「ネットショップと実店舗の認知度・信用力の違い」というタイトルで、非店舗型経営におけるネットショップ単体運営の場合と、実店舗を有する企業のネットショップ運営との差について、そしてウェブ上でのサイトやブランド認知に対するユーザーの認知度・信用性について、触れていきます。
端的には、ECサイト運営のみ、もしくは、ECサイト+コーポレートサイトのみで、実店舗を持たない場合と、実店舗を持ちながら、ECの分野に進出した場合のウェブサイト運営のポイントの違いになります。
- 非店舗型経営におけるネットショップ単体運営
- 実店舗を有する企業のネットショップ運営
ネットショップは、実店舗ほど初期費用がかからず、スタートしやすい分野ですが、実店舗を持たない分、ショップの知名度向上と、信用力強化が最大のポイントになります。
実店舗からECの分野に進出した場合は、ある程度の知名度と信用力が期待されるため、その点は比較的容易にクリアすることができるでしょう。
今回は非店舗型のネットショップ単体を運営する場合における、知名度向上と信用力強化について書いていきます。
ウェブ上でのネットショップブランディング

小売店の実店舗であっても、ウェブ以外の分野で莫大な売上があるような企業の場合、一般的に名前は知られている可能性がありますが、ウェブ上のみで同じようにすごい売上がある楽天ショップでも、そのショップ名はそれほど知られていない可能性があります。
実店舗がなくても、以前からカタログなどの通信販売をしている企業であれば、信用力と知名度はありますが、ネットショップ単体の場合は、それを期待することはできません。
店舗ブランディング

ウェブ上での店舗ブランディングに当たるECサイトのビジュアル面、デザイン面も、それだけでは店舗としてのイメージはなかなか残りません。
実店舗であれば、所在地や外観、内装で、ある程度店舗のイメージを体感で伝えることができますが、ネットショップの場合は、ブラウザ上で視覚的、それも二次元的なインパクトしか無いため、記憶に残りにくいという情報特性があります。
こういった特性を持っているため、ネットショップ「そのもの」をブランドとして認知することは容易ではありません。
ネットショップの信用力を高める具体的な方法

ネットショップを立ち上げたばかりの頃、お客さまは「このお店は本当に信頼できるのかな?」と不安に思うかもしれません。これは、実店舗のように直接商品を見たりお店の人と話したりできないからです。
この不安を一つひとつ取り除いていくことが、ネットショップの信用力を高め、お客さまに安心して買い物をしていただくための重要な要素になります。
ネットショップ(ECサイト)事業は、顔が見えないからこそ、お客さまに「このお店は大丈夫だ」と感じていただくための工夫がとても大切です。
ここで、信用力を築くための具体的な方法を見ていきましょう。
法律に基づく正しい情報開示から、セキュリティ対策、お客さまとのコミュニケーションに至るまで様々な角度から見ていきます。
法律に基づいた正しい情報で安心感を与える
ネットショップを始めたばかりのとき、お客さまに「本当にこのお店は大丈夫かな?」と不安に思われることは少なくありません。その不安を安心に変えるための第一歩が、特定商取引法に基づく表記を正しく記載することです。
特定商取引法に基づく表記の重要性
この表記は、事業者の情報を明確にすることで、お客さまに「誰が、どこで、どんな事業をしているのか」を伝えるためのものです。住所や連絡先、責任者名をきちんと記載することで、お客さまは何か問題があったときに連絡が取れるという安心感を得られます。これは単なる法律上の義務ではなく、お客さまとの信頼関係を築くためのとても大切な土台です。
セキュリティ対策で信頼性を築く
お客さまが個人情報やクレジットカード情報を入力する際、不安を感じさせないことは、ネットショップ運営において重要です。そこで役立つのがSSL証明書です。
SSL証明書導入のメリット
ホームページ(ウェブサイト)のURLが「https」で始まっているのを見たことはありますか?
これはSSL証明書が導入されている証拠です。この証明書は、ウェブサイトとブラウザ間の通信を暗号化し、お客さまの個人情報が第三者に盗まれるのを防いでくれます。お客さまはURLの「https」を見て、「このサイトは安全なんだな」と直感的に判断します。こうした目に見える安全対策は、お客さまの不安を大きく取り除いてくれます。
リアルな声で共感を呼ぶ
お客さまが商品を購入する際、他の人の意見を参考にすることは多いです。そこで有効なのがレビュー(お客様の声)を掲載することです。
レビュー(お客様の声)を掲載する効果
良いレビューはもちろんですが、実は良いレビューばかりが並んでいると、かえって不自然に感じる方もいます。大切なのは、良い評価も悪い評価も両方掲載することです。
さらに、悪い評価に対しては、真摯に対応したコメントを添えることで、お店の誠実さや対応力をアピールできます。
お客さまは「このお店は何かあってもちゃんと対応してくれる」と感じ、安心感につながります。
運営者の顔が見える関係づくり

