「束ねて抽象化して具体的に生成する」これが弊社のホームページのコンテンツ制作の掟です。ホームページ制作全般だけでなくコンテンツ制作・Webライティングにも言えることですが、具体例の寄せ集めだけでは本質もつかめず、また短絡的なコンテンツではユーザーへの訴求力も弱いものになります。
先日、京都でも例に漏れず豪雨でした。雨に打たれて杏の葉はたくさん落ち、小梅は枝が少し曲がってしまうほどでした。
一瞬、植物としても大ダメージかと思いましたが、あれほどの雨が降り注ぐと、葉についた虫も大ダメージを受けます。ところどころハダニの害があったのですが、雨の後、葉はきれいさっぱりになっていました。
基本的には、葉が濡れすぎると気孔が塞がれるため、光合成がうまくできなくるので植物としても息苦しさを感じるものの、このプロセスで害虫からの被害が減るという側面があるのかもしれません。
もしかしたらこう言った現象によって、生態系が維持されているのかもしれないと、ふと思いました。
さて、少し長めの前置きでしたが、今回は、ホームページのコンテンツ制作についてお伝えしていこうと思います。
オウンドメディアによるコンテンツマーケティングが注目されてから、「読みやすい一般ユーザーの関心をそそるコンテンツを」という方向性が主流になっています。
そんな中、弊社の考えは、企業の公式ホームページにおいて、顧客層とは遠いユーザーからの一過性のアクセスを集めても、Webマーケティングには直結しないと考えているため、メディアサイトでもない限りそういったことをする必要は無いと考えております。
抽象化したホームページのメインテーマ
「抽象的」であることは、情報の次元が高いことを意味しています。
「抽象的な言葉」と言われる場合には、ほとんどの場合消極的な意味で捉えられますが、抽象的な言葉の奥には、膨大な具体的な情報が収束しています。
「諸行無常」という言葉は、漢字四文字ですが、詳しい説明をして相手が理解できるほどになるまでには、数年、数十年、下手をすると一生かかっても理解できないかもしれません。そして、諸行無常は、諸法無我や一切行苦と同じことを異なる側面から具体化した言葉です。
経済学の「GDP三面等価」のように、異なる側面から捉えた物事もある抽象的な一つの概念に収束します。GDPであれば、生産、分配、支出の三つGDPの概念を包括しています。
さて、ホームページのコンテンツに全く関係無さそうですが、Webライティングを考える上で、この「束ねて抽象化して具体的に生成する」という流れは、良質なホームページには欠かせないコンテンツプランニングのポイントです。
ホームページ制作においては、まずはホームページのメインテーマを抽象化して設定します。そのメインテーマの抽象化には膨大な量の具体的な情報が必要になります。
具体的な情報を集めて抽象化する
「そのホームページの主題は何か?」
それを考える上で、たったひとつの言葉、多くても一文で決定する必要があります。
言葉としては一つですが、「日本」は「京都」を包括しているように、日本であれば日本を構成する様々な情報をトップとなる抽象概念に収束させていく必要があります。
ただ、企業の公式ホームページであれば、主題は自ずと決まっているはずです。そうであれば企業のホームページ制作において「そのホームページの主題は何か?」ということは、具体的なプランニング前から決定しています。
ホームページ制作・Webライティングを開始する前のWebプランニング段階で、ホームページの抽象的なメインテーマがぼんやり決まっていますが、さらに関連した具体的な情報を網羅的に収集することで、そうした抽象的なイメージをさらに次元の高いものにすることができます。
この時の具体的な情報とは、直接的に関連した情報を深掘りしたような情報をはじめ、若干の関連性がある補足的範囲にあたる細かな情報も対象になります。
