ウェブサイト・ホームページのSEOに欠かせないものが、この「検索アルゴリズム」です。
アルゴリズムは、「算法」という意味があります。情報処理においては、端的に「処理手順」や「計算手順」といった意味で用いられます。
検索エンジンにおける「アルゴリズム」とは、ユーザーが入力した「検索キーワード」に対応するページの表示順位決定にかかるスコアの計算方法を指します。
この検索アルゴリズムは、より優れた検索結果をユーザーへと提示するために、日々「アップデート」を続けています。
検索アルゴリズムとは?
ユーザーが入力した検索キーワード(クエリ)を含むページは、時に数十万ページ、数百万ページに及びます。
そこで、Googleなどの検索エンジンはユーザーが検索した際に、どういった意図で、どういった内容が含まれているページコンテンツを求めて検索したのかを推測して、その検索意図に対応するページを、評価の高い順から表示するような仕組みになっています。
検索ニーズに最も応える「高品質のコンテンツ」を提示する
ここから考えられる、ただひとつの方向性は、「いかに検索ユーザーの意図に応えるか」ということと、そこから導き出される方向性は、端的に、「いかに人間の思考に近づくか」ということだと推測されます。
コンピュータの強み
検索エンジンも同様ですが、コンピュータの強みは、膨大な情報を人間の目と手では処理しきれないほどのスピードで処理をしていく能力です。
世界中に何百万、何千万とある「クエリを含んだページ」を見つけ出して、それを「スコアリングしていく」となると人間の手では、もしかしたら一つのクエリでも、一生かかっても処理しきれないかもしれません。
ただ、情報を集めて、スコアリングしていく過程で、コンピュータと人間の違いが考えられます。
もし、対象キーワードを多く含むことだけが、スコアの基準であったならば、そのキーワードを無駄に繰り返し掲載しているページが高スコアになってしまいます。
しかしそのようなページを検索ユーザーは求めてはいないでしょう。
膨大な情報を処理していくことのできるコンピュータの強みを活かして、さらにスコアリングにも工夫を加えていくことができれば、検索ユーザーのニーズに応える検索結果が表示されるようになっていくはずです。
こうした、検索ユーザーの検索意図に応えるためのアルゴリズムの改良で、検索の精度が向上していくと考えられます。
そこで検索エンジンは、日々検索アルゴリズムをアップデートしています。
SEOを考える上で土台となる「アルゴリズム」
SEOとは、「検索エンジン最適化」を指します。
このSEOを考える上で、「検索エンジンはどういったページに高い評価を与えるのだろう?」ということを考えた場合、検索アルゴリズムが意図していることを推測する必要があります。
検索結果順位決定要因は、200以上もあると公表されており、それぞれの要素のスコアの合算が、検索結果順位に影響します。
200以上ある検索結果順位決定要因
コンテンツの情報量・オリジナル性・信頼性やコンテンツの追加・更新といったホームページ(ウェブサイト)の鮮度など、サイトのコンテンツに関するものをはじめ、サイトの表示速度やモバイルフレンドリーといった、サイトの構造面に関するもの、そして、外部要因である被リンクなども重要な順位決定要因になっています。
ドメインに関する信頼性や著者に関する信頼性(権威性)も検索結果順位決定要因になっています。
基本的には各ページごとのコンテンツの品質が検索結果順位決定の大きな要素ですが、サイト全体の専門性や信頼性も検索順位決定に関係しています。コンテンツ内容、サイトの信頼性を含めたユーザー体験の価値が前提とはなりますが、https通信の有無やサイト速度など、ページコンテンツの内容以外にもたくさんの検索結果順位決定要因があり、その数は200項目以上と推測されています。
常に変化するSEOの基準
この検索アルゴリズムの内容や、それぞれの要素の比重、計算方法などは「アップデート」により更新されていくため、常にSEO基準が変化していきます。
昔までは重要視されていた検索アルゴリズムの要素について若干重要度が下げられたり、それら検索アルゴリズムの要素について、スパム要素のあるようなものにフィルターが描けられていったりと、変化の仕方は様々です。
こうしたアルゴリズムの意図は、「いかに検索ユーザーのニーズに応えるページを表示するか」というものと考えられます。
闇雲にブラックハットSEOなどに注力するよりも、この方向性を考えれば、するべきSEO対策は限定されていくはずです。
アルゴリズムの奥にある方向性を考えて、高品質コンテンツの追加や、サイト構造の見直しを行うほうが、アルゴリズムのアップデートが行われた時に「楽しみ」になります。