ネットショップは顔が見えにくいのが弱点です。その弱点を強みに変えるのが、運営者の人柄を伝えることです。
SNSで人柄を伝える
SNSは、お店の裏側や、店長がどんな思いで商品を扱っているのかなど、人間味のある部分を伝えるのに最適なツールです。
お客さまは、ただの商品だけでなく、お店の「中の人」に親近感を抱き、ファンになってくれるかもしれません。商品の紹介だけでなく、日々の出来事やちょっとした失敗談など肩の力を抜いた投稿も効果的です。
動画でよりリアルに
SNS投稿に加えて、動画を利用するのも良い方法です。
動画で伝えるストーリー
独自商品を扱っている場合は、商品の製造過程や、どのように梱包されているかなどを動画にすると商品の価値やこだわりが伝わりやすくなります。
また、商品の使い方を丁寧に解説する動画は、お客さまが安心して商品を使える手助けになります。
ライブ配信で距離を縮める
ライブ配信は、お客さまとリアルタイムでコミュニケーションを取れる貴重な機会です。新商品の紹介をしたり、質問コーナーを設けたりすることで、まるで実店舗で接客しているかのような親近感を生み出せます。
認知度と知名度

なお、補足的になりますが、認知度と知名度の概念は少し異なり、認知度は、ブランドとしてのイメージやサービスの中身まである程度理解されているという概念に対し、知名度は、ひとまずショップ名やサービス名などが広く知れ渡っているか否かの尺度となります。
認知度向上の前提には知名度が必要であり、知名度向上には単純接触でもかまわないので、ひとまずユーザーとの接触が必要になります。
知名度向上のルート

ネットショップの知名度を向上させる方法として考えられるもののはいくつかあります。一つはSEOによる商品ページの検索エンジン経由のアクセスです。さらに自社サイトへのアクセスという点で言えば、ECサイト内に設置した、オウンドメディアによる集客です。
しかしながら、信用力向上と、知名度向上を同時に行う場合は、クロスメディアとメディアミックスを活用したほうが良いでしょう。
第三者からの紹介や情報提供は信用力を向上させる

ウェブ上以外でのメディアとの組み合わせによって、認知度と、信用力を強化する方法です。実店舗がなくても、例えば外部メディアに掲載されたりすると、それが一つの信用力になります。
第三者からの紹介や情報提供は信用力向上に大きく貢献します。
まずは自社サイトへのアクセスや各種Web上でのプロモーション回数を増やし、知名度を向上させながら信用力を強化し、深くECサイト内を閲覧してもらうことによって、認知度を向上させるといったイメージです。
オウンドメディアとSEO
オウンドメディアとSEOによって、サイトのアクセスを得て知名度向上を狙った場合、ユーザーはウェブページのコンテンツ内部だけをみることだけがほとんどなので、コンテンツ内部に知名度向上のための文章を組み込むなどの工夫が必要になります。
ショップの信用力

ネットショップ(ECサイト)単体の場合、最も問題になるのは購買の意志決定における、信用力からの抵抗感です。
通常の店舗であれば、物理的な臨場感やスタッフの存在によってある程度信用力があるものの、Web上でいきなり出会ったネットショップに対してすぐに信用感を感じ抵抗感を払拭するということはなかなかできません。
この点をクリアするには、楽天やアマゾンヤフーショッピングなどの利用がもっとも容易かもしれません。
個人的にはネット黎明期を経てインターネット通販が現れてきてから、実際にネット経由で商品を購入するまで、かなりの時間がかかりました。
ネットで物を買うということ

