「底冷えの京都」では日に日に、寒さを実感しています。植物たちも、落葉するものは日に日に葉が黄色くなり、どんどん落ち葉を落としています。
さて、以前「ホームページを「営業スタッフ」として考えてプランニング・制作すると答えが見えてくる」で、営業成績が全国トップクラスの友人との「銭湯での密談」を少しご紹介しましたが、今回は、「『ホームページは24時間働く営業スタッフだ』では『営業の本質』を考えましょう」、というタイトルで、営業の本質について少し考えてみたいと思います。
「ホームページは24時間働く営業スタッフだ」
ということは、企業のWeb活用が叫ばれてから、決めゼリフのようにいつも言われているような言葉です。企業のホームページ利用においては、昔からよく言われています。
(「営業マン」という表現も多いですが、別に営業職は男性だけではないですからね)
確かにその通りなのですが、営業スタッフの中にも、「すごい営業成績をあげる人」と「毎月ほぼボウズの人(つまり成績がほぼゼロ)」がいるという事実は忘れられがちです。
企業の営業スタッフであれば、その向き不向きによって、配属先変更であったり、最悪の場合は…
ということがよくあります。
では、仮に営業スタッフと「ホームページ」をほとんどイコールと仮定して、Webマーケティングの効果が出るものと出ないものとの差を考えてみてもよいのではないでしょうか?
ホームページ=営業スタッフ
ホームページを営業スタッフと仮定して、仔細に要素を分解していった場合、デザインは外見、セリング(営業・販売用のページ)やインフォメーションコンテンツ(読み物・調べ物ページ)は、それぞれ、営業トーク、専門分野の話題・雑談等々のトークスキルなどに該当すると考えても良いかもしれません。
そして、アクセス数は、訪問件数です。つまり、お客さんになり得るか否かは別として、ひとまず人と接触している回数です。
- デザイン=外見
- セリングページ(営業・販売用のページ、商品・サービス説明ページ)=営業トーク
- インフォメーションコンテンツ(読み物・調べ物ページ)=専門分野・雑談等のトーク
- アクセス数=訪問件数
こうして考えてみると、企業におけるホームページ活用の重要なポイントや、ホームページ自体の能力の差、掲載内容の重要性が見えてくるのではないでしょうか?
Webデザイン=営業スタッフの「外見」
心理学的な効果を考えると、美男、美女の方が成約率が高いという流れがあることは事実です。
ただやはり、例えば美男子であっても、「トークスキルが全然」ということになると営業しても成約には繋がりません。
ホストの方が、もしライバルの到来があった場合、ジャニーズさんかお笑い芸人さんか、どちらを競合相手として恐れるかということになれば、確実に「お笑い芸人さん」になるそうです(そのようなことを何かの本で読みました)。
もちろん、ただ全て「外見ではない」ということもありません。
その時に、一番配慮すべきは、清潔感や身だしなみではないでしょうか?
以前勤めていたころの話ですが、入社して間もないころ、支店長に言われた言葉があります。
「お客さんは、商談中に襟袖の汚れまでチェックしていると思え」
これをホームページ制作に置き換えると、斬新なデザインよりも、誤字脱字やレイアウト崩れ、画像のアラの方を気にしたほうが良いということなのかもしれません。
Webデザインが素晴らしいものであることはプラスになります。しかし、その部分だけに力を入れるということは営業の観点から見るとまだ不足があります。
企業のホームページを見て「問い合わせをするか否か」
ホームページ制作においても、Webデザインがコンバージョン率(お問い合わせ獲得など)に貢献する部分はそれほどありません。
確かに「美人でないと嫌だ」という層が、いつの時代も絶対的にある程度存在するのと同じように、「美しいデザインでないと問い合わせする気にもならない」という一定の層がいるかもしれません。
もしその層を狙うなら、圧倒的なWebデザインが必要になるかもしれません。
しかしながら、企業のホームページを見て、「問い合わせをするか否か」に関して言えば、ある程度のクオリティさえあれば、それほど気にするようなポイントではないのかもしれません。
どちらかと言うと、営業スタッフとして考えた場合には、人間で言うところの、「明らかにお風呂に入っていない『不潔さ』を香水でごまかしている」といったのような「胡散臭さ」や、「爪の垢が溜まりっぱなし」といった印象でさえなければそれで良いのかもしれません。
やはり企業のホームページを見て「問い合わせをするか否か」というところを左右する最も重要な部分は、「どのような問題に対して、どのような解決をもたらしてくれるのか?」という点をしっかり伝えるという部分になります。
コンテンツクオリティ=営業トーク・雑談等々のトークスキル
ホームページ制作における各ページの「コンテンツクオリティ」を営業スタッフとして考えた場合は、営業トーク・専門分野の話、雑談等々のトークスキルとして考えることができます。
そして、営業モードで話す場合は、セリング(営業・販売用のページ)ですし、初対面や再訪問時の雑談や浅いニーズ喚起などであれば、インフォメーションコンテンツ(読み物・調べ物ページ)になると思います。
このトークスキルについては、情報量としてレベルが高いと、その下にある情報レベルのすべての層を網羅できるというわけではありません。情報量が多く専門性が高くても、理解の難易度が高くそれが伝わらないという場合もあります。
たとえ雑談であっても、同じようなレベルにある人や同じようなことに関心を持つ人でしか、その話題をふっても、その会話は成り立たないという面があるからです。
レベル差がなく相手の興味関心があってこそ会話が成り立つ
世の中では、一方的に話を聞きたいということは稀です。