検索アルゴリズムアップデート
大規模なアップデートから軽微なアップデートまで、検索エンジンの検索結果順位決定にかかる「アルゴリズム」は、日々アップデート(更新)が続けられています。2012年は500回以上のアップデートがあったと公表されています。
検索アルゴリズムのアップデートの際、人の手によって様々な目視チェックが行われ、それが実際のアルゴリズムにも反映されています。
大規模なアップデートは、ブラックハットSEO・スパム排除のためのアップデートです。
旧来から検索アルゴリズムアップデートとして、2005年のビッグダディアップデートや、クロールとインデックスのスピードを大きく改良した2009年のカフェインアップデートといった、インフラ・基礎設計に関するアップデートがありましたが、近年の大規模アップデートの特徴は、高品質なページを上位表示させるためにノイズとなる「低品質コンテンツ」の排除である「パンダアップデート(Panda Update、2011)」や、PageRankの仕組みを悪用したスパムリンクなどのブラックハットSEOの排除である「ペンギンアップデート(Penguin Update、2012)」といった検索結果改善に関するアップデートが主な大規模アップデートです。
その他、検索結果に最新の情報が必要と考えられるキーワードにおいて、最新の情報が上位表示されるようにしたフレッシュネスアップデート(Freshness Update、2011年)著作権を侵害しているサイトの評価を下げるパイレーツアップデート(Pirate Update、2012)や、検索キーワードがそのままドメインになっている「完全一致ドメイン」を持つサイトに対しての評価を上げないイグザクトマッチドメインアップデート(Exact Match Domain Update、2012)がありました。
2013年には、金融、ギャンブル、アダルト分野のキーワードで検索した場合に、不正なSEOを行って順位操作されたスパムサイトの表示順位を下げるペイデイローンアップデート(Payday Loan Update)があり、2015年には、ドアウェイページ(誘導ページ)を検索結果上位から排除するドアウェイアップデート(Doorway Update)が実施されました。
2017年3月にはコンテンツ品質に関するフレッドアップデート(Fred Update)がありました。その他、4月にはフェイクニュースを排除するアウルアップデート(Owl Update)が実施され、12月には日本語検索におけるアルゴリズムアップデートとして、医療・健康アップデートがありました。これは、医療や健康に関する情報である場合、専門家や専門機関による信頼できる情報であるか否かを判断するアルゴリズムです。
2018年には、モバイルページにおけるページスピードが検索結果の表示順位に影響するスピードアップデート(Speed Update)が実施されました。
2019年には、検索キーワードの文脈や細かなニュアンスを理解するBERTアップデート(BERT Update)が実施されました。なお、BERTは「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の頭文字を取ったもので人工知能による自然言語処理を可能にした技術です。
2021年に、ページエクスペリエンスアップデート(Page experience Update)が実施され、ユーザー体験(ユーザーエクスペリエンス/UX)が評価基準となり、ページで行った操作に対する反応速度(FID)やレイアウトの安定性(CLS)、コンテンツの読み込み時間(LCP)といったコアウェブバイタル(Core Web Vitals)が評価指標として追加されました。またスパム排除のためのスパムアップデート(Spam Update)も複数回実施されました。
また、他サイトのレビューをまとめたコンテンツよりも、独自の調査結果や体験に基づいたレビューを行うコンテンツを評価するためのプロダクトレビューアップデート(Product reviews Update)が実施されました。なおこのアップデートは現在はレビューアップデート(Reviews Update)と呼ばれています。
2022年には、PC検索におけるページエクスペリエンスアップデートがあった他、ヘルプフルコンテンツアップデート(Helpful content Update)がありました。これは「役に立つ独自性の高いコンテンツを見つけやすくする」ための改良で英語の検索結果を対象に実施されました。
