ホームページ制作やSEOの全体像を把握してホームページを設計していくことは、その後の改良のしやすさ、Webマーケティング施策に大きく影響を与えます。
ホームページ制作 京都 ファンフェアファンファーレでは、ホームページ制作を開始する前や、SEOを実施する前に、ホームページの目的やUSPの再確認、そしてモデルの把握などをもう一度お話の上で確認させていただいています。
案外無視されがちなこれらのポイントですが、その目的は非常に簡単で、画像制作を中心としたWebデザインであれ、SEOによる集客力向上であれ、何かに特化した制作業務や改良施策を行うときでも、全体像を把握できていなければ、ゴールとは程遠い方向性に向かってしまう可能性があるからです。
Mr.GT-Rこと、GT-Rの開発者水野 和敏さんの話を聴いてふと感じたのですが、全ての開発、制作に関して、同じようなことが言えると思っています。
五重塔を建てた当時の棟梁はもちろん、それにかかわる大工全員が全体像を把握していていたからこそ、CADなどがない時代でも高度な建築ができたという面です。
あくまで作業自体は専門的で分業化されていたとしても、それぞれのメンバーが全ての業務に対応できるほどの能力を持ち、全体像を把握した上で専門分野に集中して取り組んでいたという構造は、見逃すことができません。
ホームページ制作やWebマーケティングにおいても、それにかかわる様々なパーツが細分化され、分業化されていますが、分業化はあくまで合理化であって、その業務専門にである裏には、その一段階上の抽象的な統合ができている必要があると考えています。
ホームページ公開後のSEOやリスティング広告出稿、コンバージョン率向上のためのコンテンツ改良、リライトなどに関しても、ホームページ制作を行うときに全体像を把握して設計しておくと、様々な施策・改良がしやすくなります。
Webマーケティングの全体像を確認してからホームページ制作を行う
本来、ホームページ制作を行う場合でもWebマーケティングの全体像を確認してから行うというのが理想的です。ゴールを「お問い合わせの獲得」といったものに設定しておくと、Webマーケティングの全体像が見えてきますし、その一つの手段としてホームページ制作を行うという場合でも、重要な要素が見えやすくなります。
Webマーケティングにもたくさんの方法があり、たくさんの情報があります。またホームページ制作においてもたくさんの方法や要素があり、たくさんの情報があります。
それら全てを把握してから制作を開始するということを意図してしまうと、いつまで経ってもWebマーケティングを開始することはできません。
ホームページ制作に関わる様々なデータ
例えば「ホームページを作り上げる」という目的をゴールにした場合でも、ホームページ制作に関わる様々なデータが必要になります。
ホームページ制作に関する細かなテクニックに関しては、書籍であったりWebコンテンツであったりというように、細切れに情報開示がなされています。
もちろん本来ゼロベースでホームページ制作を行うためには、HTMLの基礎であったり、リンクの機能であったり、CSSの利用であったりと、それぞれ細かな知識が大前提として必要になりますが、それぞれを知識として持っているだけではホームページを完成させることはできません。
しかし、すべての知識を網羅してからホームページ制作を行うということになれば、いつまで経ってもホームページ制作を開始することはできません。
新しい技術なども出てくるという面もありますが、ひとまずある程度の知識とそれまでの間の情報から考えた全体像を元に制作を始めるしかありません。
制作進行で見えてくる不足部分
制作を進めていくと、それまでは見えなかった「現在不足している必要な知識」が見えてきます。
ホームページ制作の完了直前に、修正依頼がよく来るのもそのためです。具体的に形になってからしか気づかない点がたくさん出てきます。