こうして収集した具体的な情報を抽象化してメインテーマの彩りをより多彩なものにしていきます。
抽象化したテーマを検索市場調査で調整する
ホームページ制作やWebライティングでは、通常の情報と異なり、検索エンジンからのアクセスを目的とするためにテーマのキーワードなどを調整する必要があります。
一般的な情報であれば、抽象化したテーマはオリジナル単語でも大丈夫ですが、Webの活用が前提の場合は、検索回数調査などの検索市場調査によって、キーワードを微調整するほうが、マーケティング効果は高まります。
もし、全くのオリジナルテーマであれば、そのテーマとなるキーワード自体の認知度をマスメディア利用などで向上させる必要があります。
抽象化のもととなる具体的な情報の量や幅は多いほうが良いですが、実際にホームページ制作やWebライティングを行ってWebマーケティング活用するにあたっての制作作業量の縮小、つまり作業効率のためにある程度のニーズ調査によって対象の絞込を行います。
SEOによるWeb集客を意図する場合は、月間検索ボリュームなどの検索市場調査によって、こうしたメインテーマの調整を行いながら、かつ関連した複合キーワードを見つけるといった副次的な効果も期待することができます。
メインテーマを具体化してホームページのコンテンツへ
様々な情報が収束し、それを包括した概念として決定したホームページのメインテーマに沿って、重要度の高いものからホームページコンテンツへと具体化していきます。
例えばCMS(コンテンツマネジメントシステム)であれば、その下層概念にWordPressやMovable Type、オリジナルCMSなどがあり、それぞれその下層概念の下にはいくらでも具体的な情報があります。
一般的には、最上位概念であるCMSでは競合が多いため、WordPressの中のあるプラグインのある特定のバージョンの修正方法など、かなり具体的なコンテンツであれば、早い段階から検索結果で表示される可能性があります。
しかしそれは極端に具体的なコンテンツであるためニーズが少なく、また、コンテンツ内容がある特定バージョンへと偏っているため、その上位概念である「WordPressのあるプラグイン名」での検索においては、ページ単独ではそれほど評価されないかもしれません。
しかし、具体的なコンテンツをまとめて一段階抽象化した「WordPressの特定のプラグイン」のページを生成すれば、それら具体的なコンテンツの情報が上位ページへと収束するでしょう。
このような具体的なコンテンツを一つずつ曖昧に生成するよりも、ホームページ全体の「メインテーマは何か?」という軸があれば、重要度の順位や生成すべきコンテンツのプランニングを行うことができます。
抽象化して具体化することのメリット
ホームページのコンテンツ制作において具体的な事例をたくさんインプットしてから抽象化し、それを具体的なコンテンツへと落とし込むことには様々なメリットがあります。
一つは、ホームページ制作におけるコンテンツのブレがなくなることです。そしてメインテーマに沿ったコンテンツ群が束になり、トップページや関連ページの検索順位も向上させます。
また、軸となるメインテーマを決定しておくと、具体的なコンテンツとして網羅すべき情報は何かという点をしっかりと把握することができる他、ユーザーニーズも発見することができます。
類似コンテンツでは品質も低下し、作成に疲れる
また、ホームページ制作やコンテンツプランニングにおけるこの抽象化、具体化のプロセスは、オリジナル性の高いコンテンツを制作するにあたって、最適で最短の方法です。
通常、短時間でWebライティングを行い、コンテンツを生成しようと思うと、検索エンジンなどで生成対象コンテンツに関連した情報を探し出し、そのページに少し手を加えた程度のコンテンツを作成しようとされる方が多いのではないでしょうか?