自発的に申し込んだセミナーなどは、一方的に話を聞きに行っているので良いですが、営業・商談の際の雑談であっても、会話として成り立たなければ、お互いに気まずい空気が流れます。
例えば行商で、個人宅にみかんを売りに行っていると想像してみてみましょう。
飛び込み訪問で、インターホンを鳴らすと、おばあさんが出てきました。
挨拶と自己紹介を交わした後の会話が「宮川早生を種子親とする新種が増えてきていまして」といっても、「そ、そう…」となることが想像できます。
これはリテールの例ですが、同時に俗っぽくすぎると、自社の客層とはかけ離れたユーザーになってしまうことがあります。
例えば、車に関する業種で雑談する場合、「頭文字Dで何使ってます?僕はFCなんですけど、赤城下りには最適ですよ。秋名ならハチロクですけど。いろは坂ならSW20ですかね」と、少し関連する話であっても、食らいついてくるのはゲームセンターに通っている人たちくらいです(相手が「頭文字Dインフィニティなどの話をブログで書いていた」という場合は別ですが)。
コンテンツクオリティを向上させる
公式ホームページ内のオウンドメディアで「〇〇に行ってきました」というタイプのブログばかりだとブランド力が下がることがあります。コンテンツ自体を増やすことで、多少は検索エンジンからの流入を見込むことができますが、コンテンツのタイプやクオリティによっては、アクセス数向上と比例して、ブランド力が低下することがあります。
営業スタッフも、営業先のお客さんよりも情報レベルが高いことに越したことはありません。しかしそれが逆に裏目に出ることもあります。
情報レベルに差がありすぎると、「素晴らしさがわからない」ということがよくあります。
クラシックを聴いて感動する人もいれば、全く理解できない人もいます。
名作とされる「壺」を見て、感激する人もいれば、全く無関心な人もいます。
それは、ある方向に対する情報をキャッチするレベルに差があるからです。
ビジュアルバムの「寿司」などは、かなりレベルの高いコントですが、100万回以上再生されているYouTube動画を見ているユーザーとは、面白さに対する方向性が異なります。
もしそうしたYouTube動画のユーザーが顧客層ならば、それに合わせたコンテンツを制作すると良いかもしれません。
逆に営業先が「ビジュアルバム組」ならば、その方向性でコンテンツクオリティを向上させる必要があります。
コンテンツクオリティは、対象ユーザーの絞込としての要素があります。
「価格の高さ」は、物の品質の高さだけでなく、価格帯によってユーザーの絞込を行うことで「静かな空間」や「顧客館トラブルを防ぐ」といった無形の付加価値をもたらすための戦略である場合があるほどです。
トークスキルと営業スキル
意識的か無意識的かを問わず、できる営業スタッフは、トークのコツを知っています。
それが、営業スタッフの営業スキルの一つです。もちろん他にも要素はたくさんありますが、ホームページで言うところの「お問い合わせにつなげるコンテンツ」などが、営業スタッフのトークスキルとほとんど同じであると考えることができます。
営業スタッフがただいればいいというわけではなく、もちろん結果を出す人のほうが企業にとっては重宝します。それどころか売上ゼロの方には「お役御免」の通知がいつ届いてもおかしくありません。
もちろん営業自体が全く未経験の方であれば、しばらくの間は様子見が続くでしょうが、いずれ…
というのが経済社会の普通の流れです。
ホームページは「お役御免」になりにくい
しかしながら、「ホームページは24時間働く営業スタッフだ」と言われているにも関わらず、集客効果が芳しくないホームページは「お役御免」になりにくいのはなぜでしょうか?
おそらく営業スタッフの場合は、その中央値がなんとなくわかるというか、「だいたいこれくらいはやって欲しい」という期待値がある程度決まっており、その期待値のベースとなった先輩営業スタッフもたくさんいるため、評価をしやすいという面があります。
しかし、ホームページの場合は、「基準がわからない」というのが本音ではないでしょうか?
もし基準が生まれるとすれば、同業の方などから「成功事例」を生の声として聞いたときや、どこかからの情報で「どうやら、本当に結果を出しているところがあるらしい」ということを耳にした時くらいです。
このホームページのWebマーケティングの効果の基準の不透明さは、「何をもって『営業成績』とするのか?」というところから、「お問い合わせがあったとしても、この地域・この業種ならWeb上でどれくらいのコマを何社が取り合っているのかすらわからない」といったリアルな数値が見えないところに原因があるのではないでしょうか?
「試しに無料ホームページで」
「試しに無料ブログで」
今の時代は、確かに無料のサービスがたくさんあります。
しかし、それで結果を出すことは難しいと思います。
お問合わせが来ればそれでよし、でもお問合わせがなくても、それは、「ホームページ活用」そのものに原因があるわけではない場合がほとんどです。
費用の掛からないインターン生が見よう見まねで試しに2週間営業してみた、それで結果が出なかった。
それと同じことです。営業スタッフにもレベル差があります。
できる営業スタッフは、毎月ボウズの方の何倍、何十倍の売上を作ることがあります(本当に毎月ボウズなら、数学的には「無限大」になってしまいますが)。
皮肉なことに、あまり営業成績の良くない人でも、できる人との差には感づいていますが、「何が違うのか?」というところが見えず、突破口が開けないことがよくあります。
その差がわかる事、「その差の本質を理解すること」自体にも「経験と能力」が必要なのかもしれません。
もしお手伝いできそうなことがあれば、一度弊社までご相談ください!
(初回投稿日 2016年11月25日)