それと同じようにもう少し抽象的にWebマーケティングについて考えてみた場合、ひとまず無料ホームページやブログを利用してみるのも良いかもしれません。
ただし、そこをゴールとせずに、テストとして行う感覚でいたほうが良いと思います。
一度ホームページを運営してみて、その運営の中でWebマーケティングの全体像をつかんでいくと、単に情報を集めていた時とは比べ物にならないほど、「不足している情報は何か」という点が見えてきます。
Webマーケティングの全体像をつかんでから改良を続けると成果が見えてくる
しかしほとんどはそこで止まってしまいます。無料ホームページの利用で効果が出ず、そのまま放置しているというのが大半の企業の実情でしょう。
ホームページ制作会社ならまだしも、それ以外の企業で、継続してホームページ制作やWebマーケティングに関心を持ち続けることは難しいからです。
ただ、Webマーケティングの全体像をつかんでから、もう一度ホームページ制作を実施したり、依頼したりすると、格段に違ったレベルで成果が見えてくるはずです。
これはホームページの自社運営を想定した場合ですが、最初からホームページ制作会社選びの際にこうした面で選定してみるのも一つの方法でしょう。
変更可能性を想定した設計
「ホームページのスマホ対応とその後の運用を考えた設計」や、「簡単にサイトカスタマイズできる場合とそうでない場合」などでお伝えしていますが、スマホ対応ホームページ制作自体よりも、ホームページ自体の改良を前提として、変更可能性を想定した設計にすることこそ、ホームページ制作において重要なポイントになります。
ホームページ制作自体は、いろいろな方法、いろいろな設計で行うことができるため、表面上の見栄えに違いがなくても、その裏側の仕様は千差万別です。
もし、ホームページ自体のもつ意味を把握し、時代とともに改良していくという視点をしっかりと持てている場合であれば、運用後の変更のしやすさの重要性を元に、その後柔軟な対応ができるように設計できるはずです。
こうした視点を持つためには、ホームページ制作の全体像を把握しておく必要があります。スマートフォン用にページを作成する二度手間や、メニューボタンの追加のために、画像の再作成に時間を取られるということは、結果はそれほどプラスにならない割にコスト増に繋がります。
紙の広告デザインに慣れていると…
こうしたホームページ制作の視点を持つためには、たとえWebデザインを担当し、分業の上で画像パーツの作成などを行っているときでも、ホームページそのものやホームページ制作に対する全体像を把握しておく必要があります。
例えばイラストレーターベースでホームページの設計を行うのは良いのですが、ホームページのマークアップなども可能で、かつ、メディアクエリの利用にも慣れている制作者であれば、ホームページのレイアウト構造を設計する時に、「この構造ならレスポンシブにしやすい」とか「このメニューの作りなら、後で変更になっても差し替えやすい」ということが制作設計段階で頭に浮かべることができます。
作業時間の長期化や後の改良に手間がかかる設計になることも
一方、紙の広告デザインのみを担当していると、確かにPC版の見栄えは良いのですが、スマートフォン版のホームページ表示の際に手こずるような設計になっていたり、事あるごとに画像の再作成と差し替えが必要だったりと、ホームページ制作自体の作業時間の長期化や後の改良に手間がかかる設計になってしまったりということが想定できます。
ワイヤーフレーム画像に忠実なページ制作の弊害
また、ブラウザごとにホームページの描写の表現が若干異なることを把握しておかないと、ワイヤーフレーム画像に忠実なページ制作にこだわりができ、細かな余白などの調整に異常なほどの時間を費やしてしまうことがあります。
個人の制作物であればそれでも良いのですが、作業時間の長さが制作費用に転嫁されるのであれば、ホームページ制作の依頼主はどう思うでしょうか?
