ホームページ制作でどこまでリアリティを表現できるか

ホームページ制作でどこまでリアリティを表現できるか


ホームページ制作でどこまでリアリティを表現できるかということを考えることがあります。ホームページ制作においても、以下にホームページでリアリティを出し、臨場感を高めていくことができるかという点です。

昔聞いた話ですが、手書きのチラシを新聞折込で配布していた事業者さんが、キレイなグラフィックのチラシに切り替えた途端効果がなくなったことがあるそうです。

先日のビジネスプランコンテストのプレゼンテーションなどなど、プレゼンテーションにおいてもパワーポイントでの説明が一般的ですが、それも使い方次第なのかなぁと思うことがあります。

特にいつも感じることは、「プレゼンテーション資料を引用されている場合」に多いのですが、字が小さくて読めないことがあることです。巨大なスクリーンでも小さすぎて読めません。ホームページ制作でも画像の中に入っている文字が小さくて読みづらいことがよくあります。

チラシなどでも、人が手で書くにはある程度文字の大きさというか小ささに限界がありますが、パソコンを用いた印刷物やホームページの場合、人が普段手で書くサイズよりもかなり小さく表現されている場合があります。

そういえば以前、「サイト単体でのブランディング 情報量の少なさによるハンデ」で、こんなことに触れたことがあります。

コンテンツの増加とリアリティ

ウェブコンテンツの増加は、単純にページ増加や画像の増加、そしてテキスト量の増加です。

しかしながら、正確に「情報量」をとらえた場合は、バイト数やテキスト数は情報量とイコールにはなりません。

以前、「ウェブデザインにも自然や手書きの要素を」でお伝えしましたが、ホームページは、モニタで表現されるRGBによる表現のため、やはり限界があります。

そして人間はアナログにできているため、データを均一化する分だけ情報量が減っていくという点です。特に非言語的要素としての情報が削られていきます。

「直筆のサイン」と「パソコンでタイプされた名前」を比較すればイメージが湧きやすいかもしれません。

直筆の場合は、本人の筆跡という情報がこもっています。直筆とテキストデータでは、たった数文字、同じだけの文字数でも、そこに込められた情報の量が異なります。

パソコンが普及した頃は、パソコンで年賀状や書類を作ることが一種の時代の最先端のステータスのようになったこともありましたが、なんだかんだで、手書きで書かれたもののほうが味があり、印刷物そのものよりその脇にある手書きの「ひとことメモ」の方に目が行くということを今では切実に感じます。

ホームページ制作も、情報の伝達手段としてのホームページを作り込むということですから、そうした情報伝達において、検索エンジンが評価するようなデジタル的な部分だけでなく最終的に伝達すべきユーザーへのメッセージ性やリアリティをいかに高めるかというところも重要なのではないかと考えています。

ホームページコンテンツのリアリティ

ホームページコンテンツのリアリティ

「ホームページの情報量」ということが話題になる場合、Webにおいては、基本的に以上のようなテキストや画像の量が情報量になると思います。

しかし、ホームページの中にある情報量が多くても、それが実際のユーザーが感じる情報量の多さとはイコールにはならず、また、情報を複合した「リアリティ」につながるかといえば、単純に検索エンジンのようにはいかないのが実情でしょう。

ホームページ制作では、テキストデータが基本になりますが、このメリットは、コンピュータにも解読可能である点です。

だからこそGoogleなどの検索エンジンのボットも、ページの内容を読み取ることができ、結果的にクエリとの関連性を弾き出すことができます。

人もコンピュータも理解できるもの、それがテキストデータです。ただ、そのテキストデータの中の各文の重要度の判断を人間は理解できるものの、コンピュータ相手の場合は、アルゴリズムによってある程度出現回数や記述場所で重要度を推測しますが、なるべく示していく必要があります。それがSEOというものの本質です。

