットショップと実店舗の相違点 商品へのアプローチの違い」で、お伝えしたとおり、ECサイトの要は商品ページになります。しかしながら、コーポレートサイト(企業ホームページ)の場合は、トップページ経由での閲覧も多いでしょう。
広告用ランディングページとSEMランディングページ
ランディングページ(LP)の中には、広告用に制作された特別なランディングページがあります。
検索広告をクリックするとよく表示される、非常に縦に長い広告ページです。
広告用ランディングページに設置されたボタンのリンクは、お問い合わせページに飛ぶものや、商品詳細ページに移るケースが多いでしょう。問い合わせフォームがページ下部に組み込まれているタイプのものも数多くあります。
ウェブサイト・ホームページが2カラムレイアウトであっても、こうした広告用ランディングページは一般的に1カラムレイアウトです。
その理由は、1ページで完結し、他のページに移動すること無く問い合わせ等の行動を促すことを目的としているからです。
また、リスティング広告用ではなく、自然検索の通常クリックからのアクセスを狙ったSEM用のランディングページがあります。こちらは一般的なサイト内部のレイアウトで、高品質コンテンツによってロングテールSEOを狙ったページです。
- 広告用ランディングページ リスティング広告やアドネットワーク広告をクリックした時に表示されるページ
- SEMランディングページ SEOによって検索エンジンの自然検索経由で最初に表示されるページ
正確には、リスティング広告の利用はSEMにあたりますが、今回は、広告用とSEOによる自然検索経由でのランディングページとして定義します。
「広告」に特化したランディングページ(LP)
ウェブ広告用に制作されたランディングページ(LP)は、まず第一段階として、ある製品やサービスを具体的に紹介し、その製品・サービスに興味関心を持った場合に、購入やお問い合わせに進むといった導線が設定されています。ページ最下部等に問い合わせフォームが設置されていたりします。
単に「LP」と表現される時は、この広告用LP(ランディングページ)を指すことが一般的です。
商品やサービスの購入、申込みを促すことを目的としている他、求人などにも利用されています。
お問い合わせの送信、メールマガジンの登録など直接的なアクション誘導を目的とするページ
このケースは、まさに「広告」に特化しており、直接的なWebマーケティングを意識したランディングページで、間接的なPR要素はそれほどありません。
このタイプのランディングページは、リスティング広告などで使用され、クリックしたユーザーの直接的なアクション誘導(お問い合わせの送信、メールマガジンの登録など)を行うことを目的としています。
広告をクリックしてやってくるユーザーはニーズが顕在化しているため、トップページを含めて全体的なホームページの作りがシンプルでアクセスユーザーに対しての訴求力が低い場合に、リスティング運用専用にランディングページを作成するという場合もあります。
店舗やブランドサイトなどであれば、ブランディングは維持しながら一般ユーザーと広告からやってきたユーザーへの見せ方を変えるという方法で利用することができます。
1ページ完結型
リスティング広告を利用し、ニーズが顕在化したユーザーに対してのダイレクトなWebマーケティングの方法であるため、1ページ完結型であることが特徴です。
このタイプのランディングページはページ内に問い合わせフォームやメールマガジン登録などのフォームが組み込まれることがほとんどであるため、他のページへの導線設計は必要ありません。
複数のランディングページを用意し、ABテストを行いながらリスティング広告の費用対効果を測定して改善していくといった施策が一般的です。
ユーザーの心を動かすコンテンツ設計
ランディングページを作るにあたって、一番に考えるべきは「誰に、何を伝えたいのか」です。ここが曖昧だと、いくらデザインを凝ってもユーザーの心には響きません。
多くの人がやってしまいがちなのが、企業や商品の「伝えたいこと」を一方的に並べてしまうことです。しかし、ユーザーは「自分の悩みや課題を解決できるか」という視点でページを見ています。
そこで重要なのが、ユーザーのニーズに寄り添ったコンテンツ構成です。例えば、以下のような流れを意識するとユーザーは自然と読み進めてくれます。
- 共感と問題提起: ターゲットとなるユーザーが抱える悩みや課題に共感し、「もしかして、こんなことで困っていませんか?」と問いかけます。
- 解決策の提示: その悩みを解決できるのが、自社のサービスや商品であることを伝えます。
- 具体的なメリット: サービスや商品を利用することで、どのような良い未来が待っているのか、具体的なメリットを提示します。
- 信頼性の提示: 利用者の声や導入実績、専門家からの推薦など、信頼できる情報を提示します。
- 行動の促し: 最終的に、ユーザーに「お問い合わせ」や「購入」などの行動を促します。
このような設計には、ターゲット層の深い理解が重要になります。本格的な事業設計やマーケティング経験が求められるため、プロの力を借りる方が結果的に高い費用対効果を期待できるかもしれません。
A/Bテストで成果を最大化する
ランディングページ運用は公開後もユーザーの反応を見ながら改善を重ねることが大切です。そのためにとても重要になってくるのがA/Bテストです。
A/Bテストとは、2つの異なるパターンのページを用意し、どちらがより高い成果(コンバージョン)を生むかを検証する手法です。例えば、キャッチコピーを変えただけのページと、元のページを比較するといったやり方です。
よくある問題点としては、「テストの項目が多すぎる」「テスト期間が短すぎる」といったことが挙げられます。一度にたくさんの要素を変えてしまうと、何が改善につながったのかがわからなくなってしまいます。また、データが十分に集まる前にテストを終了してしまうと正確な判断ができません。
