第一章 第十八話|霧深き夜に見た繊月


小旅行から戻って数日後、俺は一平に、これまで温めてきたWordPressサイトの具体的な内容をメールで送りつけた。LPで使った強みや、顧客へのメッセージ、そして写真素材も全て添付した。

「これまでのLPの経験を活かして、まずはスモールスタートでいい。後からページを追加していけるのがWordPressの強みだからな。まずは、最低限必要なページで公開して、軌道に乗ったら少しずつコンテンツを増やしていこう」

一平からの返信には、そんな言葉が添えられていた。やり取りは基本的にメールだ。俺は、日中の業務の合間を縫って、一平からの質問に答えたり、送られてくるデザイン案や文章の校正を行ったりした。慣れない作業ではあったが、LP制作の経験が活きているのか、以前ほど戸惑うことはなかった。

一平の仕事は、さすがプロだ。俺の曖昧な要望も、的確な形に落とし込んでくれる。数週間後、ついに新しいWordPressサイトが完成した。真面目で丁寧な俺たちの仕事が、写真と文章でしっかりと表現されている。以前のサブスクのホームページとは雲泥の差だ。

「これで、うちの工務店も、ようやくちゃんとしたWeb集客の土台ができたな……」

俺は、完成したホームページを眺めながら、しみじみとそう呟いた。

新しいホームページが公開されてから数日後、俺は早くも異変に気づいた。問い合わせフォームから、やたらとメールが届くようになったのだ。最初は、「おお、問い合わせか!」と喜んだが、開いてみると、どれもこれも営業メールや迷惑メールばかりだった。

「SEO対策しませんか?」「サイトのアクセスを劇的に増やします!」「貴社のホームページが狙われています!」

毎日何十件も届く、見慣れないアドレスからのメール。中には怪しげなものもあり、読むだけでもうんざりする。

「おいおい、こんなに迷惑メールが来るようじゃ、本当に大事な問い合わせが埋もれてしまうじゃないか……」

俺は、一平に電話をかけようかとも思ったが、まずは自分で何とかできないかと、届いたメールを一つ一つ確認していくしかなかった。せっかく作ったホームページが、まさかこんな形で俺を悩ませるとは、思ってもみなかった。Web集客の道のりは、まだまだ一筋縄ではいかないようだ。

第一章 第十七話|霧深き夜に見た繊月

霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

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