稼働中のホームページのドメイン(URL)を変更する場合は大掛かりな作業となります。サーバー移管を行う場合もありますが、同一サーバー内でドメイン変更を行う場合もあります。
どのような場合でもドメイン(URL)を変更する場合はサイトデータの移管やサイト内URLパスの変更、SEOのためのリダイレクト処理等の他、メールアドレスの再設定なども必要になります。
大掛かりな作業が必要となるためホームページのドメイン(URL)は、あまり積極的には行われませんが、企業ホームページなどにおいて社名変更等によってサイト内容の名称部分の変更と合わせてドメインを変更する場合があります。
こうしたドメイン(URL)変更の際に必要となる作業の概要をご紹介いたします。
ドメインの変更
ドメイン変更とは、ホームページのアドレス(URL)の変更です。このドメイン変更には、独自ドメインから別の独自ドメインへの変更といった場合と、サブドメインから独自ドメインへの変更といった場合など様々なパターンがあります。
- 独自ドメインから別の独自ドメインへの変更
- サブドメインから独自ドメインへの変更
など
必要な作業としては、いずれの場合でもさほど変わりありませんが、レンタルブログ・レンタルホームページ内で有料プランを利用し、サブドメインやサブディレクトリから独自ドメインへとサイトURLを変更する場合には、さほど手間はかからない場合があります。
独自ドメインの変更
独自ドメインの変更を行う場合、同一サーバー内で実施する場合と、サーバーも移転する場合とで、作業量が異なります。
同一サーバー内であれば、ドメイン登録後にDNS設定を行い、今まで使用していたディレクトリパスと紐付けることで、独自ドメイン(URL)の変更を行うことができます。
ただ、サイトデータ内のURLパス、内部リンクのリンクパスは変更する必要があります。
WordPressにおける独自ドメイン変更時のURLの取り扱い(参考)
WordPress等のCMSにおいては、CMS内でサイトのドメインに関する設定を一括でできる場合があります。ただ、それを実施しても部分的な設定となり、一部のURLパスが変更されず、サイト表示に不具合が出る場合もあります。
例えば、WordPressにおいては、基本となる部分(ドメイン以下のURLの維持、一部の画像の呼び出しパスなど)は、「一般設定」内で「WordPress アドレス (URL)」や「サイトアドレス (URL)」の設定を行うことで変更することができます。しかしながらコンテンツ部分に記述されたURLが変更前のドメインのままになっている場合もあります。
また、独自テーマ内で絶対パスで記述された部分がある場合(例えば背景画像を設定するCSS内の記述)は、WordPressの一般設定を変更しても変更されません。こうした部分をチェックして新しいドメイン(URL)に書き換えていく作業が必要になります。
サブドメインからの変更
サブドメインから独自ドメインへの変更の場合でも、独自ドメインへの変更とさほどかわりはありません。
ただ、サイトデータ内のURLパス、内部リンクのリンクパスは変更する必要があります。
レンタルブログ・ホームページの有料プランにより、サブドメイン等から独自ドメインへとサイトURLを変更
レンタルブログやレンタルホームページには有料プランを利用することで、サブドメイン等から独自ドメインへとサイトURLを変更することができるものがあります。
無料レンタル中は、サービス側が提供するサブドメイン等がサイトURLであったものの、有料プランに変更すると独自ドメイン下で公開できるようになるというものです。
このサービスの利用の場合は、たいていの場合サイトデータ中のURLも自動変更となったり、自動でリダイレクトが設定されたりするため、特段手間はかかりません。
サイトデータの移管
ホームページのドメイン(URL)変更に伴い、サイトデータの移管が必要になる場合があります。主に、別サーバーで別ドメインで運用を始める場合です。
この場合は、ホームページ(ウェブサイト)のすべてのデータを移管し、かつ、URLパス等を書き換える必要があります。
静的HTMLサイトの移管
静的HTMLサイトの移管の場合、FTP接続により旧ドメイン下のサイトデータをすべてダウンロードし、新ドメイン側のサーバーにアップロードする必要があります。
また、アップデート前に画像呼び出し等に関するURLパスや内部リンクパスを書き換えておく必要があります。
さらに、設置プログラムによってはパーミッション設定(ファイルやディレクトリに対するアクセス権の設定)などが必要になる場合もあります。
このため、ただ、旧ドメインのデータをすべて新ドメインの方に移し替えれば、移管が完了するわけではないというケースが生じるため注意が必要です。
WordPressサイトの移管
WordPressサイトの移管の場合は、一般的にデータのエクスポート、インポートツールを使用します。
URLパスの変更も、変更ツールを使用すると手間はかなり省けます。
ただ、データベース内に記述されたデータは書き換えやすいですが、テーマ内に絶対パスで記述された部分があるとうまく動作しない場合がありますの。こちらも注意が必要です。
WordPressサイトの移管には、WordPress純正のXML ファイル「WordPress eXtended RSS」によるエクスポート、インポートを利用する他、サーバー会社で用意されている「WordPress簡単移行ツール」、All-in-One WP Migration、Duplicator、Migrate Guruといった有名なWordPress移行プラグインがあります。
しかしWordPress移行のためのファイルの圧縮などにおいて高負荷がかかり、実行を制限されてしまったり、タイムアウトなどが生じたりして、WordPressの移行作業がストップしてしまうというような場合もあります。
WordPressの移行ができない場合の手動対応と最初には見えないトラブル
ドメイン変更にかかるSEOの面からの対策
ホームページのドメイン(URL)を変更する場合、SEOの面からの対策、対応が必要になります。
