ホームページを「営業スタッフ」として考えてプランニング・制作すると答えが見えてくる

ホームページを「営業スタッフ」として考えてプランニング・制作すると答えが見えてくる


今回は、「ホームページを『営業スタッフ』として考えてプランニング・制作すると答えが見えてくる」と題しまして、ホームページ全体の企画・コンテンツプランニング、そしてサイト設計について考えてみたいと思います。

先日、古くからの友人と銭湯に行ってきました。

彼は、現在「スーパー営業マン」として、営業成績が全国トップクラス、営業手当だけで三桁に上る不動産関係の上場企業の営業スタッフです。

ホームページは、広告的な扱われ方をしていますが、無形の営業スタッフと言えば営業スタッフ。

できる営業スタッフとそうでない方の違いを考えれば、ホームページのプランニングとの共通項が見えてきます。

今回は、金融の営業スタッフ経験のある私と、不動産関係の現役営業スタッフである彼との「銭湯での密談」を元に、「営業」とホームページプランニングについてお伝えしていきます。

アクセス数へのこだわりと「ポスティング」

アクセス数へのこだわりと「ポスティング」

ウェブサイト・ホームページを有効に「機能」させるためには、まずホームページへの「アクセス」が必要になります。

どんな広告物もそれが誰かの手元に届かなければ意味がありませんし、営業スタッフもひとまず営業先を確保しなければ、そもそも営業活動自体が始まりません。

しかしながら、単純なアクセス数の増加と、コンバージョンの増加は比例するわけではありません。

通常、ホームページのWebマーケティング活用を考えた時には、母数である「ユーザー数」を増やすことがひとつのポイントとなります。

メッセージを伝える時に必要となるのは、まず「メッセージそのもの」、そして「メッセージを届けること」です。

そこで考えられる方法は、SEOなどによる自然検索からのアクセス数の向上、ソーシャルネットワーク(SNS)でのシェアによるアクセス、そしてリスティング広告など、広告の利用などです。

チラシであればポスティングや折り込みの部数が、ホームページで言うところのアクセス数に該当します。DMならDM発送した数ですね。

ホームページ運用においてアクセス数(ページビューやセッション数)は目に見える指標であるため注目されやすい傾向にあります。

確かにアクセス数の増加は、認知拡大やWebマーケティング施策の効果を測る上で重要な数値のひとつですが、それだけを追いかけていても売上や成約にはつながりません。本当にコンバージョンに結びつけるには、「どのようなユーザーが、どんな意図で、どのページにアクセスしているか」といったアクセスの質を検討する必要があります。

プランニングなくコンテンツを増やしたり、SEOのリンク集めをしてアクセスを伸ばすこと

プランニングなくコンテンツを増やしたり、SEOのリンク集めをしてアクセスを伸ばすこと

まずホームページが「誰か」に見られないと、そもそもの機能を持つことができないため、ひとまず考えられる方法で「アクセス数」を伸ばすことがひとつのポイントにはなります。

しかし、単純にプランニングなくコンテンツを増やしたり、SEOのリンク集めをして、アクセスを伸ばすことは、営業スタッフが闇雲に広告をばらまき、闇雲に電話アポを行い、汗水を垂らして走りながら、インターホンを鳴らして飛び込み訪問をしていることに似ています。

当然ながら、Webマーケティングの本来の目的は「ホームページへのアクセス」ではなく「コンバージョン」そして実際の営業活動における成約など企業にとって売り上げにつながるかどうかという点です。コンバージョンとは、問い合わせ、資料請求、購入、予約、LINE登録など、ユーザーが企業側の目的に沿って行う具体的なアクションを指します。

コンバージョンにつながらないアクセスばかりになると最終的な売上向上には繋がりません。

数だけが目的になり、質が問われていない

確かにチラシでいうポスティング部数や営業スタッフでいう、営業の面会件数はその後の売上までの中間の数値目標として考えてもよいのですが、数だけが目的になり、質が問われていないというポイントに着目したいところです。

ホームページに訪れるユーザーが、Webマーケティングにつながるような企業のサービスを調べに来たわけではなく、「趣味的な情報を検索してたまたま訪れた」という場合が多ければ滞在時間も短く直帰率は高くなりがちです。その前に、サービス利用につながる確率はかなり低いユーザーです。企業名を知らず、サービスや商品にも興味がない状態でアクセスした場合、せっかく訪問しても目的のコンテンツがなければ即座に離脱されてしまいます。このようなユーザーは、Webマーケティング視点で見れば「質が低いアクセス」に該当します。

彼の会社では、物件情報のチラシの配布を自分で行うことがあるそうなのですが、新人営業スタッフは数千枚ポスティングをして、翌日以降連日問い合わせはゼロ。

一方彼の上司の凄腕の方は500枚のチラシ配布で、翌日2件の問い合わせを得るそうです。

ホームページの費用対効果についてお伝えしましたが、ホームページのマーケティング活用や費用対効果を考える上で、この構図は見逃すことができないのではないでしょうか?

