ウェブ空間での競合分析 一般的な「競合分析」は不要

ウェブ空間での競合分析 一般的な「競合分析」は不要


今回は、ウェブ空間での競合分析についてお伝えしていきます。先に結論を言うと、一般的なマーケティング等々における「競合分析」はWebマーケティングでは不要です。

株式会社ファンフェアファンファーレは、Web制作サービスとして、ホームページ制作(ウェブサイト制作)・カスタマイズを軸にしているものの、制作事業単体だけをサービスにしているわけではありません。あくまでWebマーケティングがメインであり、ホームページ制作やSEOはその一環という位置付けです。

サービス分析×コンテンツ制作×編集という強み」で少しお伝えさせていただいておりますが、単に依頼されたホームページ(ウェブサイト)を制作させていただくだけでなく、サービス分析やコンテンツ制作、編集作業を深く行い、Webマーケティングとして、ウェブサイトを軸にしながら、ウェブ空間での事業貢献・結果を再優先しています。

さて、「サービス分析×コンテンツ制作×編集という強み」というページで、「競合分析」ということをお伝えしておりますが、この場合の競合分析は、一般的に想起される競合分析とは異なります。

あくまでウェブ空間に限定した競合分析です。

そして、Webマーケティングにおいて「一般的な競合分析」は不要だと考えております。Webコンサルティングにおいても特に一般的な競合分析は行なっておりません。

もちろん私共も競合分析はしておりません。競合相手のいない唯一無二オンリーワンの企業であると自負しております。

競合分析は必要か?

Webマーケティングに競合分析は必要か?

Webマーケティングにあたり、ウェブ空間において競合を分析すると言っても、基本的には競合のホームページ(ウェブサイト)をチェックする必要はありません。

「マーケティング」という言葉には、戦略や戦術という言葉がセットでくっついていますが、もともと軍事的な法則性が経済活動に転用・応用されたので、このような言葉が使われるのはいたし方ない面がありますが、経済活動は、戦闘ではありません。

お客さまと戦うのもおかしな話です。ではライバル企業と戦っているのでしょうか?

ある側面から見れば、そのような構造になりますが、「ライバル」になるには同じ土俵でないとライバル関係にはなりません。

ではその土俵を出た場合はどうなるでしょうか?

もちろんライバルではありません。

椅子取りゲームのように、決まった数量を取り合いになるのならば、戦闘になりますが、たとえ同じ土俵であっても、その数量を共同で増加させていける場合は、ライバルなのでしょうか?

いいえ、仲間です。

ウェブ空間の競合分析

ウェブ空間の競合分析

と、少しWebマーケティングから話がそれてしまいましたが、ウェブ空間の競合分析に話を戻しましょう。

ウェブ空間の競合の分析はサイトの外面的な作りでもページ数でもありません。

競合サイトのWebデザインの良し悪しを判断したりしても、特に自社のホームページの改良に役立つわけではありません。

仮に検索順位だとしても、検索順位は検索エンジンですぐにわかります。

では、どのような競合分析を行えばいいのでしょうか?

それは、企業秘密です(ごめんなさい)。

しかしながら、一般的に思われているような競合分析自体は不要です。

Webマーケティングにおける競合分析と盲点

Webマーケティングにおける競合分析と盲点

Webマーケティングを行う上での戦略設計や改良において、様々な施策が数値ができるため「競合分析」が必要であると考えられることが多いと思います。

しかしながら、一般的なフレームワークによる競合分析を行っても、具体的なところでの細かな争いの方に目が向いてしまうため、かえって盲点ができてしまい、ユーザー目線のWebマーケティングからは外れてしまう恐れがあります。

だからこそWebコンサルティングでも特に競合分析を重視することはありません

フレームワークを用いた競合分析やSEOに関する競合分析などは「参考程度」

自社サービスの強みなどのUSPを確認すること自体はプラスですが、一般的なマーケティングのフレームワークを用いた競合分析やSEOに関する競合分析などに関しては、参考程度に留めておくほうが賢明であると考えています。

競合他社と同じフィールドで同じようにファクトベースで戦うと、価格競争などに巻き込まれるのと同じように、SEOやコンテンツマーケティングにおけるコンテンツ配信を考えたときにも、競合との順位やクオリティを競争の対象としてしまうと消耗戦になってしまうことがあります。

競合分析によってもたらされる既存の分野で順位や位置づけよりも、自社の特性に合わせた強みを伸ばすほうがユーザーへの訴求力も高いと判断しています。それはWebマーケティングについても同様です。

