今回は、「スイミーのようなウェブコンテンツ 『PR力1%』を収束させる」というタイトルで、ウェブPRにおける効果を増大させることについてお伝えしていきます。これはコンテンツマーケティングやコンテンツSEOを含めて総合的なWebマーケティングにおいて重要な概念です。
「一つずつは小さな力しか持たないコンテンツであっても、それがまとまっていったときには力を発揮する」
これはウェブの空間だけの話でもないような気がします。昔から、ウェブサービスは年々進化しており、その中で感じた実感と、世界を旅してふと思ったことが、創業時に重なり合いました。
以前、「ウェブコンテンツの優位性 アーカイブとしての情報蓄積」で少しお伝えしましたが、ホームページ上のオウンドメディアコンテンツによるウェブPRの優位性は、情報が蓄積され、単発では終わらないことです。それがコンテンツマーケティングの魅力です。
一方、掃いて捨てられていくようなコンテンツもたくさんあります。
今回のウェブコンテンツの「PR力1%」を収束させるということは、単一方向ではなく、時系列としての前後、そして現在の空間の上下左右全てを含んで収束させる、といったイメージです。
これはWebマーケティングにおけるコンテンツ配信のWebPRの力、そしてSEOとしての力を収束させていき、より高い効果を発揮させていくことが理想的であるという点です。
ウェブコンテンツの寿命
情報にも鮮度があると言われます。しかし、情報には種類があります。
速報性の高いニュースのような時事情報と、古典文献とでは、情報の価値が異なります。
Webコンテンツでも、Yahooニュースなどで話題になるようなコンテンツと、特定の情報を深く高い精度でまとめられた優良コンテンツ、優良サイトがあります。
Webコンテンツの実際の価値や有効性には「寿命」があり、検索エンジンからのアクセスや閲覧数の低下、内容が時代にそぐわないなどの理由から公開価値が低下することがあります。これはユーザーにとっての実質的な有用性が低下したということを意味します。そしてこの寿命は、コンテンツの種類や目的、対象ユーザーの関心と密接に関係しています。
実を言うと私は、テレビを一切観ません。ニュースも観ません。なぜならば、端的には遠くの県で起こった交通事故の情報を知っても私には何もできないからです。人にもよりますが、その情報が私に何ら価値があるとは思えません。
と、脱線しそうになりましたが、ウェブコンテンツの寿命です。
コンテンツの鮮度と寿命
情報には鮮度があるという言葉の通り、コンテンツマーケティングにおけるコンテンツ情報にも鮮度があり寿命があります。
ホームページに関してもホームページ制作を行なった時点から、そのホームページが時代に沿うものであるかどうかというところは日々変化しており、とどのつまりはホームページにも寿命があります。表現は失礼ですが、公開から相当の年月を経て既に死んでいるような企業ホームページもたくさん見受けられます。
Web上のコンテンツの種類 「時事的な情報」「長期的に価値のある情報」
そして情報に種類があるようにWeb上のコンテンツにも種類があります。そしてページコンテンツであっても時事的な情報であるのか固定的で長期的に価値のある情報なのかという分類のもとそれぞれの役割に応じた働きをしていきます。
Web上の情報には、大きく分けて「時事的な情報」と「長期的に価値のある情報」の2種類が存在します。それぞれの性質と役割に応じて使い分けることがホームページ運営やコンテンツマーケティングの効果を左右します。
ホームページのコンテンツの新鮮さと正確性 QDFアルゴリズム
時事的な情報 特定の時期や出来事に関するコンテンツ
時事的な情報とは、特定の時期や出来事に関するコンテンツです。社会的なニュース、業界トレンド、最新のサービスリリース、法律改正や制度変更、イベントレポート、キャンペーン告知などが典型的な例です。このタイプのコンテンツは、公開直後から一定期間にかけて高い関心を集める可能性がありタイミングが合えば爆発的なトラフィックや拡散を生むこともあります。その一方で「劣化」や「風化」も早く、時間が経過するとともに検索ボリュームは減少し記事の価値は急速に下がっていきます。
長期的に価値のある情報 時間が経過しても高い有用性を保ち続ける情報・コンテンツ
長期的に価値のある情報とは、時期に左右されず時間が経過しても高い有用性を保ち続ける情報・コンテンツです。長期的価値を持つコンテンツは一度作成すれば、長期にわたって集客・啓蒙・育成といった機能を果たす「資産」として機能します。たとえば、業務のノウハウ、基本的な技術解説、頻出する課題への対処法、業種別の比較検討材料、製品の使い方やトラブル対応、顧客の成功事例などがそれに当たります。
実質的なサイトの寿命
そのような時事情報的な情報、「その時期にしか価値をなさない情報」もありますが、もう少し広く考えた場合、特に20年近くウェブ空間に触れて思うことがあります。
それはサイトの死です。厳密にはサイト自体は残っていますが、稼働しているとはいえない状態のウェブサイトはたくさんあります。
企業のホームページに関しても、稼働していても問い合わせが来る確率が極めて低く、Webデザインの古臭さから企業イメージにとってはマイナスとなっているようなホームページがたくさんあります。
無料のブログやSNSは放置されやすい
そうしたものを代表として、コンテンツの分類、コンテンツ種類として短期的な価値しか持たないというものではなく、サイト自体が放置され寿命を迎えているケースは山ほどあり、ブログなどに関しても既に放置状態になっているものはたくさんあります。