少なくとも私たちは、「色合いの軽微な違いによるこだわり」や「ジャストの余白」などによる「Webデザイン力」に関してはほとんど無関心です。
ホームページ制作の依頼主の目的
なぜなら、依頼主の目的は、ホームページ自体のWebデザインの完成度といった具体的な要素ではなく、売上向上につながる問い合わせ獲得などであるからです。その上で、コストに対してのリターン率が高いこと、そこに価値があると考えています。
ホームページ制作に関する細かなこだわりを追求しようと思えばどこまでも追求することができます。しかし、時間も制作費用も限りがあります。
あくまでホームページを通じた問い合わせ獲得などのWebマーケティングのゴールを最優先として予算を配分していくべきです。
SEOに関する視点
もし、ホームページ自体がWebマーケティングのための一ツールであり、企業にとって「問い合わせ獲得」がゴールであるという抽象的な全体像が把握できている場合は、ホームページ制作の時点での変更可能性を想定して、改良しやすいホームページに仕上げる必要があるということが見えてきます。
ホームページがWebマーケティングの道具として機能するためには、もちろん、ユーザーとの接点確保もひとつの重要な要素として理解できますし、その中の一つの方法としてSEO(検索エンジン最適化)のことも頭に浮かぶはずです。
SEOそのものを理解するためには、もちろんSEOという具体的な概念にまつわる様々なデータが必要になりますが、ある程度全体像を把握できると、ひとまず、SEOに関する調整というページの改良などが必要であることはつかめるはずです。
公開後のSEOを念頭に入れてホームページを設計
ホームページ制作の初期段階から、公開後のSEOを念頭に入れておけば、「SEOの施しやすさ」に関する設計を組み込むことができます。
この時に、SEO=被リンクという単純な構図しか頭にないと、ホームページ制作の設計段階で「調整のしやすさ」が必要であるという概念は出てきません。
こうした前提で制作されたホームページにSEOを施すためには、相応の手間がかかってしまいます。そのためほとんどのケースにおいて、一度ホームページをばらして、SEOが施しやすいホームページを再構築したほうが理に適っているという場合がよくあります。
最初からある程度内部SEOを施しやすいホームページ設計にしておくと、ホームページの改良、SEOの改良にあたって労力を最小限にしていくことができます。
Webライティングという統合概念
さて、次に「全体像の把握」という面で、Webライティングについて考えてみましょう。ホームページ制作行うテキスト作成はWebライティングです。
これは通常のテキストライティングと若干異なることは何となく認知されてきましたが、ここでWebライティングを例にとって、統合概念について考えてみたいと思います。
紙のライティングとWebライティングは若干概念が異なりますが、この2つを抽象化して統合すると、「人にメッセージを伝えること」という抽象概念が出来上がります(人によって表現はバラバラでしょう)。
そこで、逆にWebライティングから、「人にメッセージを伝えること」という要素を抜き取った場合に出てくる概念は何でしょうか?
それがWebライティング独自の概念の中に含まれる独自要素です。
具体的なことは割愛しますが、もちろんWebライティングには、コンテンツSEOとしての目的なども含まれています。
WebライティングとAI
AIは情報処理や予測に長けていますが、具体的なデータがひとつもないものについては圧倒的な弱さがあります。
例えば私が、「また名倉公園で会おう」という言葉を発した時に、それに関連した電話・メール・ソーシャルでのやり取りといった通信記録やWeb上のテキストデータなどがこの世に存在しない限り、それは誰に向けて発した言葉かをコンピュータは予測することすらできません。
「今夜は月が綺麗ですね」という言葉が、「I love you」と関連しているということは、そうしたものが同じページなどで共起語としてよく出てくるから予測できるというイメージです。
言語の意味とライティング
一方、本来言語の意味は状況の中にあり、関連している事柄の中でしか生まれないため、言語そのものの辞書的な定義とは別にあります。
雑誌の特集記事であれば、その「対象人物が誰か」によって、言語の細かな定義は変化しますし、しっかりと記述しなくても、読者は経験から意味を予測することができます。
通常のライティングとWebライティングの違いを把握
