今回は、ホームページのWordPress化で起こる問題点についてお伝えしようと思います。おかげさまで、ホームページのWordPress化サービスなどもたくさんご利用いただいておりますが、お見積時にご要望とお見積額の問題で断念されるケースや、WordPress化によって付随する問題点など、ホームページのWordPress化で起こる問題点やお見積額が高額になるケースについてお伝えします。
今回は、「ホームページが古くさくなっているので、リニューアルを考えているが、多少のデザイン変更とホームページのWordPress化を検討している」といった方向けに、ホームページWordPress化といったリニューアルにかかる様々なリスクや、隠れた無駄なコスト面、新規ホームページ制作で、どのように新ホームページを活用するか、といった点について考えてみようと思います。
ホームページのWordPress化を検討されている方の中には、
「今後は、やはり自分で投稿を増やしていけるWordPressサイトを使っていきたいが、何か注意する点はあるだろうか?」
「新しくWordPressサイトを新規制作すると費用がかかるため、ひとまず現状のホームページをベースにWordPress化をお願いしたいが、何か手間は増えたりするのだろうか?」
という疑問をお持ちの方も多いと思います。
「今まで使っていたドメインはそのままで、さらにページの内容も基本的には今までのホームページのコンテンツ内容を引き継ぎ、WordPressサイトにリニューアルする」というケースで起こる問題点や確認点について触れていきます。
ホームページを新しく制作するかWordPress化するか
新規開業や新設法人など、創業したての事業者様などではなく、既に創業から年数の経った企業などであれば、新しく「商品やサービスのブランドサイト」を稼働させる場合でもない限り、一から「ホームページを作ろう」と思われる企業はかなり減少したのではないでしょうか?
弊社でも、既存ホームページのカスタマイズを含め、新規ホームページ制作よりもリニューアル案件が数多くあります。
「ホームページが古くさくなっているので、デザインも少し変更して、WordPressで新しくホームページを制作しよう」
というケースもよくあると思いますが、既存のホームページをWordPress化される場合には、様々な問題点が生じることがあります。
「ドメインの一貫性」や「旧ホームページのコンテンツをどうするか?」といった問題
「ゼロから新規ホームページ制作を依頼するか?既存ホームページをWordPress化してリニューアルするか?」
といった選択の際には、「ドメインの一貫性」や「旧ホームページのコンテンツをどうするか?」といった点がよく問題になります。
「ドメインはそのままでWordPressサイトにリニューアルする」
というケースにおいて、同一ドメインを使用する時や旧ホームページのページコンテンツをどのように扱うかという点についてです。
弊社では、ページ数の多い企業ホームページなどであれば、SEOなどの観点から新規ホームページ制作扱いとして、現状のホームページを分解して再構築させて頂く場合もあります。
しかしながら、現状のデザインやコンテンツを維持しながらホームページ内部をWordPress化する、といった場合には、コンテンツ移管、Google検索エンジンのペナルティ回避やSEO設定等にかかる費用面などで様々な問題が起こる場合があります。
ドメイン一貫性の問題 同一ドメインでの再構築
例えばドメイン一貫性の問題として、リダイレクトの問題があります。
かなり古くから運営されているホームページの場合は、ドメインがレンタルサーバーサービスのサブドメインやサブディレクトリである場合もあり、リダイレクト(転送)の設定が禁止されていてサイト評価の引き継ぎができないという場合もあります。
また細かな点では、htmlページからWordPressに変更する場合に、旧サイトURLの末尾が「/ディレクトリ名/index.html」ばかりであり、ディレクトリへのアクセス、つまりスラッシュで区切ることができれば良いのですが、abc.htmlなどの「ユニークな名称+拡張子html」の場合は、個別に転送設定をしていく必要があり、別途費用がかかる場合があります。
ページ移管にもページ数に応じた費用が必要になり、場合によっては個別に転送設定をしてく必要があります。
このように「旧ホームページのコンテンツをどうするか?」という問題が生じてきます。
新規ホームページ制作の問題点
ホームページのリニューアルとしての選択場面で、既存ホームページのWordPress化という選択肢を取らず、新規でホームページ制作を行う場合の問題点としては、企画設計を含めホームページ制作にかかる作業やコストが大掛かりになることです。