それは、ネットショップに掲載されている商品を欲しくなっても、ネット経由で購買をするということ自体が非常に危険なように思えたからです。
その際たる理由は、問題があったときのクレーム対応かもしれません。仮に代金が後払いでも、やはり危険を感じたのは、企業の実在と、商品に欠陥があった場合を考えてのことでした。
実店舗での購入の場合は、商品に欠陥があっても、そのお店まで行くことができます。
しかしネットショップ(ECサイト)の場合は、その企業が実在しているか否かは、わかりません。
店舗・ネットショップの実在の証明
特に検索エンジン経由でアクセスしたネットショップの場合は、その実在の証明はどこにもありません。
雑誌に載っているカタログの通販であれば、究極的には雑誌の発行元などに問い合わせができますが、検索経由の場合、Googleなどにその旨を伝えても仕方ない、ということになってしまいます。
こういった点を解消するのは第三者による紹介です。
仲介としての楽天などは、集客などももちろんそうですが、信用力の裏付けとして、ネットショップの最大の弱点であるポイントを解消してくれる場所になります。
ネットショップのGoogleビジネスプロフィール活用
実店舗を持たないネットショップでも、Googleビジネスプロフィールはとても役立ちます。信頼性を高めるために活用することができます。お客さまがお店の名前を検索したときにECサイトや連絡先、口コミなどがひと目でわかるようにしておきましょう。
実店舗がなくても使えるGoogleビジネスプロフィール
ウェブ上でビジネスを展開している場合、お客さまはGoogle検索を使ってお店の情報を探すことがあります。その際、ネットショップ(ECサイト)のURLだけでなく、Googleビジネスプロフィールに登録された詳細情報が表示されることで、お客さまは「このお店はちゃんと運営されているな」と感じ、安心してサイトを訪れてくれます。
信頼性を高めるための情報設定
ネットショップ運営で実店舗の所在地はないかもしれませんが、こうした機能を利用しないは少しもったいないかもしれません。ビジネスプロフィールにネットショップ・ECサイトのURLやカスタマーサポートの受付時間、電話番号などをきちんと入力しておきましょう。また、お客さまから寄せられた口コミに丁寧に返信することも、お店の信頼性を高める上で重要です。
お客さまとの接点を作る工夫
Googleビジネスプロフィールには、最新情報を投稿したり、商品やサービスを紹介したりする機能もあります。新商品の入荷情報やセールのお知らせなどを発信することでお客さまとの接点を増やすことができます。また、よくある質問とその回答を登録しておくと、お客さまの疑問を事前に解消できるため親切な印象を与えることができます。
実店舗では必要のない信用力強化の工夫

以上のように、ネットショップ(ECサイト)の場合は、実店舗が存在しない分、よりネットショップ内で信用力を向上させるための工夫が必要になります。
実店舗を運営しながらネットショップ運営も同時に行う場合は、店舗の外観写真の掲載など、実店舗の存在による信用力の分だけこうした工夫の必要性が省略されますが、ネットショップ単体の場合は、それと同等の信用力強化のためのページや第三者紹介などを受ける必要があるかもしれません。
自サイトでの取り組み

第三者からの紹介・仲介は、それだけで大きな信用の担保になりますが、自社運営のECサイトであっても、信用力向上のための様々な取り組みを施すことができます。
自サイト内で施すことのできる取り組みのキーポイントとなるのが情報公開です。特にネットショップスタッフやオフィスの写真などは有効的かもしれません。
スタッフブログなどは、その内容が具体的なものであるほど、ロングテールSEOや顧客とのコミュニケーション以外にも、サイトの信用力向上にも貢献します。
できればスタッフブログの運用もレンタルブログの利用を避けたほうが、非店舗型ネットショップの信用力向上にはプラスに働くでしょう。
同時に、ショップサイト自体へのロングテールSEOを意図する場合は、サイト内オウンドメディアである必要があります。
第三者からの紹介 被リンクとSEOとそれ以外

楽天市場などのショッピングモールの場合は、紹介というよりも仲介になります。厳密にウェブ上で第三者からの紹介、となると一般的には被リンク獲得になります。
被リンク獲得は、SEOの話題かのように取り扱われますが、なぜ被リンクがSEOに有効的なのかの原点を考えれば、当然それは「紹介したくなるほどの情報」という点と、「紹介先をある程度信用できる」という点があると考えられます。
そして被リンクを受けていなくても、自社サイト、自社の名称、ブランド名称などが、ウェブ空間にたくさん溢れていれば(そのページたちの内容が、レビューとしてニュートラルか、ポジティブである必要がありますが…)、それは一つの信頼性向上に貢献するでしょう。
口コミのような第三者からの紹介だけでなく、実店舗において、店舗内に人が入っている、第三者がレジで会計をしている、という光景も一つの信頼性になります。
ECサイト(ネットショップ)運営は、実店舗が実店舗であるがゆえに持っている強みの分を補うだけの工夫が必要になると考えられます。
(初回投稿日 2016年2月1日)







