ホームページ制作会社・管理会社を変更する際に必要な準備や変更時の注意点についてお伝えしていきます。あまりホームページを制作・管理している業者を変更する機会というものはありませんが、廃業やトラブルによってホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社を変更せざるを得ない場合もあります。
「現在利用しているホームページを制作した会社から別のホームページ制作会社(Web制作会社)に運営管理を任せたいが、そうしたことは可能なのだろうか?」
といった疑問点や
「もしホームページ管理会社を変更するとすれば、何を準備すれば良いのか?変更するにあたって注意点などはあるのだろうか?」
といった疑問点にお答えしていきます。
現状のホームページの管理のみを変更する場合のほか、ドメイン(URL)を引き続き利用し、ホームページ(ウェブサイト)を再構築、リニューアルするのか、といったご要望に応じて必要な準備や注意点は異なってきます。
またWeb技術的な面の他に、現在のホームページの契約形態に応じて対応の可否が異なってくる部分もあります。
一般的にはドメインやサーバーの契約名義が自社名義の場合、現在依頼しているホームページ制作会社・管理会社を通さなくても、ホームページ管理を別の事業者に変更することが可能です。
逆に考えればそれら名義がホームページ制作会社・管理会社名義になっている場合は、交渉により名義移管をしてもらうか、もしくは別ドメイン・別サーバーによる再構築が必要になる場合があります。
それでは、まずホームページ制作会社・管理会社を変更する際の基本的な準備と注意点について触れていきます。
ホームページ制作・管理会社の運営管理の変更
まず、「現在利用しているホームページを制作した会社から別のホームページ制作会社(Web制作会社)に運営管理を任せたいが、そうしたことは可能なのだろうか?」といった点についてですが、現状のホームページの管理を別の業者に任せるという点については、原則的には可能です。
例外として不可である場合は、ホームページがリース契約等になっていたり、制作物の著作権のあり方の契約形態が、継続した運営管理の契約と紐づいているような場合です。
(初期のホームページ制作費用が安価に設定されており、その後の月額費用、年額費用などで収益を上げるモデルのホームページ制作サービスの場合はこの傾向にあります)
この場合は、運営管理を別の事業者に依頼したい場合、ドメイン(URL)を移管して、ホームページ(ウェブサイト)を再構築する必要があります。
ドメインの所有権(名義)
ただ、ドメインの所有権についても、運営管理をしているホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社が所有していている場合は、ホームページ管理を移管することができません。
その場合は、全くの別ドメインを取得して、ゼロからホームページ制作やメールアドレス発行をする必要があります。
ホームページ制作会社がドメイン取得を代行し、実際のドメインの名義がホームページ制作会社(Web制作会社)になっており、その会社からドメインを借りているという契約状態になっている場合は、ホームページ管理の変更の際に「ドメインの所有権に関するトラブル」が発生しやすい傾向にあります。
交渉により自社名義に変更(譲渡)してもらうことができれば問題は生じませんが、いかんを拒否された場合は、別ドメインを取得して、ゼロからホームページ制作やメールアドレス発行をするなどの作業が必要になってきます。
現在のホームページ管理の契約形態を確認
以上の点から、「ホームページを別のホームページ制作会社(Web制作会社)に任せたい」と思った場合、まず確認すべきであるのは、「現在のホームページ管理の契約形態を確認する」という点です。
大まかには次のような点が確認点になります。
中心となるのは「ホームページの様々な要素について、所有権は依頼主の方にあるのか、ホームページ制作会社の方にあるのか」という点です。
- リース等の契約であるかどうか、ホームページ(ウェブサイト)全体、内部システム、加工画像、テキスト文章等のデータの所有権、著作権のあり方はどの様になっているか
- ドメインやサーバーの契約者名義は、依頼主かホームページ制作会社(Web制作会社)か
リース契約の場合のホームページの取り扱い
一般的に「5年間のリース契約」といったタイプの契約形態でない限り、ホームページのデータの所有権、処分する権利は、ホームページ制作を依頼した依頼主側にあります。