理屈の上では、別ドメインで公開されているホームページは、別のホームページです。
それを「ドメイン変更により移転した」ということを検索エンジン等に知らせていく必要があります。
その必要性の最たるものは、「重複サイト(ミラーサイト)判定による新ドメイン側の検索インデックス未登録等を回避すること」であり、次に「旧ドメインが受けていた被リンク評価を引き継ぐこと」です。
重複サイト(ミラーサイト)判定による新ドメイン側の検索インデックス未登録等を回避
もしドメイン(URL)を変更した際に、適切にリダイレクト(転送)などを実施しないと、検索エンジンに重複サイト(ミラーサイト、コピーサイト)判定をされ、新ドメイン側が検索インデックス未登録状態になることがあります。
これは旧ドメイン側をオリジナルとして、新ドメイン側は重複サイト(ミラーサイト、コピーサイト)という評価がなされ、検索エンジンには登録しないという処理が行われる現象です。
こうしたインデックス未登録状態を回避するためには旧ドメイン側から新ドメイン側に適切にリダイレクト処理を行う必要があります。
被リンク評価の引き継ぎ
ホームページのドメイン(URL)変更にかかるSEOの面で重要となるのは被リンク評価の引き継ぎです。
新ドメインのホームページのアクセスを低下させないためには、旧ドメインが獲得していた外部サイトからの被リンク評価を新ドメインのホームページ(ウェブサイト)へと引き継ぐように工夫する必要があります。
ただ、別ドメインへの被リンク評価の引き継ぎは、ある程度(一般的には7割程度)に限定されます。こうしたことから、ある程度の検索結果順位の下落やそれに伴うアクセス低下は受け入れるざるを得ません。
旧ドメインからのリダイレクト
被リンク評価の引き継ぎを行うためには、変更前の旧ドメインから新ドメインのホームページへのリダイレクト(転送)が必要になります。通常は301リダイレクトを使用します。
なお、ドメイン変更に伴いトップレベル以下のURLが変更となっている場合は、個別に設定していく必要があります。
リダイレクトとドメイン契約
正常にリダイレクトを継続するためには、旧ドメインを所有する必要があります。
契約が切れたドメインは失効し(その後、他者に取得される場合もあります)、リダイレクト設定も消えます。つまり、リダイレクトを継続させるためはドメイン契約を継続する必要があるということになります。
このためドメインの年間の更新費用等が生じますが、企業にとっては微々たる費用となりますので、企業ホームページの場合は、こうしたドメイン契約は継続しておくに越したことはありません。
新ドメイン下のサイトマップ
旧ドメインから新ドメインに移管した後は、URL構造が変化しているため新ドメイン下のサイトマップを再作成しておく必要があります。
Search Consoleに送信するxml形式のサイトマップを準備しておくと無難です。
メールアドレスの変更
さて、ドメインが変更となった場合、新ドメインにてメールアドレスを新規で発行し、連絡先メールアドレスの変更をしておいた方が無難です。
旧ドメインの契約ならびにサーバーとの連携を継続する場合であれば独自ドメインメールを引き続き使用することができますが、旧ドメインを廃止したり、サーバーとの連携を解除した場合は、旧ドメインの独自ドメインメールアドレスは使用することができなくなります。
連絡トラブルを避けるためにもこうしたメールアドレスの設定は早めに済ませておくほうが良いでしょう。
メールフォームの受信設定変更
メールアドレスが変更となった場合、メールフォームからの連絡の受信設定を新ドメインのメールアドレス側に変更しておく必要があります。
旧ドメインのメールアドレスを引き続き利用する場合は変更の必要はありませんが、受信メールへの返信において、サイトURLのドメインと顧客との連絡で使用するメールアドレスが異なる場合、不信感を持たれかねません。
特に異なる独自ドメインである場合は、違和感が生じますので、新規ドメインでのメールアドレス発行、メールフォームの受信設定変更をしておくに越したことはありません。
ホームページ外のWebツール等の再設定
さて、ホームページのドメイン(URL)を変更した場合、それまでに利用していたホームページ外のWebツール・Webサービスの再設定を行う必要がある場合があります(特に利用していない場合は必要ありません)。
その代表例は、アクセス解析タグの再設置、サイト登録、SNSアカウント情報、マップ登録情報などです。
アクセス解析タグの再設置
運営するホームページのドメインを変更した場合、アクセス解析タグの再設置が必要になる場合があります。再度アクセス解析用のタグを発行し、新ドメイン下のホームページ内にタグを設置する必要があります。
サイト登録
ドメイン(URL)が変更となった場合、リダイレクト等を実施していても、ドメインという属性の上では別のホームページであるということになります。こうしたことから、Search Consoleやディレクトリ型のサイト登録を行っている場合、再度サイト登録をする必要があります。
SNSアカウントの調整
公式SNSアカウントを運営している場合、SNSアカウント内のサイトURLを新ドメインに変更するなどの調整が必要になります。
マップ登録情報の編集
また、Google Mapなどの地図サービスにおいて、ウェブサイト登録をしている場合、ウェブサイトURLを変更する必要があります。
ホームページのドメイン(URL)変更は慎重に
ホームページのドメイン(URL)変更を行う場合は、DNSの反映時間等を含め、見落としている点はないかを常に確認し、慎重に作業をしていく必要があります。
ホームページのドメイン(URL)はリダイレクト等によって表示がうまくいっていても、メールアドレスの変更等により連絡の遅延等のトラブルに発展しかねません。
サイト表示やメールの送受信を一時的に二重にする等で対処する他、ホームページのドメイン(URL)変更作業をなるべく短時間で行えるように事前準備できるものは可能な限り準備しておいたほうが無難です。
(初回投稿日 2023年8月1日)