競合を見るほど「同質化」し、価格競争の泥沼に陥るという事実

一般的に正しいとされる「徹底的な競合分析」には、大きな落とし穴があります。それは、競合を見れば見るほど、無意識のうちに相手に似てきてしまうという「同質化」のリスクです。

Web上で他社と同じような構成、同じような訴求になれば、顧客が選ぶ基準は「価格」だけになります。これは、資本力のある大手には有利ですが、私たちのような中小規模の事業者にとっては、利益率を削る自殺行為になりかねません。ここでは、あえて競合を見ないことで得られる優位性について解説します。

ケーススタディ:業界標準を捨て「嫌な客」を排除した金属加工業の事例

「他社より1円でも安く」からの脱却
ある金属加工会社(仮称:A社)の事例をご紹介します。A社は当初、Web制作において競合他社のサイトを徹底的に分析していました。「他社が納期3日なら、うちは2日で」「他社が単価100円なら、98円で」という訴求をホームページのトップに掲げていたのです。

その結果、問い合わせは増えましたが、やってきたのは「相見積もりでとにかく安く叩こうとする商社」や「無理難題を押し付ける下請け体質の元請け」ばかりでした。売上は上がっても現場は疲弊し、利益は残りません。まさに「競合分析」が招いた消耗戦でした。

哲学の表明による顧客層の入れ替え

そこでA社は方針を転換しました。競合サイトを見ることを一切やめ、自社の「技術への誇り」と「無理な短納期・安売りはしない」という哲学をホームページで強烈に発信しました。

結果として、問い合わせ件数は一時的に半減しました。しかし、成約率は3倍に跳ね上がりました。残ったのは「高くても良いから、御社の技術が必要だ」という優良な直取引の顧客だけでした。競合を見ず、自社を見つめ直したことで、利益率が劇的に改善した実例です。

数値検証:競合迎合型と独自要塞型の収益シミュレーション

「競合分析は不要」という主張を、感情論ではなく算術で証明します。競合に合わせて広告やSEO対策を行う「迎合型」と、自社の哲学を打ち出す「独自要塞型」で、広告費と利益がどう変わるか試算します。

パターンA:競合迎合型(一般的Webマーケティング)のコスト構造

競合が多い「人気の検索キーワード」や「一般的な訴求」で勝負する場合、クリック単価(CPC)は高騰します。

広告費:月額30万円(クリック単価が高いため訪問数は中程度)

成約率(CVR):0.5%(比較検討されるため低い)

受注単価:50万円(価格競争により低い)

結果: 広告費を回収し、薄利で回すだけの「忙しい貧乏」状態になりがちです。

パターンB:独自要塞型の収益構造

競合がいない、あるいは競合が真似できない「独自の哲学」や「ニッチな悩み」にフォーカスした場合です。

広告費:月額10万円(競合しないキーワードや指名検索のため安価)

成約率(CVR):3.0%(「この会社しかない」と指名されるため高い)

受注単価:100万円(言い値が通る信頼関係)

結果: 広告費は3分の1でも、手元に残る粗利は数倍になります。

この計算からもわかるように、Web空間において「他社と比較される土俵」に上がること自体が、数理的に見て不利な戦いなのです。

競合分析の時間があるなら「哲学」を高回転で発信する

私たちが提案するのは、他社の動向をリサーチする時間を、自社の「哲学」や「思考」をコンテンツ化する時間に充てることです。

比較検討させない「要塞」の構築

顧客が「A社とB社、どっちが安いか」と迷っている時点で、Web戦略としては負けています。「ここにお願いしたい」と一択で選ばれる状態を作ることが、我々の目指す「Webで売上を作る仕組み」です。

そのためには、他社との違いを表層的なスペックで比べるのではなく、経営者自身の言葉、創業の思い、顧客に対する姿勢といった「真似できない情報」を、ブログや動画で高頻度で発信し続けることが重要です。

独自の判断基準をナーチャリングする

競合分析をしない代わりに、顧客に対して「良い業者の選び方」という新しい物差し(判断基準)を提供します。

例えば、「安さで選ぶと、結局修正コストで高くなります。最初から設計図にお金をかけるべきです」といった、プロとしての見解を発信します。これに共感する顧客だけを集めることができれば、競合他社の存在は関係なくなります。

SERPsと現実市場の競合の概念は異なる

SERPsと現実市場の競合の概念は異なる

さて、SEOの面について少し別の角度から触れていこうと思います。そもそも、SERPs(検索エンジンの結果、Search Engine Results Pages)における競合構造は、現実の市場における競合関係とは本質的に異なります。

