第一章 第三十三話|霧深き夜に見た繊月


「だから健太、俺は『ホームページ制作』だけを売りにしている会社は、正直ダメだと思ってる」

一平は、話を続けた。彼の言葉は、俺のWeb集客に対する考え方を、根底から揺さぶっていく。

「今までの話を聞けばわかるだろう? Webマーケティングってのは、単に綺麗なホームページを作るだけの話じゃない。Webデザインなんてものは、その一要素でしかないんだ」

「でも、俺も最初は、綺麗なホームページを作ればお客さんが来るって思ってた。他の工務店のホームページとか見ても、みんなデザインにこだわってる感じがするし……」

俺が口を挟むと、一平は小さく頷いた。

「それが、一番陥りやすい罠なんだ。依頼主も制作側も、『ホームページを作る』こと自体が目的になってしまっているケースが非常に多い。見た目を整えることばかりに気を取られて、その先に何があるのか、そのホームページが誰に、何を、どう伝えるのか、という肝心な部分が抜け落ちている」

「確かに……。俺も、以前のサイトは見た目だけはそれなりにこだわってたけど、全然問い合わせに繋がらなかったな」

俺は、苦い経験を思い出した。以前、大金をはたいてリニューアルしたはずの自社サイトは、まさに一平が言う「見た目だけのホームページ」だった。

「そうだ。例えば、どんなに優れた営業ツールだって、使い方を間違えればただの紙切れ同然だ。ホームページも同じ。目的意識がなければ、Web空間のどこかに埋もれていくだけの、無意味なホームページが出来上がる。誰も見つけられない、誰の心にも響かない。それは、時間と金を無駄にするだけだ」

一平の言葉は、痛いほど俺の胸に響いた。これまでの自分が、まさにその轍を踏んでいたことを突きつけられた気分だ。

「Webマーケティングの真髄は、ホームページを作ることじゃない。それは、お前の工務店の『営業活動』そのものを、Web上で最適化するプロセスなんだ。お客さんの課題を見つけ、解決策を提示し、信頼を勝ち取る。そのための強力なツールとして、ホームページがある。そして、そのツールをどう動かすか、どう育てていくかが、俺たちの仕事なんだ」

一平の力強い言葉に、俺は深く納得した。Webデザインは確かに重要だが、それはあくまで手段の一つに過ぎない。その先にある「営業」という本質を見据えることが、Web集客成功の鍵なのだと。俺は、これまでの自分の甘さを痛感すると同時に、Webマーケティングの真の可能性を、改めて一平の言葉から感じ取った。

第一章 第三十二話|霧深き夜に見た繊月

霧深き夜に見た繊月 ― 小さな会社の起死回生 低予算からのWeb集客戦略(目次)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

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