今回は、ECサイト・ネットショップと実店舗の相違点として、「商品へのアプローチの違い」についてお伝えしていきます。
「ネットショップ(ECサイト)と実店舗の相違点はどんなところにあるのだろう?」
「ネットショップと実店舗を比較してみて、違いに着目してネットショップを改良したいなぁ」
そんな疑問や思いをお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。
ネットショップと実店舗の違いとして、通常の店舗とネットショップでは、見込み客の「商品に触れて、商品情報を確認する」という行動が異なる点が容易に想像することができます。
そして、ウェブだけの特性、ECサイト・ネットショップの特性として、ユーザー(見込み客)が「商品までたどり着くプロセス」が通常の店舗とは大きく異なる可能性が高いことが挙げられます。
「トップページとコンテンツページ サイトの種類による重要度」でお伝えしましたが、ECサイト(ネットショップ)においては、トップページと商品ページ、それぞれのもつ役割が異なり、トップページに役割があるとすれば、インデックスページとしての役割です。
一般的なホームページで重要視されがちなトップページも、SEOによる検索エンジンを利用したSEM(サーチエンジンマーケティング)において重要視されることはそれほどありません。
特にECサイト・ネットショップの場合は、大手ショッピングモールサイトがたくさん存在し、かつ、競合サイトも多いことから、商品ジャンルのビッグキーワードで、トップページが検索エンジンの検索結果で上位に表示去ることは相当困難であるからです。
こうした背景から、ECサイトの場合は、トップページよりも、各商品ページのキャッチや案内文の作りこみに力を注いだほうが良いでしょう。
各商品ページや商品ジャンルに関連したコンテンツページの作り込みによって、細かなキーワードから検索エンジンからのサイトアクセスを狙えるほか、ページの作りこみよってサイトユーザーへのメッセージ性が高まり、結果コンバージョンへの確率が向上することが期待できるからです。
ユーザーの商品へのアプローチの違い
ネットショップと実店舗を比較した時に大きく異なるポイントの一つが、ネットショップの場合は「いきなり商品ページにやってくる」という可能性が大きいことです。
例えば、ECサイト(ネットショップ)においてキレイなスライドショーなどが設置されたトップページを経由することなく訪問するユーザーをイメージしてみてください。
通常の実店舗であれば、お店の玄関をくぐって商品を手にとって価格などを確認しますが、ECサイトの場合は、店舗外観や店内の様子を覗いてから商品情報に触れるというような実店舗でのプロセスがパスされるケースがほとんどです。
- 実店舗の場合 お店の玄関をくぐって店内に入り、商品を手にとって確認する
- ネットショップの場合 いきなり商品にたどりつく
そのプロセスをバイパスする可能性として、ECサイトでの既成品販売の場合は、特定キーワードによって商品ページへとやってくる可能性が高いため、特に顕著に現れるでしょう。
ECサイトでは、ユーザーが最初に訪れるページである「ランディングページ」が商品ページ・コンテンツページであることがほとんどです。
「いきなり商品の前までたどり着く」
こうした点は実店舗にはなく、ネットショップ特有であると考えられます。
ECサイト(ネットショップ)におけるサイト内の移動
ネットショップのサイト内を移動する場合も、その商品への購買意欲が高ければ、送料や決済方法が記載されたページヘの移動、まだ購買意欲が確定的ではない場合は、他の類似商品や商品一覧ページへと移動するケースが多いはずです。
この場合、店舗のブランド、店舗の名称やロゴ等はあまりユーザーとしては関心がないことが予測されます。
ネットショップにおいては、通常の実店舗よりも一層商品そのものにしか着目されないという特性を持っています。
ショップイメージを伝えるのは困難
ウェブユーザーにショップイメージを覚えてもらうということは非常に困難です。
ネットショップのWebデザインにこだわりを出しても、すぐに商品ページにたどり着く場合が多いため、実店舗にあるお店独特の空間の臨場感の効果がネットショップでは薄くなります。
一般的には、既成品の場合、価格と送料、在庫状況などを確認して、全く異なるサイトを再検索する可能性が高く、特定の商品を探している場合には、関連商品のページにすら移動せずに、また再検索に入ります。
ユーザーとの接触機会はSEOやショッピング広告などで回数を増やすことはできますが、滞在時間、他のページヘの移動という点では、実店舗ほどチャンスの回数が少ないという点がネットショップの特徴です。
いきなり商品ページヘ
ネットショップの場合は、自然検索経由でのアクセスであれ、ソーシャルシェアであれ、また、楽天などのモールであれ、「いきなり商品ページにやってくる」というパターンでのサイト流入が大半です。一般的なホームページではトランザクションクエリや指名検索でトップページにやってくるという形が多いですが、ネットショップの場合は、トップページを介さず、個別の商品ページにやってくる確率が高くなります。
ソーシャルでトップページがシェアされた場合などを除き、サイトアクセスにおいて「まずはトップページから」というケースは少ないでしょう。基本的にはコンテンツページからの流入を想定する必要があります。
滞在時間を長くする
その場合、いかにユーザーのネットショップ滞在時間を長くするかという点が重要になります。
視点を変えれば、「いかに興味関心を持っていただけるか」という点が重要になります。
この点について、ネットショップの場合は実店舗のようにスタッフが直接ユーザーの様子を見ながら適切な商品説明をする、といったことはできません。