従来の「業種内競合」や「地域内競合」といった静的で地理的制約を受けた枠組みだけではWeb上の競争環境と同様には語ることができません。

SEOにおける競合分析とは、Googleのアルゴリズムという機械的な評価基準とユーザーの行動や意図といった変動要素の交差点にある情報構造の把握であるべきです。

検索結果に表示される多様な形式のコンテンツとそれぞれの役割

検索キーワードごとに構成されるSERPsは、単なる順位表ではありません。

検索結果の中には、ナレッジ記事型のSEOコンテンツ、強調スニペット(Featured Snippet)、動画、PAA(People Also Ask)ブロック、マップ表示、ショッピング広告など多様な形式のコンテンツが並列に存在します。

これらはすべて、検索ユーザーの意図に即した情報の構造であり、自社がどの情報層に位置づけられているかを認識することが重要です。

つまり、同じ検索キーワードを巡って争っている競合は、必ずしも同業他社とは限りません。

同業他社だけが競合となるわけではない

たとえば、法人向けのサービスに関するオウンドメディア記事が個人向けのQ&Aサイトや自動生成された要約ブログと競合するケースも見られます。

これは、ドメインの属性よりも「検索意図」と「コンテンツ構造」に基づいた競合分析が求められるということです。

「SEOに関する競合分析」と「検索順位決定に関する様々な要因」

実際の運用においては、検索意図を「Know」「Do」「Go」「Buy」などに分類し、それぞれのキーワードに対してマッピングを行います。

その上で共起語やTF-IDFスコアの解析、競合ドメインの被リンク状況の調査、Google Search Consoleやsite:演算子を使ったインデックス状況の確認など多角的なアプローチが必要になります。

また、Schema.orgによる構造化データの実装やコアウェブバイタル(Core Web Vitals)の最適化といったSEO技術的な観点からの競合優位性も重要となります。

競合ばかり意識すると「誰のどのようなニーズに対応しているのか」がぼやける

競合ばかり意識すると「誰のどのようなニーズに対応しているのか」がぼやける

競合ばかり意識すると「誰のどのようなニーズに対応しているのか」といういちばん大切な点がぼやけてしまうことがあります。コンテンツのボリュームや更新頻度、外部からの被リンクの有無といった表面的な指標だけではなく「誰に評価されているのか」という点が大切です。

これは結果的にGoogleが重視するE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)のうち、特に「経験」と「信頼性」に深く関係しています。著者が実在する人物であるかどうか、実際の体験に基づいた記述がなされているか、プロフィールページの整備状況なども検索結果における信頼に繋がります。

SEO面で考えても、Web上での競合とは単に検索順位で競い合う相手ではなく検索意図をめぐって情報構造・表現方法・被評価性を争う存在であると言えます。

競合分析に意識が向くとそれらがぼやけがちです。本来重要となるのは単にライバルサイトを確認する作業ではなく自社のコンテンツが検索空間のどこに位置し、どのようにユーザーの意図とマッチしどのような形で信頼されているかを考えることです。

競合を調査する前に、ユーザーを調査

競合を調査する前に、ホームページにアクセスするユーザーを調査

競合相手のサイトをチェックしても、実はそれほど得れるものはありません。

そして、わざわざWebマーケティングのためにウェブ上での競合相手を分析しなくても、検索エンジンの検索順位であれば、上位表示させることができます。SEOに関しても競合分析の必要はありません。

実際に私たちは競合分析の対象として「参考にしているサイト」というものはありません。SEOの順位を上げるために他のページを参考にしてもいいですが、そうしたチェックをしなくても少しの別の調査とSEO施策実施で十分に対応できます。

ただ、どのようなサイトでも学ぶところがあるので、チェック自体は悪いことではありません。

しかしながら、目を向けるべきは、サイトユーザー、そして、実際のお客さまではないでしょうか?