例えば10年以上前からブログサービスはありますが、10年以上続いているブログはほとんどありません。無料のウェブサービスほどその傾向にあります。
スタートが容易な分、手を付けなくなる可能性も高いのが無料サービスです(有料が良いというわけではありません)。
ホームページはリニュアルすることもありますし、既に配信したものに執着する必要もないのですが、使い捨てのように配信され、何の価値も残さない情報コンテンツを、無料ホームページやSNS、無料ブログなど、たくさんのところに分散させていくことには首を傾げざるを得ません。
費やされた時間と労力
この例で言うと、一日1時間の時間を費やして毎日三年間運営すると、1095時間ほどになります(閏年という可能性もありますが、除外しています)。
もちろん運営している期間のPR効力はありますが、その1095時間がサイトの死によって、後に無駄になる可能性があります。
1095時間を時給1000円で換算すると109万5000円。実際の価値は別として、労力としてはそれくらいの価値のあるものが、更新されなくなり、実質的に価値の無いものになります。
それはもったいなく感じます。
コンテンツを情報資産として蓄積できない理由
レンタルブログなどの無料ウェブサービスでコンテンツを制作して、手付かずになる、そして近年であればSNSなどの新しいウェブサービスでコンテンツを制作する、そんなことを繰り返すことに意味があるのでしょうか。
コンテンツは本来情報資産として蓄積していくことができます。
しかし、それができない理由、構造があります。それは、作ったホームページやブログを放置して、新しい無料サービスに移行するということが起こりやすいという点です。
「新しいウェブサービスに移行すればうまくいくのではないか?」という予想のもと、それまで積み上げたコンテンツを無駄にしてしまうということが起こりやすいという構造があります。
無料で始めたホームページやブログであっても、ページづくりなどに費やした時間は人件費換算することができます。
そしてせっかく時間と手間をかけて作り上げたものが、ゆくゆくは放置され、Webマーケティングに一切貢献しないものとなっていきます。
もしそうした手間や費用をかけて作り上げたコンテンツを情報資産として蓄積することができたら?
情報アーカイブ資産を有効活用する価値
その情報アーカイブ資産を有効活用することの価値を見出す、その「もったいなさ」が弊社のWebマーケティング、Web制作サービスの原動力です。
(ただ、個人ブログの場合は、特に感情的な意見が組み込まれている場合、執筆者の成長によって、「未熟だったなぁ」とコンテンツを残す気になれない、という場合もありますが…)
まずは、そういったコンテンツを自社サイトで一つにまとめること、まとめてウェブサービスで再配布することを推奨させていただいております。
その方法はWordPressなどのCMSを用いて、過去からのデータを移管し、情報資産、アーカイブ資産として再利用するという形です。
具体的方法論としては、既存ホームページのWordPress化などで提供させていただいています。
生まれて死んでいく、ということは物理空間では普遍的な理になりますが、ウェブなどの情報空間では物理空間の物質以上に寿命が長いはずです。
これが、ロスを少なくする第一前提です。
コンテンツの再編による価値の復活
コンテンツの寿命を伸ばしたり新たなる価値を作り出すためには、コンテンツの再編によってコンテンツの価値を復活させる必要があります。そのためには公開後の定期的な調査とリライト、メンテナンスが重要です。その土台となるのはGoogle Search Consoleやアクセス解析の活用であり、ホームページコンテンツへの流入数の変化や検索クエリの移り変わりを定期的に確認することで、どのページをどのように再編すればよいのか、コンテンツ内容や検索意図とのズレに気づくことができます。
記事タイトルの変更や最新データへの更新、画像の差し替え、内部リンクの再設計などを実施します。このように施策すれば古くなり価値を失ったコンテンツに改めて価値を持たせることができるようになります。仮に時事コンテンツであっても、アーカイブ性やカテゴリ設計を工夫すればコンテンツ資産として再利用できる余地はあります。
意味のあるコンテンツ分散か?
Yahoo!などポータルサイトにおいては、メインサイトと、各サービスごとのページが独立して存在しています。あれほどの大規模なページ群であれば、それはテーマの限定になり理に適っています。
しかし、小規模事業において、ドメインを含めサイトを分散させることはウェブPRとしてはあまり意味がありません。
確かにコーポレートサイトのメインコンテンツ、つまり企業ホームページの中の事業紹介などと「スタッフブログ」は、その記載内容に差があると考えますが、それを別サイトで行うことは、サイトコンテンツの分散になります。
かつては外部ブログを利用していたが、今は企業ホームページの内側にブログを設置できる
ブログ機能を公式ホームページに組み込むことが難しかった時代では、企業ホームページとは別にアメブロやライブドアブログ、エキサイトブログなどの無料ブログを利用して外部でスタッフブログを運用していました。
しかしそのような時代は終わりました。
企業の公式ホームページの内側にコンテンツを留めておくことで、企業ホームページの価値は格段に高まります。
ホームページ制作を行い、企業のホームページを稼働させながら、外部のブログサービスでコンテンツを配信していく、そうしたコンテンツの分散には意味があるのでしょうか?
