第一章 第二十五話|霧深き夜に見た繊月


新しいWordPressサイトが公開されてから数ヶ月。一平が施してくれた迷惑メール対策のおかげで、問い合わせフォームは正常に機能するようになった。Analyticsでアクセス数も確認できる。しかし、期待していたような、ホームページからの直接的な新規顧客獲得には、まだつながっていなかった。

「うーん……」

俺は、パソコンの前で唸っていた。コンテンツ制作も、行き詰まっていた。最初は意気込んで、家の修繕やリフォームのコツなどをブログに書いていたが、すぐにネタ切れになった。何を書けばいいのか分からない。

焦る気持ちから、ついプライベートな、趣味のキャンプや日曜大工の話まで投稿してみた。

それが、一平が設定してくれたSEOのバランスを乱しているのかもしれない、という漠然とした不安があった。実際、アクセス数は伸びていても、それが問い合わせに繋がっている実感がないのだ。

「こんなこと続けて、本当に意味があるのか……?」

コンテンツ配信自体に、懐疑的になり始めていた。

同時に、これまで順調だったリスティング広告の運用も、頭打ちになっていた。広告費を倍に増やしても、以前のような劇的な伸びは見られない。確かに、LPからの集客は継続している。ある程度のWeb集客は叶っていると言えるだろう。だが、サイトリニューアル後に、目に見えて状況が好転したという実感はなかった。

「なあ、一平。今、話せるか?」

俺は、耐えきれなくなり、一平にオンライン会議を申し込んだ。

「どうした、健太。そんな深刻な顔をして」

画面に映る一平は、いつものように冷静だった。

「いや、深刻だ。リニューアルしてから数ヶ月経つけど、思ったような変化がない。コンテンツもネタ切れで、何書いていいか分からなくなってきた。それに、俺が趣味で書いた記事のせいで、SEOがどうにかなってるんじゃないかって不安もある。リスティング広告も、もう伸びてないし……」

俺は、これまでの鬱憤を全て吐き出すように、一平に現状を伝えた。

「このまま続けて、本当に意味があるのか? もしかして、俺みたいな素人には、Web集客なんて、やっぱり難しいんじゃないのか?」

半ば諦めに近い気持ちで、俺は一平に問いかけた。

一平は、俺の言葉をじっと聞いていた。その体格の良い体が、画面越しでも大きく見える。俺の顔に、諦めの色がにじんでいるのが分かったのだろう。一平は、ゆっくりと、しかしはっきりと口を開いた。

「健太。お前がそう感じるのも無理はない。だが、諦めるのはまだ早い。ここからが、本当の勝負なんだ」

第一章 第二十四話|霧深き夜に見た繊月

霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

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