もちろん新規ホームページのメリットとしては、すべてをリフレッシュして全く違う形のアプローチでホームページ運営を行うということが視野に入りやすいという点があります。
一方で、デメリットとして企画設計の段階ではリニューアル自体がされていませんので、当然ホームページを作り変えたことで得られる恩恵自体は、かなり遅れて現れることになります。
WordPressの場合は、WordPress化をしてからトップページのデザイン変更やページの統廃合などを含めて中身を作り変えるということもできますので、徐々にスライドさせていけるというメリットもあります。
既存ホームページのWordPress化で起こる問題点
既存ホームページのWordPress化をはじめ、ホームページのリニューアルで起こる問題点はいくつかありますが、その代表的なものは、「名刺やチラシ、会社案内に記載されたドメイン・URL(http://funfairfanfare.com
)を変更することができないため、今あるホームページを変更(リニューアル)するしか無い」という点と、「今のホームページのコンテンツを新しいホームページに移管する場合のコストが高額になる」という点がほとんどです。
- 現状のホームページを変更するしか無い
- ページ移管に費用がかかるため、ページ数が多いと高額になる
ページ移管に費用がかかるため、ページ数が多いと高額になるという点に関しては、WordPressのコンテンツとしてページの移管を行えば、昔から公開されている旧コンテンツの再編集もWordPress上で行えるため、修正を加えていかれる場合はその方が楽ですが、既存ホームページのページ数が多い場合、そのページ移管費用が高額になってしまうというものです。
同一ドメインで再稼働するメリット
既存ホームページのWordPress化を含めて、古いホームページと新しいホームページを同じドメインでリニューアルする場合は、既に認知されたドメインを改めて告知する必要がないところが、一つのメリットです(ナンバーポータビリティのようなものです)。
また、新規ホームページ制作で新ドメインを利用せずに、ホームページリニューアルとして同一ドメイン下にコンテンツをたくさん配置すると、SEOとしてのサイト評価が高まります。
(なお、リンクがたくさん集まっているのならば、301リダイレクトで転送するよりも、評価のロスが少なくて済むようになります)
さらに、別ドメイン間の重複コンテンツによる「コピーサイトの疑いによってインデックス登録されない」といったリスクがなくなります(リダイレクトやcanonicalで防げますが、その分コストがかかります。この点についてはまた別の機会にお伝えしようと思います)。
同一ドメインで再稼働するデメリット
しかしながら、問題点として静的HTMLサイトなどを、WordPressサイトへと変更する場合、それまで1ページ、1ページ丁寧に制作されたページの内容を、WordPress内の固定ページや投稿ページに移し替える必要があります。
イメージとしては、新しく購入した携帯電話に、前の携帯電話の電話帳や画像データを手作業で移し替える必要があるようなイメージです。
携帯電話の電話帳は、アプリなどですぐに移し替えることができますが、ホームページをWordPress化する場合には、携帯ショップでもアプリでも移し替えができなかった頃と同じように、一つずつ手作業で移管する必要があります。
極端に言えば、「電子手帳の電話帳」を今のスマートフォンに移し替えるような感覚です。USB接続もBluetoothも使えない状態で、電話帳情報を移し替える場合は、手作業しかありません。
この分だけどうしても作業量が増えるため、「移し替えるべきデータ」が多ければ多いほど、お見積額が高額になるケースがあります。
WordPress化後の保守の必要性
また、WordPress化をする時には発生しない点になりますが、WordPress化後に起こる手間としてWordPressの保守の必要性が挙げられます。
WordPressの本体やプラグインなどの更新や、サーバーのphpバージョンなどの更新の他、WordPressが不具合を起こしたときや攻撃を受けたときに備えて定期的なバックアップを取るなどの保守管理が必要になってきます。
それまで利用していた静的HTMLサイトであれば、制作時にデータを保存しておく程度でよかったホームページの保守作業が、WordPress化後には各種バージョンの定期的な更新とサイトデータの定期的なバックアップが必要になるという手間が増えます。
WordPress化の見積もり費用が高額!