「質の高いアクセス」とは、明確なニーズや課題を持ち、それに関連する情報を探していて自社サービスに親和性の高いユーザーの訪問を意味します。特にユーザー側でニーズが顕在化しており、自社サービスとの相性が高い、自社サービスこそがそのユーザーの課題を解決できるという場合はWebマーケティングに繋がりやすくなります。

例えば、検索エンジン経由で「地域名+業種名」や「サービス名+料金」などの具体的なキーワードで流入してきたユーザーは、その関心の高さからコンバージョンに結びつく可能性が高く、質の高いアクセスとして評価できます。こうした見込み顧客を安定的に集めることWebマーケティングは形になっていきます。

ポイントのひとつは「ニーズ」にある

ポイントのひとつは「ニーズ」にある

一般的に、営業と販売の違いは、相手のニーズのレベルにあります。

販売は、根本的にニーズがあり、それが表面化している中で、該当商品やサービスを「選ぶ」段階にあります。

一方、営業は、ニーズが潜在化しており、提案によってニーズを顕在化してもらうことが必要な要素として考えられます。

端的には、販売は「放っておいてもそこにあれば売れる可能性があるモノ」、営業は「ニーズに気付いてもらわないと売れる可能性がないモノ」といったイメージです。

販売であれば、ひとまず数を増やすと言ったことも有効的かもしれませんが、営業ではその営業効率を高めるために対象者を選定する必要があります。

ホームページを営業スタッフとして考えた場合には、まず、提案によってニーズが顕在化する客層との接点をつくり、かつ、ホームページ上で「ニーズに気づいてもらう」ということが必要ではないでしょうか?

もちろん、販売であっても、こうしたニーズの顕在化への活動は販売数に影響を与えます。

なお、余談ですが、私たちの取り扱っている「ホームページ制作」などのサービスも営業が必要な部類に入ると考えられます。

ニーズの顕在化レベル

ニーズの顕在化レベル 営業の要素

「集客アップを叶えるホームページ」と、値札を付けつつiTunesのように「販売カード」をコンビニに置いてもらっても、レジに進んで買おうという人はおそらくいないでしょう。

また、「ホームページどうですか?」といきなり言っても、それで「よし、依頼しよう」

ということにはほとんどならないと考えられます。

そこで、先ほどの話の中で、「チラシをポスティングして問い合わせを得る」ということを考えてみた時、この「ニーズの顕在化度合い」が営業の成功要素として重要なひとつのポイントとして考えられます。

そして、ニーズと合わせて購入の実現可能性が本当にあることが必要になります。

  1. ニーズの顕在化レベルがなるべく高いこと
  2. 実現可能性が高いこと

実現可能性も要素のひとつ

実現可能性も営業の成功要素のひとつ

小学生に「家が欲しいですか?」と質問すると「欲しい!」と答えるかもしれませんが、おそらく即金で購入したりローンを組むことはできません。

大学生に同じ質問をした場合、「いつかは欲しい」と答えるかもしれません。

この場合は、ニーズ自体はあっても、現段階での実現可能性がないことを知っているからです。

先ほどの「凄腕の上司」の方は、ニーズがある程度顕在化していそうで、かつ購入の可能性のある世帯にだけ、「購入が視野に入る規模の物件の情報」のみをポスティングをしたそうです。

一方、新人営業スタッフは、該当エリアに様々なジャンルの売買物件情報が掲載されたチラシをくまなくポスティングしたそうです。

真面目なスタッフさんのようですので、もしかしたら「学生マンション」にも投函しているかもしれません。

ホームページ制作においても、そのプランニングや作り込み、SEOの初期設計段階において、対象者の絞込を行って、Webマーケティング効率を高めることが重要になるでしょう。

