紫陽花(あじさい)とアナベルが咲き誇る季節になりました。しとしとと雨が降る季節、私たちの心をそっと癒してくれるのが、豊かな色彩と丸いフォルムが愛らしい「紫陽花」と純白のボールが印象的な「アナベル」です。どちらもアジサイの仲間ですが、それぞれに個性があり、庭を、そして私たちの暮らしを彩ってくれます。
紫陽花は、梅雨の風物詩として古くから日本人に親しまれてきました。土壌の酸度によって花の色が変わる、という不思議な性質も持っていて、同じ株から青やピンク、紫と様々な色の花が咲くこともありますね。見るたびに表情を変えるその姿は、まさに雨上がりの宝石のようです。
一方、アナベルはアメリカアジサイの仲間で、装飾花が大きく、毬のようにこんもりと咲くのが特徴です。その魅力は、どんな土壌でも純白の花を咲かせ、生育が旺盛で育てやすい点。そして、ドライフラワーにしても美しい色を保つ、その健気さにもあります。
この二つの花が織りなす、彩り豊かな世界。ただ眺めるだけでなく、もう少し深く彼らの魅力を知り、日々の生活に取り入れてみるのはいかがでしょうか。
紫陽花(あじさい)

紫陽花(あじさい)
紫陽花(あじさい)は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、たくさんの種類があります。3000品種以上あると言われているため、どういった名のアジサイかわかりません。
アナベル
アナベルもアメリカ原産の紫陽花(あじさい)で、アメリカノリノキ(学名:Hydrangea arborescens)の園芸品種です。アメリカのアジサイなので「アメリカアジサイ」、または「セイヨウアジサイ」とも呼ばれます。

アナベル 1
紫陽花とアナベルを並べて比較
紫陽花とアナベルを並べてみます(明らかに違うものを並べてみました。ただ、もっとふわふわまんまるの紫陽花もあるのでそちらとの比較の方が良かったかもしれません)。

紫陽花(あじさい)とアナベル
アナベルはだいたい白の萼をもつため、紫陽花に似た白い花といえばたいていアナベルです。
紫陽花(あじさい)

紫陽花(あじさい)2
紫陽花(あじさい)は、土のph値で色が変わることで有名です。

紫陽花(あじさい)3
赤系の色素はアントシアニンです。アルカリ性に寄っている時に赤くなるようですが、土壌のph値にあまり影響されない品種もあるようです。

紫陽花(あじさい) 赤
土の中のアルミニウムと反応して青寄りになるようです。酸性の土壌ではアルミニウムが水に溶けやすくなり、植物が吸収しやすくなるということのようです。
どれくらいアルミニウムを吸収したかで赤、紫、青という順に色が変わります。あまり吸収していない場合は赤、たくさん吸収すると青、その中間だと紫になるようです。

紫陽花(あじさい)4
萼がたくさんついてまん丸型のものもあれば、平らなものもあります。
花・萼が密集して丸い球のように咲くものはタマアジサイと呼ばれ、花・萼が縁取るように咲くものはガクアジサイと呼ばれます。また、円錐状の花の形になるピラミッドアジサイというものもあるようです。

紫陽花(あじさい)5
真ん中のつぶつぶが外国のおやつ系です。

紫陽花(あじさい)6
真っ白なものはひたすら真っ白です。こうしたものはたいていアナベルです。
梅雨の季節は、同時に紫陽花とアナベルの季節です。

紫陽花(あじさい)7
道を歩いていると、たくさんの紫陽花やアナベルを見つけることができます。
こちらはポップコーン型です。

紫陽花(あじさい)9
たくさんの種類の紫陽花やアナベルが咲いているので、道を歩くのが少し楽しみになります。
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雨の降る日が増え、ものすごい豪雨の日には「6月だなぁ」と実感します。何故か豪雨の次の日に一気に植物たちの生育が早まるような気がするのですが、なにか豪雨と関係があるのでしょうか?
意外と簡単?紫陽花とアナベルを育てる楽しみとコツ
「難しそう」って思う方もいるかもしれませんが、ちょっとしたポイントを押さえるだけで、毎年きれいな花を咲かせられますよ。
置き場所のこと
紫陽花もアナベルも、強い日差しは少し苦手なんです。特に夏の午後の直射日光は葉焼けの原因になることがあるので、半日陰くらいの場所が落ち着きます。午前中は日が当たるけれど、午後には木陰や建物の陰になるような場所が理想的ですね。
水やりのこと
お水をたっぷり欲しがる子たちなんです。特に蕾が膨らむ頃や、真夏は毎日でも様子を見てあげてください。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷりと。庭植えの場合は、よほど雨が降らない日が続かない限り、自然の雨水で大丈夫なことも多いですよ。
肥料のこと
花が咲き終わった後と、冬の終わりから春先にかけて、少し肥料をあげると、次の年の花付きがぐんと良くなります。ゆっくり効くタイプの固形肥料や、液体肥料を水やりの代わりに与えるのもいいですね。
剪定のこと
これが一番ドキドキするかもしれませんね。紫陽花は、花が終わったらすぐに、花首の下あたりでカットしてあげるのがポイントです。来年の花芽は今年の夏にできることが多いので、遅すぎると花芽を切ってしまうことになります。アナベルはもう少し大胆に、地面から30cmくらいの高さで剪定しても大丈夫。どちらも剪定で形を整えることで、よりたくさんの花を咲かせることができますよ。
摘んだ後の楽しみ方あれこれ
きれいに咲いた花を摘んで、家の中で楽しむのもまた格別です。
せっかく咲いてくれた命を、最後まで慈しむような気持ちで向き合ってみてください。
切り花として飾る
シンプルに一輪挿しにしても素敵だし、いくつかまとめて飾るだけで、お部屋がぱっと明るくなりますよね。紫陽花は水揚げがちょっと難しい時もあるんです。水切り(水中で茎を斜めに切ること)をしっかりする、そして茎を深水につけてあげると、シャキッと元気が戻りやすくなります。
アナベルは比較的丈夫なので、気軽に飾れるのが嬉しいところ。
ドライフラワーにする
紫陽花もアナベルも、実はドライフラワーにしやすい花なんです。特にアナベルは、色が褪せにくくてきれいなドライになりますよ。咲き始めのフレッシュな時よりも少し花が固くなってきた頃がドライに向いています。
一番簡単なのは、風通しの良い日陰に逆さに吊るして自然乾燥させる方法。完全に水分が抜けるまで、2〜3週間ほどかかりますが、徐々に変化していく様子も楽しめます。シリカゲルなどの乾燥剤を使うと、より早く、美しい色合いを保ったままドライにすることもできますよ。完成したドライフラワーは、リースやスワッグ、シンプルなブーケにして飾るだけで、季節のインテリアになります。
押し花にする
小さめの花びらや、まだ開いていない蕾を丁寧に押して、押し花にするのも素敵です。押し花は、本や専用のプレス機を使うと簡単に作れます。
完成した押し花は、メッセージカードや栞に添えたり、額に入れてアート作品にしたりと、アイデア次第で色々な楽しみ方ができます。ちょっとしたプレゼントに添えるだけでも心がこもってて喜ばれそうです。
(初回投稿日 2023年6月23日)