より効果的なA/Bテストを実施するためには、
- 「仮説を立てる」このキャッチコピーに変えれば、ユーザーはもっと興味を持ってくれるはずといった仮説を立ててからテストに臨みます。
- 「一度に1つの要素を変える」複数の要素を同時に変えず、キャッチコピー、ボタンの色、画像など、一度に1つの要素だけを変えてテストします。
- 「十分な期間とデータ量を確保する」成果が偶然ではないと判断できるまで、じっくりとテストを続けます。
これらのテストを繰り返すことで、ユーザーにとって本当に魅力的なランディングページへと育てていくことができます。これもまた、専門的な知識や経験が求められるため、プロに依頼することで、より効率的に、そして確実に成果をあげられる可能性があります。
SEMランディングページ
一方、SEMランディングページは、SEM(サーチエンジンマーケティング)として、ロングテールキーワードなどで、製品・サービスに直接関心があるユーザー層より少し興味関心が浅いものの幅広く接する機会を狙って、制作する場合が多いでしょう。
その場合は、SEMランディングページ自体は、直接的なWebマーケティングではなくPR要素を含んでいます。
もちろん検索経由からのホームページアクセスを狙ったものではありますが、広告用ランディングページのように直接的にマーケティングを行うといったものではなく、広告的要素があまりない場合がほとんどです。
記事・情報コンテンツページへのアクセス
直接的に商品やサービスを求めているユーザーへのセリングページの場合もありますし、コンテンツマーケティングの代表例として、情報を探しているユーザーへの情報コンテンツページとして検索エンジン経由でのアクセスを狙ったものというケースもあります。
実際の検索経由でのアクセスにおいては、商品購入用のページへのアクセスよりも圧倒的に記事・投稿などの情報コンテンツへのアクセスが多くなっています(もちろん業種やサイトタイプにもよります)。
こうしたページへの誘導を果たすためにSEOなどの技術を利用します。
コンテンツマーケティングなどで利用されるこうしたランディングページの持つ意味は、企業のPRとWebマーケティングのニーズ喚起です。
関連記事の提示などを行い、このページから他のコンテンツページへと導線を作ってより強い印象づけやニーズ喚起を行うことも有効ですし、単一のランディングページだけでコンテンツ下部に広告的なメッセージを込めて直接的なコンバージョンを狙うことも良いでしょう。
ホームページ(トップページ)がランディングページのケース
コーポレートサイト(企業ホームページ)では、ホームページ(トップページ)がランディングページ、というケースがよくあります。
社名でのWeb検索と言ったいわゆる「指名検索」でやってくるユーザーは、既にその企業に対しての関心が高いことが伺えますが、新規のWebマーケティングを意図する場合は、こうした指名検索でのユーザー以外との接点確保が必要です。
企業自体に認知度があり、社名で検索され、やってくるパターンもありますが、もう一つ、SEMとして、SEOに配慮し、例えば「税理士 滋賀」など「業種+地域名」などのミドルキーワードで検索結果トップ10にランクインしている場合にも、トップページがランディングページになるケースがあります。
Webデザイン面を工夫して、より強いインパクトを与える
ランディングページがホームページ(トップページ)で、かつきちんとアクセスが見込める場合は、ブランディングを優先してもいいでしょう。
この状態であれば、ホームページ(ウェブサイト)のデザイン面などを工夫して、より強いインパクトを与えるということも、有効になってきます。特に指名検索でやってくるユーザーに対しては、ブランド力向上のためのWebデザインや訴求力を高めるメッセージなどが有効になります。
このケースの場合は、企業のイメージをより伝えることができますが、それだけでは、せっかくのサイトアクセスにPRロスが多くなってしまいます。
全体のインデックス(索引)ページとしての役割
トップページには全体のインデックス(索引)ページとしての役割があります。
2ページ目以降への適切な動線の配置が必要になります。
主力ページヘの導線
ホームページのトップインデックスの中に、目立つキャッチやボタンでコンテンツページヘの誘導を施すなど、ランディングページの次にページ送りされる「誘導したいページ」ヘの導線が必要になるでしょう。
「1サイト2、3クリックで離脱する」という傾向があるため、よほどの関心を持たれない限り、3ページほどの閲覧でユーザーが離脱してしまうことを念頭に置けば、まずランディングページとして、あまり具体的なことが記載されていないトップページで1ページを見られているため、残りのチャンスは少なくなります。
トップページがランディングページの場合は、「次に閲覧されるページ」に重点を置いて、そのページまでの導線をしっかり作る必要があるでしょう。
あまりにページの分類が多く、内容が複雑になると、コンバージョンまでの導線づくりが難しくなります。ブログタイプのホームページでは、PV数が重視される傾向にありますが、企業サイトでは直接的なWebマーケティングにつながるセリングページへと誘導していくのが望ましいでしょう。
ただしそうしたセリングページへと誘導する前に、複数のコンテンツページでしっかりとニーズ喚起を行っておくことが重要です。
なんとなく「問い合わせてみるか」と想起しているユーザーよりも、「ここしかない」と思ってくれるユーザーからの問い合わせのほうが圧倒的にWebマーケティングが行いやすいことは明白です。
今回は、ホームページ(トップページ)がランディングページのケースをお送りしましたが、それ以外のパターンは、また次回以降にお伝えしていきます。
(初回投稿日 2016年2月25日)