ホームページのコンテンツSEO

ホームページのコンテンツSEO

同じようなことが、「ホームページのコンテンツ」にも言えるかもしれません。

ページ数を増やしたり、様々なキーワードでの「アクセス」を得ようと、様々なコンテンツを配信しているケースがよくあります。

確かにそれでアクセス数は向上するかもしれませんが、先ほどの「新人営業スタッフ」のような結果が待っているかもしれません。

ポスティングも、チラシ印刷代、スタッフの人件費などが必要なため、もちろんコストがかかります。

同じように、コンテンツの配信にも最低限、電気代と人件費が必要になります。

コンテンツ自体が持つ集客効果に期待したり、コンテンツSEOの効果を期待して、記事を配信していくことは方向性としては有効的です。

しかし、全体的なSEOやWeb集客のプランニングを飛ばしてしまうと、営業ロスが多い営業スタッフのように、走り回っている割に結果が出ない、というような事態になってしまうおそれがあります

重要な部分からプラスしていく

ホームページ制作で重要な部分からプラスしていく

コンテンツSEOによって、ホームページのアクセスを向上させる事自体は、必ずプラスにはなりますが、「プラス」であればそれでいいというわけではなく、まずは重要な部分からプラスにしていく必要があります。

ウェブデザインに費用をかけることも同じかもしれません。しかしながら、ホームページ制作においては、Webマーケティング効果向上に関する重要な部分からプラスしていく必要があります。

例えば、店舗にインテリアをひとつ追加すれば、それは確かに「お店の雰囲気向上」には貢献してくれるかもしれません。

しかしながら、そのインテリアを見る人の数が増えなければその「貢献」もあまり期待することができません。

コンテンツSEOとそれぞれの「重要度」

コンテンツSEOとそれぞれの「重要度」

限られた費用をどう分配するかということがキーポイントとなりますが、まずは「重要度の高いもの」から費用をかけていく必要があります。

コンテンツSEOにかかるコンテンツプランニングや、メインコンテンツの制作にあたり、きちっとした「ベースとなるコンテンツ」を軸にすることが重要になります。

内部最適化によるSEOやコンテンツ増加なども「プラスの要素」ですが、軸を外した「プラス」を狙うと、当然結果も軸がずれてきます。

特にコーポレートサイトでは、単純な「アクセス数」ではなく、潜在客層からのアクセスといった「有効なアクセス」を増やしていく必要があるでしょう。

この構造は、先ほどの話の中の「ポスティング」と共通する部分があります。

釣りのたとえ

釣りのたとえ 営業

私はあまり表現が好きではないのですが、営業の世界には「釣りのたとえ」というものがあります。

ひとことで言うと「魚のいない場所で釣りをするな」ということのようです。

そして、魚のいる場所で釣りをする場合でも、その魚が好きなエサを選ばなければならないということのようです。

同時に、高い釣具を使っても、「魚のいない場所」で「魚が食いつかないエサ」で釣りをしても収穫はないということを意味しています。

趣味の釣りなら、結果が出なくても良いのかもしれませんが、漁師さんなら死活問題です。それと同じように、営業の分野にいる中で、走り回った挙句、結果が出ないというのは問題です。

それと全く同様に、結果が出ない、成果の出ないホームページは、それを利用する企業にとって本来もっと問題視されるべきではないでしょうか?

ホームページの企画やコンテンツプランニングに共通

ホームページの企画やコンテンツプランニングに共通

「ニーズがある方」に出会うことができないのならばコストはかかる一方です。

あれこれお話しても「どこにもニーズがない」方に、営業をすることはタダの「押し売り」です。

そして「隠れたニーズ」があるにも関わらず、それに気付いていただくことができない場合は、まだまだ営業スタッフとしては修行の余地があります。

これらの要素は、すべて、ホームページの企画やコンテンツプランニングに共通しています。

営業効率を高めることを意識する

このことを意識して、Webマーケティングやホームページの企画に応用する必要があります。ホームページを営業スタッフとして考え、ホームページ制作の手前の企画段階で、営業効率を高めることを意識していくことで、効果的なホームページの全体像が見えてきます

そして、営業の対象者の絞込と同じように、ただのホームページのアクセスアップではなく、「有効なアクセス」を向上させること、SEOやコンテンツSEOの本質はそんなところにあるのではないでしょうか。

(初回投稿日 2016年8月11日)

「ホームページを「営業スタッフ」として考えてプランニング・制作すると答えが見えてくる」のカテゴリ Web制作・Web関連
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