こうした状況や非言語情報を含めた他の情報との関連性の中から意味を定義できる一般的なライティングと、コンピュータ相手のWebライティングでは、若干の特性の違いがあります。
Webライティングを行う場合には、そうして通常のライティングとWebライティングの違いを把握する必要があります。
そうして抽出したWebライティングの独自要素とライティング・Webライティングの共通概念を統合して把握しておくと、Webライティングのスキルが格段に向上します。
チームであるためには共通のゲシュタルトが必要になる
Webマーケティングという全体像を踏まえて、ホームページ制作やSEO、Webライティングについて見てきましたが、ホームページ制作ならホームページ制作自体の具体的な全体像が必要になってくることは当然であり、それぞれの具体的な情報量を増やしながらゲシュタルトを作っていくことが、全体的な成果向上や運用コスト削減のキーポイントとなります。
そして、全体的に膨大な作業量があり、作業を細分化し、それぞれを分業化すること自体は良いのですが、それにまつわる全てのメンバーが共通のゲシュタルトを保持していることが理想的です。
ホームページ制作ならホームページ制作、SEOならSEOといったように、作業を分業化しつつも、全体像の作り上げがないと、少しずつのズレが蓄積して、結果が芳しくないものになることがよくあります。
ホームページ制作会社内であれば、いくら分業していたとしてもチーム全員が共通の概念を保持し、できれば具体的な知識も習得しておくに越したことはありません。
チームという面では、「ホームページ制作を依頼するだけ」といった依頼者とホームページ制作会社との関係ではなく、ひとつのチームとしてWebマーケティングの成果をゴールとして、共通のゲシュタルトを持つに越したことはありません。
現状の延長では改良が不可能であることも
確かに全体像を把握するためには、まず始めてみて「現在は見えていない不足しているポイント」が見えるまで手探りながらも実施していく必要があります。
ただ、SEOに関して不足点が見えてきた場合にでも、現状の延長では改良が不可能であることもよくあります。
そうしたときは思い切って、現在の枠組みを飛び越えるべきでしょう。
例えば、ひとまず「無料でホームページを始めてみる」といったスタートから、SEOの限界を感じたときであっても、現状の延長である「今ある無料ホームページを改良して限界を超える」ということができないことがあります(概ねメタ設定やインデックス制御などですが、詳細は割愛させていただきます)。もしくは、できても時間と費用がかかりすぎるという様なコスト面などでの限界です。
このようなケースの場合は、現状を手放し、今までの経験を元に「SEOを施しやすく」、「改良しやすい」ホームページ制作をもう一度行うか依頼したほうが、長期目線で見たときには合理的です。
「専門」の奥に専門を包括した全体像を持っているか
「専門」であることは、非常に強みがあるかのように見えることがありますが、たとえ施策の一部分を委託する場合であっても、そうした「専門」の奥に専門を包括した全体像を持っているかを確認する必要があります。
SEOならばSEOの専門であるといったように、専門分野に長けている事自体はよいのですが、脳の特性として専門性が高まると専門分野以外のことが見えにくくなります。
こうした専門分野のサービスを選ぶときには、専門性を高めると同時に全体像を把握しているかどうかがキーポイントとなります。
ホームページ制作で言えば、Webデザインにだけ強いというのは問題であり、社会全体の経済活動の仕組みを知って、企業経営を知って、マーケティングを知って、Webマーケティングを知って、ホームページ制作を知って、その上でWebデザインを手がけることが理想的です。
そうした経済活動全般やWebマーケティングの全体像を把握したWebコンサルタントの方などであれば、名目上「SEOコンサルタント」として活動されていても、SEOの相談を受けても、もっと合理的な別のWebマーケティング方法を勧められるかもしれません。もしくはWebの枠を超えた提案が待っているかもしれません。
専門性に特化しているだけでは、依頼を行ってもゴールとは程遠い結果が待っているかもしれません。
ホームページ制作やSEOの全体像を把握してホームページの設計することはもちろん、Webマーケティングや企業のマーケティング分野の全体像をみて、設計していくことが望ましいでしょう。
(初回投稿日 2017年6月30日)