実店舗よりも高いネットショップの離脱率
ウェブ上でいきなりECサイト(ネットショップ)の商品ページにやってきたユーザーは、実店舗のようにお店全体の雰囲気によって来店したというパターンではないため、実店舗よりも離脱率が高いでしょう。
ネットショップへのサイトアクセスは、いわば「店舗との接触」になりますが、ネットショップはウェブ上での来店のため、実店舗よりも訪問自体が容易で、その分だけ離脱も容易になります。
既にある商品に対する購買意欲の高いユーザーは、価格・送料・在庫数など、数点の確認ポイントを確認した段階でサイトを離脱する可能性が大いにあります。
競合店の同一商品・競合商品への移動までが簡単
ネットショッピングの特徴は、通常の店舗での販売に比べて、比較対象である競合店、競合商品までの移動時間が極端に短いことです。
通常の実店舗であれば、一度店舗を出て、違う店舗へと移動する必要がありますが、ECサイト・ネットショップの場合は、すぐに検索から競合店への移動が可能です。
「比較商品を探す労力や時間がもったいない」
ということは実店舗ならばよくありますが、ネットショッピングの場合は、その再検索の労力や時間があまりに少なく短いため、「ライバル店舗へと移動して、比較検討の後にコンバージョン」ということが想定できます。
コンバージョン数向上のために
ウェブの活用はたくさんのユーザーとの接触のチャンスがありますが、それぞれのチャンスの秒数は著しく短い時間になります。
これに対応するには、一つは興味関心を引き出して滞在時間を長くすること、もうひとつは、根本的な接触回数を増やすことです。
そして最終的な比較検討の際に優位に立てるように、アイキャッチ画像やキャッチフレーズを含めて競合を超えるページ表現やサイトの工夫をする必要があると考えることができます。
ネットショップ特有の性質と販売商品の性質に合わせて、ECサイトの仕様の決定や、案内文などの「各ページの作りこみ」をする必要があるでしょう。
実店舗の強みとネットショップの強みの比較
実店舗と比較してネットショップは、商品選択や購買行動に関する選択基準として「商品の価格」に比重が強まっている傾向にあります。
実店舗には実店舗独自の強みがあり、ネットショップにはネットショップ独自の強みがあります。
実店舗とネットショップを比較し、それぞれの強みを確認しながら、実店舗の強みの一部をネットショップに応用することで、ネットショップのコンバージョン数を向上させましょう。
実店舗の強み
実店舗の強みは、商品価格が同じでも、購入者の自宅から近かったりと、購買までの手間、購入にかかる労力や時間が少なくて済むという強みがあります。
今すぐにコーラが飲みたいと思ったとき、1本あたりの価格は少々高くてもAmazonや楽天よりもコンビニか自販機のほうが理に適っています。小口であれば、送料の分を考えると実店舗のほうが価格的にも優位性があります。
また、実店舗は、見込み客に対して直接話しができるため、話をするうちに隠れたニーズに気づくことができたり、別の商品を提案できたりと購買の可能性を高めることができます。
「Aという商品を買いに来た人」であれば、商品Aの価格や購入の手間だけの問題になる可能性がありますが、代替商品の提案もできるのが実店舗の強みではないでしょうか。
そして実店舗は、看板を掲げておけば通行人が自然に店舗に流入してくる可能性があります。
ネットショップの場合は、サイトへの流入経路を何某かで確保しないと、ユーザーがやってくることはありません。
ネットショップの強み
ネットショップの強みとしては、場合によって購入にかかる労力や費用が省けるというメリットがあります。
郊外にいる友人の話を聞いて大きく頷いたのですが、「店舗まであまりに距離があると、交通費が痛い」とのことでした。
結局往復の交通費と移動にかかる時間を考えれば送料など知れているという感覚のようです。
しかしながら、既製品の汎用商品であれば、価格競争だけの世界になってしまうのも常です。
実店舗の強みをコンテンツマーケティングで補う
物理的な位置関係や立地的メリットのようなものをネットショップに応用することは難しいですが、実店舗の強みの一つである代替商品の提案やニーズ喚起については応用することができます。
既によく実装されているように関連商品を提示するのも一つですし、商品データ以外の使用感などを掲載するのもひとつです。
そしてもうひとつ、ネットショップへのアクセス増加にも大きく影響するとびきりの良い方法があります。
それは、ネットショップ内でコンテンツマーケティングを行うことです。ブログ配信のような形で、コンテンツを配信する方法です。
ネットショップ内の情報は概ね商品ページくらいしか無いのが普通です。
その状態では、直接の購買を目的とするユーザーを獲得する熾烈な競争の中で戦い疲れるのが当然です。
しかし、商品ページではなく「情報ページ」であると、また状況は変わってきます。
「もう既にお店ブログなんかやってるよ」
という方も結構いらっしゃると思いますが、アメブロなどでの運用がほとんどではないでしょうか?
ブログ集客の可能性を感じている人は多いですが、実際問題として、アメブロなどからどれくらいの集客効果があったでしょうか?
アメブロ内でブログ配信を行うのと、ネットショップ内でブログ配信を行うのとでは、SEO効果、Webマーケティング効果に大きな開きがあります。
ネットショップ内にもWordPressを新規設置することはできますし、設定によっては、ネットショプ全体の集客力を抜群に高めることができます。
根本的にWordPressをベースとしてECサイトを構築することも可能です。
実店舗の強みである代替商品の提案やニーズ喚起、そしてネットショップ自体のアクセス数増加、滞在時間を長くすることや接触回数増加にも一役買います。
(初回投稿日 2016年2月13日)