また、ドメインやサーバーの名義がホームページ制作会社(Web制作会社)であったとしても、名目は異なれ(ホームページ管理費、ホームページ保守費用等)それらの管理費用を払っているのであれば、通常はドメインやサーバーの契約の取り扱いについて、依頼主側の要求に応えるというのが一般的であると考えられます。
リース契約の場合は、あくまで様々な所有権はホームページ制作会社(Web制作会社)側にあり、月額費用や年間費用などで「その空間を借りている」という構造になります。
Web技術の問題ではなく法的な問題の場合も
こうしたことから、「ホームページを別のホームページ制作会社(Web制作会社)に任せたいので、サイトデータやドメインの移管をお願いしたい」という要望にも「サイトデータやドメイン等の移管には応じられない」という答えが返ってくる可能性があります。
こうした点は、Web技術の問題ではなく、法的な問題となります。
ホームページ制作は、そのホームページの規模により大きな費用がかかります。それをリース契約として制作費用を数年間の分割払いのような形にし、キャッシュフローの負担を軽くしてもらうという意図があるため、致し方ありません。
事業の構造上ホームページ管理会社変更の要望が通らないような契約形態になっている
リース契約を短期で解約され、サイトデータを移管された場合、ホームページ制作会社(Web制作会社)としては事業が成り立ちません。
例としては、月額5万円で5年間となると総リース料は300万円となります。
それに見合ったホームページを制作し、5年間公開すれば成り立ちますが、仮に初月で解約、サイトデータ・ドメインの移管が可能ということになれば、300万円の制作物(ひとまずその他費用は除外します)に対して5万円しか入ってきません。
それでは事業は成り立たないため、「別のホームページ制作会社(Web制作会社)に任せたいので、サイトデータやドメインの移管をお願いしたい」という要望が通らないような契約形態になっていると考えられます。
こうした構造があるため、リース契約の場合は、サイトデータの移管やドメイン移管には応じられないと想定することができます。
運営管理の業者変更時の準備 ログイン情報等の確認
さて、次に「もしホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社を変更するとすれば、何を準備すれば良いのか?変更するにあたって注意点などはあるのだろうか?」といった点について触れていきます。
ホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社との契約形態上、運営管理の変更に法的問題がない場合であれば、別の事業者に依頼する前に、次のような情報を準備しておくと依頼がスムースになります。
- サーバーコントロールパネルログイン情報
- ドメイン管理にかかるログイン情報
契約形態にもよりますが、ドメイン契約・サーバー契約の名義が自社になっていて、サーバーコントロールパネルログイン情報や、ドメイン管理にかかるログイン情報を把握している場合は、特段ホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社を変更するという構造でなくても、依頼内容を別のホームページ制作会社(Web制作会社)に依頼すれば事足りるという形になります。
ホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社を変更する場合、何を依頼するのかを明確にする
また、別のホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社に運営管理の依頼を変更する場合、何を依頼するのかを明確にしておく必要があります。
特にホームページ(ウェブサイト)を頻繁に更新、修正、ページ追加したり、ホームページリニューアルを行う予定がない場合は、新しい事業者に管理を任せる必要性はあまりありません。
ドメインとサーバーの契約管理を自社対応し、必要に応じて修正作業やバージョンアップ作業を依頼するという形でも問題はありません。
あまり穏やかな話題ではありませんが、サーバー保守、ホームページ保守という名目で、不透明なサーバー費用を請求する事業者もいるようです。
「サーバー保守費用」Web制作会社による不透明なサーバー費用
必要な時だけ依頼をするという形で良いのであれば、ドメインとサーバーの契約管理を自社対応するという形にするだけでも良いかもしれません。
ひとまず、こうしたドメインとサーバーの契約管理を自社対応する場合でも、運営管理を別のホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社を変更する場合でも、最低限①サーバーコントロールパネルログイン情報と②ドメイン管理にかかるログイン情報を確認しておくということは必要になります。