ユーザーへのメッセージの伝達

ユーザーへのメッセージの伝達

しかしながら、本当にユーザーへのメッセージの伝達ということを考えた場合には、純粋なテキストデータよりも、おそらく手書きでメッセージを書いた便箋の画像を貼り付けたほうが、よりリアリティがあります

検索エンジン相手であれば、HTMLマークアップや構造化データマークアップで重要度やページの性質を示していくこともできますが、「リアリティ」とは関係ありません(CSSで該当箇所を装飾するという面は多少リアリティに関係します)。

どのようなデータでも、デジタル化され、加工されていけばいくほど、基本的にはリアリティは低減していきます。混色の際の彩度の低下のようなもので、表現のクオリティが上がっている面もありながら、その分リアリティは下がっていくというような側面があるのではないでしょうか。

もちろんレイヤーを重ねていけばいくほど、同じだけの「情報場」で伝えられる情報量は向上していきますが、その分、現実味からはかけ離れていく場合もあるでしょう。

できるだけ生に近い素材のほうが臨場感自体は演出しやすくなります。

意志の伝達、情報の伝達ということが本来の目的であるならば、コンテンツのリアリティもかなり重要な要素であるはずです。

デジタルコミュニケーションであるホームページ制作において、いかにリアリティを作っていくか、それは、コンピュータお得意の「数値」で判断できないような非言語的な要素が必要なのかもしれません。

絵でも記号でもなく、ほんとうなんだ

潮ビジュアル文庫 「ブッダ」第七巻「ダイバダッタ」

先日、文化の日ということもあって、久しぶりに手塚治虫さんの「ブッダ」を読み返していると、巻末の解説文に興味深い事が書いてありました。

潮ビジュアル文庫の「ブッダ」第七巻「ダイバダッタ」の巻末なのですが、コピーライターの糸井重里さんが解説をされており、その中に次のような一文がありました。

手塚治虫のマンガの生きものたちは、死に、傷つき、病むという予感を感じさせるのだ。「これは絵じゃない。(ペン先からケント紙へとしみこんでいったインクの跡だけれども)絵でも記号でもなく、ほんとうなんだ」と、訴えかけているのだ。

人と人が一対一で語り合っていれば、いつしかコトバは重くなっていくもので、それはお笑いを仕事にしている人だって同じだろう。手塚治虫と私たち読者は、そんな一対一で向かい合う空間を共有する。だから当然重くなる。絵であることを超えたほんとうと、それに対面することでにじみ出てしまった読者という人間のほんとうがぶつかりあうのだからな。

潮ビジュアル文庫 「ブッダ」第七巻「ダイバダッタ」 巻末

そういえば、手塚治虫さんの描くキャラクターは、どれもシンプルなんですが、どんなリアルな絵よりも活き活きと、本当にリアリティを感じてしまいます。そして、内容が重い。普通の本を読むより断然疲れるんです。特に「ブッダ」は内容も濃いですからね。

もしかしたら、こんなところにホームページ制作のリアリティ表現のヒントが隠れているかも知れません。

ただ情報量が多いという面は、検索エンジンが好むポイントです。おそらく検索エンジンは手塚治虫さんのマンガよりも広辞苑を好むでしょう(どちらも素晴らしいですが)。

しかしながら本当の情報量の多さや臨場感の演出は、通常考えられているような表現の枠を超えて、シンプルなものでありつつも、抽象化され、情報が凝縮した表現であるのかもしれません。

ホームページ制作とコピー

ホームページ制作とコピー

その一つが「コピー」ですよね。ホームページ制作で言えば、タイトルや見出し、アイキャッチ画像内のキャッチコピーなどになるでしょう。そこにいかにこだわれるか、という点がポイントのひとつになるのかもしれません。

やっぱり糸井重里さんに繋がってしまいました。

私たちは、いかにWebの表現で「ほんとう」を作り出せるか、それに注力していく必要があるでしょう。

というようなことを感じました。まだまだ課題は多そうです。

(初回投稿日 2016年11月10日)

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