今後は各種検索アルゴリズムについて、AIによる自動アップデートが続いていくと予測されます。
ホワイトハットSEOを心がけていれば、これらのアップデートは検索順位上昇の追い風になります。
パンダアップデート
パンダアップデートは、コピーコンテンツや情報量の少ない低品質コンテンツを排除し、逆にオリジナル性が高く信頼性の高い高品質コンテンツを上位表示させるための、「コンテンツ品質アップデート」です。
コンテンツスパムや低品質なコンテンツの検索結果順位を下落させることによって、高品質コンテンツを相対的に順位向上させ、検索品質向上を狙ったアルゴリズムアップデートです。英語圏では、2011年2月から導入され、日本では、2012年7月から導入されました。
ペンギンアップデート
ペンギンアップデートは、リンク集や過剰な相互リンク、不自然なアンカーテキストを含むリンクなど、品質・信頼性が低いリンクを発しているページや、そのページから被リンクを受けているページの評価を下げることで、スパム排除やブラックハットSEOを排除するためのアップデートです。
パンダアップデートと同様に、スパムサイト、低品質サイトなどの順位を下落させることによって、相対的に高品質なウェブサイト・ホームページや各ページを相対的に順位上昇させて検索品質向上を意図しています。
ハミングバードアップデート
ハミングアップデートとは、複合検索キーワード(検索クエリ)での検索の場合、各クエリを直接含むものだけを優先せず、キーワードの背景や文脈を理解し、「会話型」解釈の処理を向上させたアルゴリズムアップデートです。
検索ユーザーが複雑な単語の区切りで検索を行った場合、直接的にその単語を含むものを検索結果に反映するよりも、検索ユーザーの検索意図に沿った関連性の高い文脈解釈を行うアルゴリズムです。
パンダアップデート、ペンギンアップデートは検索精度向上のために、「スパム」「低品質」を排除することを目的とした、旧来からのアルゴリズムの調整といった要素がありましたが、このハミングバードアップデートは、コンテンツそのものの品質のスコアリングを変更する目的があるようです。
自然な会話文や文章であれば、必ずしも直接的な単語にならない場合があります。
例えば、「ホームページ制作会社 京都」といった単語であれば、「ホームページ」「制作」「会社」「京都」といった単語を含んでいますが、検索ユーザーの入力が、「京都でホームページを作ってくれる会社」であった場合でも、その検索クエリの文脈を解釈して、クエリの類似性や関連性を検索結果に反映するといったアルゴリズムです。
この場合は、「ホームページ制作会社 京都」で検索した場合でも、「京都でホームページを作ってくれる会社」という文章を含むページをでも反映し、その反対の場合でも同じように検索結果に反映するというアルゴリズムです。
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)
ヴェニスアップデート(ベニスアップデート)は、検索時に「場所・地域名」を含まない検索クエリでの検索であっても、検索ユーザーの現在地を元にパーソナライズされた検索結果を表示するアルゴリズムアップデートです。
例えば、「ファミリーレストラン」と入力した際に、検索を行った現在地近くのファミリーレストランが検索結果に表示されるといった仕組みです。
インデックス登録されたウェブサイト・ホームページや各ページを検索結果に反映する際に、「検索ユーザーの現在地」を一つの要素とするアルゴリズムです。
ピジョンアップデート
ピジョンアップデートは、2014年7月にアメリカで開始されたアルゴリズムで、従来のウェブ検索ランキングシグナルをより積極的に活用することでローカル検索結果全体の品質を高めることを目的としたアップデートです。
ローカル検索結果の品質改善が目的とされ、以前の「7パック」と呼ばれる地名を含む検索で表示される7件の地図検索結果が3件表示になったり、通常のスニペットと地図検索結果の「どちらか一方のみが表示される場合がある」といったアップデートです。
モバイルフレンドリーアップデート
Google検索アルゴリズムの「モバイルフレンドリーアップデート」は、2015年4月実施されたアルゴリズムアップデートで、ホームページ(ウェブサイト)のスマートフォン最適化が検索順位の一つの要素として、スマートフォンなどのモバイル端末でのモバイル版ウェブ検索結果に影響を与えることを目的としたアップデートです。
このモバイルフレンドリーアップデートによって、スマートフォンでの表示に最適化されたページは、モバイルフレンドリー未対応ページと比較して、モバイル版での検索において、検索結果の掲載順位が向上しています。