サーバーコントロールパネルログイン情報
現状のホームページのサーバーコントロールパネルログイン情報を把握しておくと、サーバー移管などの際に、ホームページを構成しているサイトデータを移し替えやすくなります(この情報がないとサイトデータを移管できない場合も多々あります)。
現在依頼しているホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社から、別のホームページ制作会社(Web制作会社)に運営管理を依頼し直す場合に、サーバーの移管が必要になる場合もあります。その場合、このサーバーコントロールパネルログイン情報が必要になります。
またホームページ修正の際にも必要になる情報となります。
サーバーコントロールパネルログイン情報は、ホームページの運営管理を行う事業者を変更する場合に、押さえておく必要がある情報となります。
ドメイン管理にかかるログイン情報
また、ドメイン(URL)管理にかかるログイン情報も必要になります(このドメイン管理はサーバーコントロールパネルログイン情報と一体になっている場合もあります)。
ドメイン管理では主にドメインを「どのサーバーと紐付けるか」といった設定をします(ネームサーバー設定、DNSレコード設定など)。
ドメイン契約・サーバー契約の名義変更
ドメイン契約・サーバー契約の名義が自社になっていて、サーバーコントロールパネルログイン情報や、ドメイン管理にかかるログイン情報を把握している場合は問題がありませんが、ドメイン契約やサーバー契約がホームページ制作会社(Web制作会社)、ホームページ管理会社の名義になっている場合もあります(自社サーバーの場合もあります)。
その場合は、各種契約の名義変更をするだけで管理の変更が終わる場合もあります(名義変更はオンラインではなく書面、郵送による変更の場合もあり、印鑑証明書の添付が必要な場合もあります)。
名義が自社になっている場合であれば、必要に応じて別のホームページ制作会社(Web制作会社)に作業を依頼するだけで良いという形になります。
こうしたドメイン・サーバーの契約名義変更が不可であった場合は、ドメインの移管やサーバーの移管を含めたホームページの移管を検討する必要があります。
公開中のホームページの移管
ホームページ制作や運営管理の契約形態、契約内容によりドメイン・サーバーの名義や管理ログインが不可である場合、ドメインの管理の移管やサーバーの移転、サイトデータの移管を含めたホームページの移管が必要になります。
ホームページのデータを移管して良い場合であれば、別のサーバーに現状のホームページデータを移し替え、ドメインの管理会社も変更して、ホームページ管理を移し替えるという作業をすると、「ホームページ制作会社・管理会社の運営管理の変更」が可能になります。
大まかには次のような作業が必要になります。
- ホームページのドメイン(URL)管理の移管
- ホームページのサーバーの移管
- ドメインの移管にかかるメールアドレスの再設定等
ホームページのドメイン(URL)管理の移管
まずホームページのドメイン(URL)管理の移管を行います。このドメイン移管には、ドメイン転出作業と、ドメイン転入作業が必要になります。
ドメイン移管を行い、ドメインを管理できるようになると、ネームサーバ設定(DNS設定)・レコード設定といった「ドメインをどのサーバーと紐づけるか」という事に関する設定管理を行うことができるようになります。
ドメイン転出にかかるトランスファー承認、AuthCode(オースコード)の連絡などを依頼
ドメイン移管(トランスファー)の申し込みを行った後、現在利用しているホームページのドメイン(URL)を管理しているホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社にドメイン転出にかかるトランスファー承認、AuthCode(オースコード)の連絡などを依頼する形になります。
もし仮にこうした作業に応じてもらえない場合は、新規ドメインでのホームページの再制作を検討する必要が出てきます。
ホームページのサーバーの移管
ホームページのドメイン(URL)管理の移管が完了した後は、ホームページのサーバーの移管に移ります。
移管したドメインと新サーバーを紐づけます。そして、現状のサーバーから、サイトデータをダウンロードし、新規サーバーにアップロードして再設定します。
この間DNS(ドメインとサーバーの紐づけ)の反映時間やSSL設定等の関係で、ホームページの表示が不安定になります。工夫によってある程度不安定な時間は縮めることができます。)