SNSへのコンテンツ分散
SNSでも同様です。FacebookやX(Twitter)が企業のWebマーケティングに利用できるとされてから、企業によるSNSでの投稿も増えましたが、SNS単発でのウェブPRはあまり推奨できません。なぜならコンテンツそれぞれの力が弱く、すぐに流れていってしまうからです。そこにアーカイブ性はあまりなく、古いコンテンツが再評価されることはほとんどありません。
投稿の配信には少なからず労力がかかりますが、そうして配信したコンテンツが時系列的に流れるか、それともコンテンツ資産として蓄積していって、長いスパンで見たときには、そうした蓄積した資産がWebマーケティング施策の土台になるか、どちらが理想的でしょうか?
先の例で言えば、鮮度の短い情報です。ソーシャルシェア(SNS共有)は、もちろん意味のないことではなく、現在において有効活用することのできるウェブPRの方法の一つです。
しかしそれを単発で終わらせること無く、コンテンツの力をまとめ、PR力をまとめていくことで、Webマーケティング効果を高めていくことができます。
企業の公式ホームページと切り分けてSNS活動を行うのではなく、連動させることでコンテンツの持つ力を集めていくことができます。
ウェブPRはWeb上のブランドイメージや信頼感の向上につながる
ウェブPRはWeb上のブランドイメージや信頼感の向上につながります。PRには直接的な販売促進効果があるとは限らない点がひとつの特徴的ですが短期的な売上に直結しやすい広告と異なり、中長期的なWeb集客効果につながっていきます。PR活動は効果測定が難しく、広告のようにクリック数やコンバージョン率といった数値で評価することは難しいですが、Web上における社会的信頼が強くなればなるほど、PR活動以外のWeb広告の効果も高まります。
ウェブPR力をメインサイトに収束
それらコンテンツが持つウェブPRの力をメインサイトに収束させていくこと、それはまるでスイミーのようです。
事業においても、生き方においても同じですが、一つの方法論への依存は非常にリスクが高まります。
Webマーケティングにおいては、基本的には、SEO、ソーシャルどれか一つの方法論だけでなく、様々な形でサイトへのトラフィックを安定させる方がリスクを軽減できます。
ほとんどスイミーの話は出てきませんでしたが、この例をイメージする時、「小さな魚が集まって大きな魚に見える」スイミーの世界をイメージしていただければと思いました。
(もちろん写真はスイミーに出てくる魚ではありません。錦鯉です)
スイミーを思い出してみましょう
「スイミー」についてはほとんどの方がご存知だと思いますが、アメリカの絵本作家レオ・レオニ作の絵本です。小さな魚が集まって、大きな魚の形になって泳ぎ、天敵である大きな魚(マグロ)に脅かされないようにするというストーリーです。なお、主人公のスイミーは真っ黒の小魚、赤い魚の仲間たちのなか、黒いスイミーは「目」のポジションとなりました。
小さな魚が大きな魚に変化しなくても、集まることで大きな魚に対抗できるようになるという面白いストーリーです。
小さな魚を大きくするわけではありません。小さな魚が分散して泳いでいるのと、まとまりとなって泳いでいるのとでは、現象が変わるということを示唆しています。
こうしたストーリーの中に、コンテンツマーケティングやコンテンツSEOなど、コンテンツ配信にかかわるWebマーケティングのヒントが隠されているのではないでしょうか。
ラーメン街を通るたび思うこと
京都の一乗寺ラーメン街を通るといつも思うことがあります。
それは、ポツンとお店が一軒だけあるより、お店が並ぶとトータルでその地域全体に集客力がつくということです。
お店が並ぶとメディアの露出頻度が高まります。同時に他店に行った方も、帰りにお店の前を通り、どんな店かをチェックする機会があるということです。
商店街も同じです。また中華街、ショッピングモールなども良い例でしょう。
特にラーメン街の場合は、見込客層が店舗前を訪れやすくなります。商店街などよりもさらに潜在顧客にリーチしています。
人が集まっても、ただ人が集まるだけですが、ある「情報」が集まるとそこには力が生まれます。
それはウェブ空間でも同じです。
弊社では、ホームページ制作だけでなくコンテンツマーケティングやSNSマーケティングなどを含めた総合的なWebマーケティングに対応しています。
短期的で即効性のあるWebマーケティングから中長期的な視点で高い費用対効果を出すWebマーケティング企画設計まで幅広く対応しています。
(初回投稿日 2016年4月7日)