Google検索アルゴリズムの「ピジョンアップデート」は、2014年7月にアメリカで開始された検索アルゴリズムで、従来のウェブ検索ランキングシグナルをより積極的に活用することでローカル検索結果全体の品質を高めることを目的としたアップデートです。
ウェブ検索時に「マップ」と「スポット」が表示される仕組みをはじめとしたローカル検索結果の品質改善が目的とされ、以前の「7パック」と呼ばれる地名を含む検索で表示される7件の地図検索結果が3件表示になったり、通常のスニペットと地図検索結果の「どちらか一方のみが表示される場合がある」といったアップデートです。
ピジョンアップデートの目的
ピジョンアップデートは、ローカル検索結果の品質改善を目的として、ローカル検索アルゴリズムと通常の検索アルゴリズムの関連性を強める検索アルゴリズムアップデートです。検索ユーザーの現在地からの距離をランキング要素としていますが、地名の複合クエリがあった場合に、「地名」の表現の揺れにも対応し、ローカル検索の精度が向上し、地域検索の正確性が高まったとされています。
ローカル検索結果とウェブ検索結果
ローカル検索結果とは、ウェブ検索時に通常の検索結果リストとは別にマップが表示される仕組みです(パック結果)。
通常のウェブ検索結果とは独立して表示されますが、ウェブ検索でのランキングもローカル検索結果の順位要素として採用されています。
クエリとしての地名の揺れに関しては、特定の地名と特定の地名の複合検索のデータを収集し、それぞれのクエリに関連性があることを把握した上で、Web検索に応用すると考えられます。
地域に関するクエリの揺れに対応
ピジョンアップデートの特徴の一つは、クエリとしての地名の揺れ、地域に関するクエリの揺れへの対応を行い、地域名を含んだ複合キーワード検索での検索精度の向上を目的としている点であると考えられます。
直接的なクエリの一致だけでなく、類語や抽象表現、具体表現に関する学習を行うという点や、複合キーワードとしてのクエリ自体のローカル性の精度を高めることを意図していると推測されます。
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)との違い
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)は、通常のウェブ検索をローカライズする仕組みであり、ユーザーの現在地をランキング要素として採用する仕組みです。
ピジョンアップデートは、検索結果に表示される「ローカル検索結果」全体の品質改善を目的としており、通常のウェブ検索のアルゴリズムをローカル検索に採用するための仕組みです。
検索キーワード入力における地名の複合キーワード入力の際に影響を与えるのはピジョンアップデートであり、地名の複合キーワード無しでサービス名などの単独キーワード検索の時に検索ユーザーの現在位置が検索結果に影響与えるのがヴェニスアップデート(ベニスアップデート)というイメージです。
これから向かうエリアでお店を探している人であれば、地域名、地名の検索複合キーワードを入力するはずであり、その場合は、ピジョンアップデートが検索結果に影響を与える形になります。
複合キーワード自体のローカル性の精度を高める
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)と同様に、ピジョンアップデートも検索ユーザーの現在地からの距離をランキング要素としていますが、ピジョンアップデートの目的はローカル検索結果の品質改善にあるため、検索におけるこの要素は、複合キーワード自体のローカル性の精度を高めることを意図していると推測されます。
例えば、全国の主要都市に「北区」という概念はたくさんあります。東京にも東京都北区があり、大阪市にも北区があり、京都市にも北区があります。
その場合、複合キーワードで「北区」と入力された場合、それが東京都の北区なのか、大阪市の北区なのか、京都市の北区かによって検索結果は変わってくるはずです。
検索ユーザーが複合キーワードとして北区と入力した場合に、どのエリアに関連しているのかを推測して的確に検索結果に返さなければ、検索の品質は保たれません。
そうした場合に、ユーザーの現在位置が京都市であるのならば、その複合キーワード「北区」は京都市北区を意味し、東京都内であれば東京都北区を指していると推測するというのが、検索ユーザーの現在地からの距離をランキング要素としている部分にあたると推測されます。
ただしこれは独立したものではなく、ピジョンアップデートとヴェニスアップデート(ベニスアップデート)の相乗効果による検索精度向上というものになるのかもしれません。
ピジョンアップデートを考えたSEO対策
ピジョンアップデートを考えたSEO対策は、ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)と同様、ローカル性の高いコンテンツの配置などによって、ユーザーの検索位置からの「ローカル検索」に対応することが考えられます。
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)やピジョンアップデートのSEOとしては、既にあるコンテンツのマークアップ改善などのSEOよりも、コンテンツなどのローカル性が要因となっています。
ローカル検索結果のSEOはホームページ(ウェブサイト)内部の要因もありますが、ウェブ上での言及などもランキング要素として採用されています。
ローカル検索結果のSEOとして
ピジョンアップデートは、ローカル地名の文語・口語的な呼称の揺れに対応するローカルSEOとしてのアップデートの要素があります。地図検索や地域のデータとの関連から、Web検索に影響を与えるというものになります。
ピジョンアップデートを踏まえたローカル検索結果のSEOとして、地域性の高い業種のホームページでは、地域に関連した情報の掲載に加え、地域情報サイトなどでの言及を含めたマップ検索対策を実施するのが良いかもしれません。