リファラースパムに対して思うことについて触れていきます。さすが6月といった感じで毎日雨続きですね。日々ウェブ制作業務を行っていると肩首に響くのですが、低気圧の関係からか、肩、首、肩甲骨がさらに詰まりだして、結果的に首が…
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さて、今回は雑談程度に、「リファラースパム(Referrer spam)」について触れていこうと思います。対策などというよりは、リファラースパムについてふと思ったことについてぼんやり書いていきます。
リファラースパムとは
ご存じの方もいらっしゃるかと存じますが、リファラースパム(Referrer spam)とは、Googleアナリティクスなどのアクセス解析の「参照」に表れる、参照元URLなどに表示されることで「どこだ?誰が紹介してくれているんだろう?」という興味を利用して、スパムサイトへと誘導するスパムです。
リファラーとは、「参照元」のことを意味します。端的には、「サイト訪問者のリンク元」であり、アクセスしてきたユーザーが直前に見ていたサイトのURLです。
アクセス解析を見ると、「参照元/メディア」、「参照サイト」の欄に、滞在時間0秒などで、多数のアクセスがある参照元として表示されていると思います。
「誰かがサイトを紹介してくれて、そこからアクセスがある。どんなサイトで紹介されているんだろう?」
ということを思い、そのURLをコピーしてアクセスしてみると、「フリーソーシャルボタン」などと表示されていたりします。
悪質なものは、サイト自体に悪意のあるプログラムが組み込まれていたり、「無料ダウンロード」として無料ツールを配布し、サイトに設置させることで、サイトの改ざんや広告プログラムを設置させたり、外部リンクを無断設置することを意図しています。また、メールアドレス等の取得が目的というケースも良くあります。
リファラースパムの防ぎ方・対策
今回はあまり詳しくは触れませんが、この手のリファラースパムへの対策として、一つはアクセス解析にフィルタを掛けること、そしてもう一つは、そもそものアクセスを拒否するという方法があります。
アクセス拒否には、拒否するIPや国の指定を「.htaccess」で制限するのが一般的です。
例えば次のような指定を行います。
.htaccess
order allow,deny
allow from all
deny from 拒否する国のコード(日本なら.jp)
技術の需給にバランスが取れていないのでは?
こういったリファラースパムを代表するスパム達にいつも思うことがあります。
「何がしたいの?」という点もさることながら、それは、「そんな技術があるのなら、もっと真っ当なことに使えばいいのに」という感想です。
でもそれは、日本が豊かな国だから思うのかもしれないと、ふと思います。
実際にリファラースパムは外国ばかりです。アクセスのIPや言語をみると、外国のものばかりで、それも経済事情で言えばあまり豊かではない国ばかりが並んでいます。
日本では考えられないような強引な売り方、騙しのような商売も、貧困国ならば日常茶飯事です。
そうでもしないと生活できないという実情や、「そうでもしないと」という恐怖心があるのかな、と海外に行った時に感じました。
おそらくそういった国々では、国内にいる限り、いくら技術があっても、その技術を欲しがる対象との需給バランスが取れていないのでしょう。そう思うと、少しかわいそうですが、リファラースパムを容認する義理はありません。
技術より言語表現などに需要の比重が高まったこと
この手のスパムは、昔から存在していましたが、もしかすると今後も増加し、かつ、あの手この手で巧妙化するかもしれません。
なぜならば、ウェブの技術がいくら進歩しても、それがWebマーケティングに直結することはほとんど無いと考えられるからです。
たとえば、ビジュアル表現を少しおもしろいものにするための新しい動きを実装するスクリプトが現れても、面白いことは面白く、そして進歩を感じることも事実ですが、それでコンバージョン率がどれくらい向上するかは疑問です。
致命的なほど表示速度が遅いものが改善されるといった場合は別ですが、例えば現状でページの表示まで1秒のサイトの表示速度が向上し、0.2秒表示が早くなっても、サイトのマーケティング効果にはそれほど影響はありません。
表示速度の20%の向上は、開発者側としてはすごいことに映りますが、ユーザーとしてはそれほど何も感じないというのが現実でしょう。
広い意味での「インターネット」に関しては、そういった技術が大切ですが、ホームページ(ウェブサイト)に関すること、そのマーケティング効果などで考えた場合、そういったポイントは些細といえば些細な事です。
そう考えると、確実に今後さらに比重が高まるのは、コンテンツであり、言語表現をはじめとした、対人間・対ユーザーへの「伝える技術」の方だと考えています。
そうなると、リファラースパムを行っているスパマーたちの技量であるウェブ技術自体の価値が相対的に下がるのではないでしょうか。
そしてそうなると、せっかくの技量があったとしても、技術としての「真っ当な方へのシフト」は、ますます困難になります。
母国語のみに需要
さらに、スパム大国では、共通言語での商圏や経済活動規模で考えた場合、根本的な技術への需要がそれほど爆発的に上がるとも考えられません。ますます八方塞がりになったスパマー達は、さらにスパム行為を巧妙化させていく可能性があります。
言語表現をはじめとしたコンテンツに比重が高まっていく流れの中で、実際にマーケティング効果をもつコンテンツ制作を行う場合、やはり母国語でないときめ細かな表現ができないと考えています(これについてはまた別の機会に触れます)。
例えば、スパマーたちがウェブ技術からコンテンツ制作にシフトした場合、その需要は母国語圏ならば存在しますが、言語の異なるエリアへでの需要はあまり期待することができません。
しかしながら、自国内でも少なからず需要はあると思います。
スパム行為を行うのならばせめてそのような方向性へと転換して欲しいと思っています。
社会問題との共通点
このリファラースパムの構造は、少し「オレオレ詐欺」に似ています。
オレオレ詐欺を肯定することはできませんが、個人的な感想として、電話での話法だけで、そのような詐欺を完結できるという技量は、テレアポや商談などではすごく使えるのではないでしょうか。
個人的には、仮に脅されながらあのような手口を実行しろと言われても、できる自信がありません。
オレオレ詐欺は、詐欺なので犯罪ですが、真っ当なモノを真っ当な方法で営業するということにでも、すぐに応用できそうな気がします。
ある種すごい才能だと思うのですが、問題があるとすれば、倫理観もさることながら、そのような仕事に就くチャンスがあまりないということや実際の給与の額なども原因なのかもしれません。
しかし視点を変えれば、そのような仕事に就くチャンスがなくても、自分で創出することもできるはずです。
せっかくの才能が、犯罪やリファラースパムなどの方へ流れていっているということは、すごい社会的損失です。
社会にとってプラスになるべき才能が、犯罪や迷惑行為という「マイナス」になってしまっているのですから。
(初回投稿日 2016年6月27日)