なお、サイトデータのダウンロードには、サーバーコントロールパネルログイン情報やFTP接続情報などが必要になります。これら情報がない場合でも、サイト表示がされている限り、ある程度はダウンロードが可能ですが、作業量が大幅に増え、手間や費用がかかる場合があります。
ドメイン・サーバーの移管にかかるメールアドレスの再設定等
ドメイン・サーバーの移管を実施した場合、メールアドレスの再設定等の作業が必要になります(再発行、再設定の手間は省略することができません)。一定期間2つのサーバーから受信できるように工夫することはできますが、一時的にメールの送受信が不安定になります。
その他アクセス解析のアカウント等の取扱状況によって、別途再設定が必要な場合もあります。
これらドメイン・サーバーの移管やメールアドレスの再発行等が終わると、管理は完全に移行したことになります。
現状のホームページの運営管理の変更は、概ね以上のような手順となります。
なお、契約内容により、各種移管が難しい場合は、新規ドメインで新規ホームページ制作をするというのが一番良いかもしれません。
ホームページ制作会社・管理会社変更後のホームページ運営
ホームページ制作会社・管理会社変更後のホームページ運営は、自社対応でも別のホームページ制作会社(Web制作会社)に依頼する形でもどちらでも良いと考えます。
必要な分だけホームページ制作会社(Web制作会社)に修正やカスタマイズを依頼する形でも良いのではないでしょうか(WordPressなどであればバージョンアップ作業やバックアップ作業を定期的に依頼する方が無難です)。
Web技術面の工夫は難しい面が出てくる場合もありますが、基本的にホームページ運営は柵なく自社で気楽に行うのが一番ですからね。
管理変更後のホームページの保守
ただ、時折サーバー環境の自動更新(phpバージョンアップ等)によりホームページの表示に不具合が出たり、逆にWordPress等のバージョンを古いバージョンのまま更新をせずに置いておくとクラッキング等のセキュリティリスクが高まってしまいます。
まずは、必要となるホームページの保守管理の範囲を把握しておくが無難です。そして、定期的にホームページ保守管理のチェックを依頼する等のメンテンスを行うと良いでしょう。
ホームページ管理移管の前に何が問題になっているのかを明確にしておくと無難
ホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社を変更したいという局面においては、「何が問題になっているのか?」を明確にしておくほうが無難であると考えます。
「集客効果が感じられない」という場合もあれば「不透明な月額費用に納得がいかない」という場合もあるかもしれません。
「ホームページ修正費用が高額に感じられる」という場合もありますし、「相談に応じてくれない、話が通じない、意図を読み取ってくれない、連絡が取れない・遅い」という運営管理そのものの問題である場合もあるでしょう。
それぞれの「ホームページ制作会社(Web制作会社)・ホームページ管理会社を変更したい」という動機になっている理由が明確になれば、取るべき対応策も明確になってきます。
(弊社では、管理移管後の単発のホームページ修正についても対応しております)
ホームページの運営管理を移管するということ自体は、技術的には概ね可能です。ただ、技術面よりも法的な契約内容に依るところが大きいため対応策にも幅があります(究極的には、新規ドメインで新規ホームページ制作を実施すれば何とかはなります。その場合はSNSアカウント等においても各種再設定の必要が出てきます)。
今回はホームページ制作会社・管理会社を変更する際に必要な準備や注意点について触れてみました。
「とにかく今のホームページ制作会社・管理会社から、ホームページ管理を別の事業者に移したい」という場合は、ホームページの契約形態やドメイン・サーバーの名義を確認し、必要であれば自社名義に移管するというのが第一歩です。
一般的にドメインやサーバーの名義さえ自社名義であれば、ホームページ修正や保守管理等は別の事業者に委託することが可能です。
「提示されたホームページ修正費用は高額すぎないかしら?」
「保守費用として請求されているものは一体何なのだろう?」
「ドメインの名義はうちの会社になっているのかしら?」
「この部分の修正、他の事業者さんに頼むことはできるのかな?」
といった疑問はホームページ運営においてつきものです。
ご不明な場合は、お問い合わせフォームよりご相談ください。
(高度な調査が必要な場合はサポートサービスのご利用により調査費用が必要になる場合があります)
(初回投稿日 2023年8月10日)