さて、次にWordPress化の見積もり費用が高額になった事例をご紹介します。
以前担当させていただいたお客さまで、2000年からホームページを運営されている方がいらっしゃいました。
もちろんその頃はWordPressどころか、レンタルブログもない時代です。稼働されているホームページはFTPでアップロードする形の静的HTMLで制作されたホームページでした。
「このサイトをWordPress化できますか?」
そういったお問い合わせをいただき、ホームページをくまなくチェックさせていただいたのですが、2000年から運営されているので、ページ数が2000ページ以上、画像は1万点を超えていました。
もちろんWordPress化することは可能です。WordPress化できるかできないかで言えば、もちろんこのホームページをWordPress化することは可能でした。
「あのWordPressの管理画面で、昔の画像をページに挿入とか楽にできるようになりますか?」
少し戸惑ってしまうご質問でした。
先ほどお伝えしたとおり、旧コンテンツをWordPressの固定ページや投稿、「画像などのメディア」として、CMS管理するには、全てのコンテンツを手作業で移し替える必要があります。
今まで制作された全てのコンテンツをWordPressのコンテンツとして再配置することを前提にお見積すると1000万円近くのお見積額になりました。
お客さまとしては、弊社のページを見て20万円から30万円くらいを想定されていたと存じますが、結果としてホームページのWordPress化のお見積額はその数十倍の金額になりました。
トップページと新規コンテンツのみWordPressで運営
そこで取らせていただいた方法は、旧コンテンツは「過去のアーカイブ」として、ノータッチにするということでした。
ホームページのWordPress化にあたり、トップページや、WordPress化以後のコンテンツはWordPressで生成するものの、旧コンテンツはそのまま置いておいて、旧コンテンツへの内部リンクを設置したインデックスページをWordPress側で制作することにしました。
この方法なら、WordPress化の費用を格段に抑えることができます。
WordPressの機能を全てフルで使うことはできませんが、リニューアル以後のページ生成の手間は格段に省略することができます。
どうしても、既にアップロード済みでサーバーディレクトリに格納された画像をWordPressで使用される場合は、画像パスを記述していただくか、WordPressへと再アップロードしていただく必要がありましたが、それほど頻繁にすべての画像を使用するわけではないということでしたので、そうした手順をお願いすることになりました。
一番のありがたかったのはお客さまのご理解
「ホームページのWordPress化」というサービスを提供していますが、どうしても上記のような問題点についてイメージをお伝えしきれていないのが現状です。
やはりイメージとして「今ある全てのページがWordPressの管理画面で操作可能になる」といったイメージを持たれていらっしゃるかもしれません。
もちろん、すべてのコンテンツを移管させて頂く場合には、そのようになりますが、長期間運営され、ページ数が膨大であるホームページである場合には、お見積額が高額になるケースがあります。
今回の事例は、お客さまのご理解があったからこそできた「ホームページのWordPress化」のケースです。
もし、ご要望が「すべてのコンテンツの移管を含み、旧コンテンツも管理画面で操作できること」であった場合は、費用の問題でWordPress化が実現していなかったかもしれません。
私たちも出来る限り、柔軟にご提案させていただこうと考えておりますが、まだまだ至らぬ点がたくさんあります。
「今後のページ作成が楽になるならそれでもいいよ」
と言っていただけたときは救われた気持ちでした。
この事例は本当にありがたかったと、印象に残っております。
ホームページ(ウェブサイト)のWordPress化
(初回投稿日 2016年12月13日)