しかしながら、この方法には様々なデメリットがあります。コンテンツの重複という問題もありますが、何より頭が疲れるというデメリットがあります。
「重複率回避」に神経がすり減ってしまう
「重複コンテンツはペナルティになるかもしれないから、なるべく重複しないようにしよう」
と、石橋を叩いて渡るような「重複率回避」が頭の片隅にあると、その作業のほうが神経をすり減らしてしまいます。
また、検索エンジンの検索結果に表示される情報はすべてが正しい情報である保証はありません。
語句の誤用、新しい発見によって古くなった情報、テキストは長いものの誰かが適当に気分で書いたもの…
おっとこれくらいにしておきましょう。
単独のページでも基本構造は同じ
コンテンツ制作・Webライティングにおいて、「ブログネタ」などを探す必要はありません。
メインテーマがしっかりと抽象化されていれば、具体的なコンテンツは山のように想起されるからです。
また、この構造は、単独のページ生成でも同じです。
参考文献を見ながらレポートを書くと、参考文献の構成や文体に影響をされてしまい、オリジナル性の高い文章はなかなか書けません。
参考文献数が少なければ少ないほどその文献からの影響は大きくなります。
下手に見ながら書くよりも、情報を束ねて抽象化してから書いたほうが、様々なメリットがあります。
「自分の言葉で書く」ということにストレスを感じて、重複率を回避しようとするよりも、この方法のほうが圧倒的に簡単で、トータルでは制作時間が短くなります。
この構造は、オウンドメディアだけでなく、通常のホームページ制作でも同じであると考えています。
普段省略してしまうことをコンテンツ制作では省略しない
ここで少し余談ですが、通常のライティングと異なり、ホームページは紙面に限りがあるわけではありません。
下方向には無限にスクロールすることができるため(ページ応答時間の問題もありますがそれは置いておいて)、Webライティングでは、省略をする必要がそれほどありません。
一般的な文献であれば、要約されている文章のほうが高い評価を受けますが、SEOを考える上では、必要以上の要約や略語の使用は逆効果になるというパラドクスがあります。
激選され、平易な言葉で書かれた「超訳 ブッダの言葉」の方が、読みやすいですが、注釈付きのスッタニパータやダンマパダの原典日本語訳の方が評価されると言ったイメージです。
文章がわかりやすいことは非常に素晴らしいことですが、ホームページ制作においては、読みやすいページの下層に情報を深掘りしたコンテンツを配置するなどの工夫が必要になるのかもしれません。
ホームページに配置した具体的なコンテンツの体系化
また、ホームページに具体的なコンテンツをたくさん生成した時は、そのコンテンツ群を体系化する必要があります。
この「具体的なコンテンツの体系化」は、一番最初に行ったホームページのメインテーマ決定における「具体的な情報を束ねて抽象化する」ということをそのままホームページ制作に反映するというイメージです。
関連記事との関係性を示す
具体的なコンテンツの体系化において、それをホームページ制作で行う場合は、パンくずリストを含めてリンクで示すことで実施することができます。
様々なSEOの情報が流れていますが、情報の体系化は、忘れられがちながらも最も重要なSEOの一つです。
単独のページや細かな設定に関する情報が多いものの、まるで人の脳の構造、思考のようですが、抽象化と具体化、具体的な情報を抽象化するということが何を意味するのかを考えれば、当然に最優先されるべきSEOではないでしょうか。
ホームページのコンテンツ制作の掟
この記事は、「ホームページのコンテンツ制作の掟」という副題付きですが、これは弊社での掟であって一般的なものではないかもしれません(弊社自体が一般的な企業ではないと考えておりますので…)。
今回のメインテーマは、「ホームページ制作やホームページのコンテンツ制作についての抽象化と具体化」でした。
何も参照せず、好きなことを好きなように書くとこういうことになります。
コンテンツ制作において、情報を参照しながら単一的な情報の処理をすると、速度も遅く、疲れるという点をお伝えしたかったのですが、具体的に書くとこうなりました。
少し噛み砕くと、「何かを見ながらコンテンツを書くと質も下がり、疲れます」といった内容です。
インターネットが普及して、検索エンジンの利用率が爆発的に向上してからは、検索するとすぐそこに答えがあるかのように感じることがあるかもしれません。
しかし、「本当に良い情報」は、書き手ではなく読み手側の情報量に委ねられている側面もあります。
抽象的な情報は、読み手側の情報量の少なさの影響で理解されないことがあるからです。
「人に理解されなかったのは、全て書き手側の責任だ」というようなことが言われることがありますが、私はそんなことはないと思っています。
特にインターネットでは不特定多数の人にコンテンツが読まれます。読みやすく、相手に合わせて書くことがある程度はできても、個別に合わせることはできません。
そこには誤解も多いでしょう。
平易に書くと、読む人によっては「レベルが低い」と判断し、厳密に書くと読む人によっては「わかりにくい」と判断されます。
相手に合わせすぎることはひとつのストレスになります。
誤解されたからといって、コンテンツ生成に歯止めがかかることがありませんようにという願いを込めて。
オウンドメディア運営において、みなさまの個性が最大限表現されますように。
(初回投稿日 2016年9月20日)