競合分析をして競合との比較優位性を発見したり、逆に不足を補ったりするよりも、自社の顧客の特性を分析し、自社独自の強みを伸ばすことが先決です。

競合との比較優位性よりも自社独自の強みを伸ばす

競合との比較優位性よりも自社独自の強みを伸ばす

マーケティング、Webマーケティングにおいても、戦略、戦術という言葉を意識してしまうと、「競合相手に勝つ」ということに意識が向いてしまいがちです。

しかし、ホームページ(ウェブサイト)自体は、既存顧客とのリレーションや見込み客との出会いのためのツールです。競合相手のためのウェブサイトではなく、顧客・見込み客との良好な関係を構築することがウェブサイトの本来の価値です。

競合との比較の中での優位性を伸ばすことよりも、自社独自の強みを伸ばし、それをホームページ制作やコンテンツマーケティングで活かしていくことのほうが理にかなっていると考えています。

特に「他のホームページがこうあるから、私たちもこうしよう」とか、「こうしたところでトップを取ろう」というようなことに目を向けなくても、ユーザーの獲得やコンバージョンはいくらでも実現することができます。

ライバルではなく、実際のお客さまへ向けて、どのようなコンテンツを発信すればよいのか、その点に比重をおいたほうが、良いと考えています。

ウェブ空間での事後調査

ウェブ空間での事後調査

そして、初期段階でサイト運営の道筋や目標を定めることはできますが、実際に稼働して運営しながら、改良を重ねないと目標への到達は難しくなります。

初期段階の想定でウェブサイト・ホームページを稼働させて、そのまま期間が経過しても、ほとんどの場合アクセスもジリ貧になります。これは、様々なマーケットと同様に、サイト、ページの価値は日々変動しているからです。

アクセス解析データ ウェブサイトの効果測定の先」でお伝えしましたが、SEM(サーチエンジンマーケティング)、ウェブ広告、ソーシャルの活用、そのすべてが、施策と改良の繰り返しです。

サイト運営の企画とその第一段階の施策だけでは、基準値となる地点すらつかめないものですが、ある程度の期間が経つと、アクセス解析ツールなどによって、ある程度の効果測定をする事ができます。

この時、アクセス解析を用いてホームページ(ウェブサイト)の効果測定やアクセス状況を把握した場合は、その先に必ず「改良」を置いて、必ず「ユーザの利益」を軸にして改良点を洗い出して施策し直す必要があります。

この場合も、他のサイトなどをチェックする必要はありません。

ユーザーに対して自サイトに不足している情報は何か、それを考える方が大切だと考えております。

競合サイトの分析は思い込みを作る

競合サイトの分析は思い込みを作る

Web上の競合分析、競合サイトの分析が参考程度でさほど重要ではない一番の理由は、それらの行動は「思い込み」を作ることが多いからです。

概要の設計程度、見落としている点の確認程度ならばいいですが、競合サイトの分析ばかりしていると、顧客や見込み客ではなく他社を意識したホームページになってしまいがちです。

本当に大切なコンテンツの中身、ホームページの内容は、自社と顧客の間の空間にしかありません。

意識の向きがユーザーではなく競合サイトの方に向くくらいなら競合分析など不要ということになります。

他社を見るな、自社の「痛み」と「強み」を見よ

Web空間での戦いは、他社より目立つことではありません。自社の強みを必要としてくれる、たった一人の優良顧客に深く刺さることです。

競合他社の綺麗なホームページを眺めて溜息をつく必要はありません。あなたの事業には、他社にはない泥臭い歴史や、譲れないこだわりがあるはずです。それこそが、Web上で最も強力な武器になります。

外を見るのではなく、内を掘り下げてください。それが、不毛な価格競争から脱出し、高収益体質へと変わるための第一歩です。

Webコンサルティングにおける競合分析

Webコンサルティングにおける競合分析

実際の顧客や友人知人への調査のほうが、Web上での情報収集により凝り固まった発想よりもホームページ改良やWebマーケティングの戦略設計において有意義なケースがよくあります。

私たちは、そうした経験を元に、Webコンサルティングなどにおいて、様々な視点からホームページ制作やWebマーケティングのプランニングを実施しています。

最も大切なのは「少ないアクセスでも十分にWebマーケティング効果を発揮できる企画設計」であり、次にアクセスを向上してよりたくさんのユーザーにメッセージを届けるという点であると考えています。

Webコンサルティングにおける競合分析においても、通常の競合分析とは少し違った形になっています。

その中身については、Webコンサルティングのご利用時にお話させていただきます。

Webコンサルティング

(初回投稿日 2016年3月18日)


著者・監修 : 株式会社ファンフェアファンファーレ

2012年創業の京都のWeb制作会社 ホームページ制作やSEO、Web集客・Webマーケティングをメインテーマにお届け。SEOやAI活用、Web以外の集客何でも来いです。中小零細企業を中心に「きちんとしたホームページ集客」を考えて、ホームページ制作や様々なWeb集客戦略を提案しています。 ホームページ制作に限ると、のべ制作数は160社(少ないって?それはそれだけ1社あたりのWeb集客施策や修正に集中してるからさ)

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